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2014年11月号より

“〈研究開発部門〉小松崎常夫・セコム常務執行役員 ICカードからロボットまでサービス開発の心臓部

いま注目を集めているのが、来年にも製品化されるという自律型小型飛行監視ロボットだ。すでに屋外巡回型監視ロボット「セコムロボットX」で警備ロボットの実績を持っているが、これを地上ではなく、空中から監視しようというもの。

閉店中の商業施設などで侵入者があった場合、格納庫から自動的に飛び立ち、クルマや人などの侵入者の上空を旋回、ナンバープレートや顔などをカメラで撮影してコントロールセンターに送る。仮に叩き落とそうとしても届かない位置で、一定の距離を保って飛行する優れもの。不審者の早期逮捕や再犯防止への効果が期待されている。

「困ったらセコム」を実現させるために技術研究を磨く。

このロボットを開発したのがセコムIS研究所。この研究所の所長である小松崎常夫常務執行役員(写真)は次のように語る。

「空間情報はパスコが、画像解析やセンサーは研究所が20年以上研究してきている。グループのこういう技術を寄せ集めていけば、いいものができる。何をすべきかという大事なところは、我々の優秀なガードマンがいればやるであろうことを、監視だけですがロボットにやらせようというものです。セコムはシステムサービス業として、システムと技術はしっかりやっていこうと」

セコムが東京都武蔵野市に技術部門のセンターをつくったのは1979年のこと。以来、自社開発を積極的に進めてきた。ロボット警備をはじめ、センサーや画像を転送する通信技術など、その実力は最先端を走る。ただ、メーカー等の研究所とは異なるのが、セコムの目的が技術だけではないことだろう。

「どこにもない革新的なサービスをつくるのが重要な役割です。飛行ロボットにしても、モーターやフレームは自分たちでつくっているわけではありません。技術屋は自分がつくったものを使いたがる傾向が強い。そうではなく、いい道具はどこがつくったものであっても使う。私たちの目標はサービスをよくするためであって、モノをつくることではありません。ですから、研究所はいろんな会社とお付き合いしています。いい技術があればウェルカム。ただ、総じて我々がやりたいことは、日本では誰もやっていないことだったりするので、道具がなければ自分たちでつくるということです」

創業者である飯田亮最高顧問は1970年代にはすでに研究所構想を持っていたという。「困ったらセコム」を実現するためには、解決法を用意しておかなくてはならない。いま誰が見ても困っていることではなく、まだ誰も気づいていないこと、将来起こるであろうことを予測し、未来のことを考える機関が必要だと考えたからだという。だから、IS研究所には“予算”という考え方も存在していない。

「未来は縛れない。必要なものが、予算を計上していないからといって先延ばしになるようなムダはしたくないでしょう。必要な時に、必要な分だけお金をかける。将来、きっと大事になるようなことを手掛けておくんです。全部は成功しませんが、いざ必要になったらすぐに出せるようにしたい。そうでなければ、研究所の価値はありません」

いまセコムのガードマンは約1万人。しかし、契約数は約200万件に達している。これを可能にしているのが、機械警備のシステムだ。

「1件に1日中警備員が立つとすると、毎日24時間で5人の人間が必要になってきます。200万件のお客様の安全を守るためには、1000万人が必要になります。日本の10人に1人が警備員でなければならない。高度な技術が周辺を固めることによって、社会にとって必要なことを実現する力が1000倍になる。テクノロジーがサービスに加わることで、システムになっていきます。人と技術の融合でいいサービスをつくっていく。研究所の成長が新しいサービスを生み出すエネルギーになると思っています」

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