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2014年9月号より

“USJの経済効果は5兆6000億円 ようやく浮上してきた大阪経済

USJの経済効果は5兆6000億円――。

これは関西大学大学院の宮本勝弘教授が昨年発表したもので、今後も継続的にアトラクションや新エリアの拡張した場合に予想される10年間の経済効果の数字である。いまではこの5兆6000億円だけが独り歩きして、ハリポタの経済効果が5兆6000億円と書かれることもあるが、あくまで、継続的な開発が前提であることを改めて指摘しておく。

それでも、年間5000億円を超える経済効果というのはすごい数字である。宮本教授は今年3月に全面開業した日本一の高層ビル「あべのハルカス」(大阪環状線天王寺駅前)の経済効果についても発表しているが、初年度4549億円となっている。年間ベースでUSJと大差ないようにも思えるが、通常、新築されたビルの経済効果は、年ごとに低下するだけに、10年間で比較すると相当大きな差がつくことになる。

「大阪」「経済効果」ですぐ思いつくのが阪神タイガースが優勝した時の経済効果である。道頓堀は“トラキチ”で埋め尽くされ、道頓堀川にファンがダイブする光景は、タイガースが優勝するたびに繰り返されている。その盛り上がりたるやかなりのものだが、経済効果はというと、いちばん直近の2005年の優勝時で、関西で709億円、全国で1455億円だった(三菱UFJリサーチ&コンサルティングによる)。

これはこれですごい数字だが、所詮は一過性のものにすぎないだけに、USJにははるかに及ばない。

橋下徹・大阪市長が政治生命を賭けて目指している大阪都構想だが、仮に実現したとして、その効果は年間773億円と言われている。しかもこの場合は、重複部門をなくすことによって税金の使い道がそのぶん減るというだけであって、経済効果というわけではない。税金が使われないことによってむしろ経済的にはマイナスになることもあるため、必ずしも経済的にプラスとは限らない(※税金の無駄遣いを減らすことに意味がないということではありません)。

3月にオープンしたあべのハルカスの経済効果も意外と大きい。

ちなみにUSJと同じ年にオープンした東京ディズニーシーの初年度経済効果は6400億円程度だった。USJの経済効果はこれに匹敵する。それだけ、USJが地元経済に貢献することになる。

USJの誕生は、関西の観光客の流れも変えた。それまでは大阪を中心にして、京都や奈良、神戸に足を運ぶケースが大半で、大阪は街としての面白さはあっても、特別な観光スポットがあるわけではなかった。せいぜい通天閣ぐらいのものだった。

ところがいまはUSJがある。まずUSJで遊ぶことが第一で、ついでに京都など周辺にも寄っていくという具合である。

JTBのハリポタアトラクション入場確約券付ツアーは人気が殺到したため、JTBでは現在募集を中止している。また夏休みの空の便も、羽田?大阪便は例年以上の混み具合となっている。これもハリポタ効果によるものだ。

過去20年間、大阪から景気のいい話が聞こえてくることはなかった。それが昨年、大阪駅前にグランフロント大阪が誕生、今年はあべのハルカスが話題となり、そしてUSJの大人気が続く。
これで万が一、阪神タイガースが優勝しようものなら、大阪経済は間違いなく沸騰する。

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