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2013年10月号より

カジノとパチンコはドメインが違う。

―― カジノが解禁された場合、いちばん影響を受けると思われているのがパチンコ業界です。かつてパチンコは30兆円産業と言われましたが、いまではそれが20兆円にまで減り、淘汰の時代に入っています。そこにカジノがオープンすれば、さらに客が減るのではないかというわけです。
庄司 カジノ解禁を、パチンコ業界が反対しているというのは風評でしかありません。私の知る限り、パチンコ店の経営者がカジノに反対しているという話は聞いたことがありません。

というのも、パチンコというのは日常的な大衆のエンターテインメントです。一方、これから解禁しようとしているIRは、広汎なエンターテインメントですし、その目的は観光産業の振興にあります。ですからドメインがまったく違います。何より、カジノが解禁になったところで、日本全国で数ヵ所につくるといった話です。経営的に影響はほとんどありません。

―― カジノとパチンコを対立軸で捉えてはいけないわけですね。
庄司 ええ。むしろ私は、カジノ解禁への動きを歓迎しています。
これまで日本ではギャンブルというとネガティブなイメージが強かった。賭博であり、健全な勤労意欲を削ぐという、日本独特の概念が先行して、ギャンブルの効用がいままで議論のテーブルに乗ることさえありませんでした。でもカジノ法案の審議を通じて、さまざまな議論がなされるはずです。その中には、ギャンブルのネガティブな部分だけでなく、効能も含まれます。その意味は非常に大きい。

カジノとパチンコは競合しないと庄司正英・ピーアーク社長。

―― ギャンブルの効能とはなんですか。
庄司 2年前の東日本大震災の時、ピーアークの店舗はほとんど被害を受けずにすみましたが、それでも自主的に1週間、店を閉めました。安全を点検するという意味もありましたし、非常時に店を開けてもいいのかという思いもありました。でも1週間後に店を開けた時、多くのお客さまが本当に喜んでくれました。

「開けてくれたよかった。家の中でじっとしているとノイローゼになりそうだった」という方もいらっしゃいました。こういう方にとって、パチンコはもっとも身近な娯楽です。生活にビルトインされているのです。私たちはそれを糧として、この仕事をしているわけです。そういう効能についても、カジノ法案を通じて議論してほしいですね。

あるいはギャンブル依存症への対応もそうです。私たちは、パチンコ依存症の方のための、リカバリーサポートを行ってきました。でもいままでは各社、個別にやっています。カジノ法案の議論の中でも、ギャンブル依存症の問題は取り上げられるはずですし、解禁するにあたってはオフィシャルにこの対策に取り組むことになるでしょう。そのやり方は、私たちにとっても参考になるはずです。

―― パチンコ業者の中には、現在、グレーゾーンとも言われている三店方式による換金方法が、カジノ解禁によってとばっちりを食うのではと心配する人もいます。
庄司 確かに三店方式はグレーゾーンと言われています。その原因は都道府県ごとにルールがバラバラだったりすることにあります。ですから、これをグレーでなくせばいい。統一のルールをつくるなど、この問題にもしっかりと向き合っていく。カジノ解禁はそのいいチャンスだと思います。これをリスクと考えるか、パチンコが産業としての基盤を固めるためのチャンスと見るか。私は後者だと考えています。

―― ピーアークとして、カジノに参加する意思はありますか。
庄司 直接的に関与することはないと思います。でもファンドのような形で参加することはあるかもしれませんし、何より同じエンターテインメントサービスですから、人材の派遣など、得意分野を活かす方法はあるかもしれませんね。

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