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特集記事|月刊BOSSxWizBiz

2014年11月号より

セコム、しってますか?|月刊BOSSxWizBiz

「セコムする」が浸透

「セコム、してますか?」と長嶋茂雄氏がにっこり語りかけるテレビCMを記憶している人は多いだろう。長嶋氏がセコムのイメージキャラクターになったのは1990年のこと。以来、24年間にわたって務め続け、「セコムする」は動詞になるほど定着してしまった。

もともと「セコム、してますか?」はセコム・ホームセキュリティの宣伝文句だった。そのホームセキュリティの契約数が、この6月末で100万件を突破、大台に乗った。伊藤博社長も「これで次のステージに行ける」と手放しで喜ぶ。

自宅に機械警備を設置することは、富裕層の高級住宅のイメージがついて回り、一般家庭の普及に苦戦していたことは事実だ。それがマンション等に機器が設置されるようになり、ホームセキュリティの認知度は飛躍的に高まってきている。「セコムする」敷居は確実に下がってきていると言っていい。

そしていまや、「セコムする」は、ホームセキュリティには留まらなくなってきている。昨年末から流されたセコムの企業CM「未来をセコムする」編では、
「住まいをセコムする」
「オフィスをセコムする」
「情報をセコムする」
「健康をセコムする」
「世界遺産をセコムする」
「子どもたちをセコムする」
「高齢者をセコムする」
「都市をセコムする」
「イベントをセコムする」etc.
と、あらゆるものをセコムすると訴えている。もはや「セコムする」のは警備を指すものではないことは確かだ。

次頁からのインタビューで伊藤社長は、
「お客様が困ったことを、何とかしてくれないかと言われれば、それにお応えしよう、解決しようというのがセコム」
と語っている。

例えば、企業では珍しくなくなったICカード。これをセンサーに掲げれば、認証して電気鍵が開く仕組みだ。これだけなら単純な機械警備となるわけだが、現在では入退室の記録からタイムカードの代わりにしている企業も増えてきている。

「タイムカードの代わりに使うのであれば、給与計算までやってしまおう。給与計算をやるなら明細を携帯電話やパソコンで見られるようにしよう。年末調整も紙ではなくパソコンで申請できるようにしよう……。

最初はセキュリティから始まったものが、お客様の要望をもとに、便利なものとして進化しています。『安心・安全』をベースにして『快適・便利』なものへと広がっているのです」(伊藤社長)

セコムグループ200社

セコムの事業領域は非常に広範囲だ。伊藤社長は「多角化しているというイメージはない」と語るが、現在のグループ会社総数は200社に達し、その数も増え続けている。

セコムは1989年に、安心で便利で快適なサービスを創造し、トータルな社会システムを創る「社会システム産業」というビジョンを掲げた。そのキッカケとなったのが83年に情報通信事業に進出したことだった。

防犯カメラの映像をコントロールセンターに送ったり、ホームセキュリティの緊急通報を受け取るには、通信回線が不可欠。コンピュータとコンピュータを繋ぐインターネットの概念は80年代からセコムでは活用されていたのである。

91年に在宅医療サービスを開始し、メディカル事業に参入。98年に保険事業、99年に地理情報サービス事業、2000年に不動産事業、06年に防災事業を開始し、M&Aも積極的に行っている。「社会システム産業」の構築に何が必要なのか、足りないものを貪欲に求めた結果が、現在のセコムを形作っている。

そして10年に始まったのが「All SECOM」戦略。セコムグループのセキュリティ、防災、メディカル、保険、地理情報サービス、情報通信、不動産の7つの事業に、海外事業を加えた8つの事業が相互に連携を深め、新しいサービスを構築していこうというものだ。

詳細は後掲の記事をみていただくとして、通常の企業のグループシナジーとは異なり、セコムではいわゆる親会社が中心に配置されていないという特色を持つ。グループ会社同士が親会社であるセコムを飛び越えて、自由に議論し、新しいサービスの構築を図る珍しいスタイルになっている。

結果として、警備会社の範疇には収まりきれない規模に拡大してきたセコム。その企業体の仕組みと戦略を、次項から検証してみたい。

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