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2015年4月号より

飲料で「3位奪回」を目指す“伝説のマーケッター”|月刊BOSSxWizBiz

「目先より3年後に照準」

キリンビバレッジの佐藤章社長は、現在のキリングループを見渡して最も明るいトップではないか。空元気でなく、何かをやってくれそうだと思わせる雰囲気を持っており、メディア対応にも慣れている。キリンビールの布施孝之社長とは同期で50代半ば。布施氏が誠実な「静」のタイプとすれば、佐藤氏は明らかに「動」だ。しかも、佐藤氏は指折りの“マーケッター”として知られている。今年2015年1月5日付の「日経MJ」では、資生堂の魚谷雅彦社長、ネスレ日本の高岡浩三社長とともに、マーケティングの達人として巻頭の鼎談に登場していた。

佐藤氏が送り出した「別格」。

実際、過去に伝説的な実績もある。キリンビバレッジが1999年に投入し、スティービー・ワンダーのCMでも話題となった缶コーヒーの「ファイア」、さらに2001年発売のペット緑茶「生茶」は当時、メガヒットになったが、いずれも佐藤氏が手がけたものだ。その後、キリンビールのマーケティング部長や九州統括部長などを経て、昨年3月末、キリンビバレッジ社長に就いた。

10年連続で販売数量がマイナスを記録しているビール系総市場に対し、飲料市場も昨年、ついに5年ぶりにマイナスに転じた。むろん消費税増税の影響もあったが、ビール系市場同様、飲料の世界も縮むマーケットを奪い合う時代に突入したのだ。

飲料総研調べによる昨年の清涼飲料販売シェアでは、コカ・コーラ陣営をサントリー食品インターナショナルが追い上げる2強の構図で、だいぶ離されてカルピスを買収したアサヒ飲料が3位。4位の伊藤園を僅差でキリンビバレッジが追う展開だ。また、今年2月に入ると最下位のJTが飲料ビジネスからの撤退を発表し、再編気運も高まりつつある。

そんな中、名物マーケッターとして鳴らした佐藤氏をもってしても、すぐにライバルたちをごぼう抜きにできる奇手・妙手はない。実際、去る1月21日に開催した事業方針説明会で同氏は、「目先の勝った負けたでなく、まずは3年後を見据えた形でやっていきたい」としていた。要は3年後をメドにかつての3位の座を奪い返そうというわけだ。今年も飲料市場全体の伸びが見込めない中で、キリンビバレッジは全体で前年比6%増という意欲的な目標を設定したのもその表れといえる。

主な内訳は「メッツ」ブランドの炭酸飲料で9%、缶コーヒーの「ファイア」で7%、他社にはないカテゴリーの「世界のkitchenから」が17%、それぞれ前年比で伸ばす計画だ。唯一、「生茶」をプラスマイナスゼロとしているが、「生茶もこのまま放置はできないので段階的に徹底した差別化戦略を取りますが、今年はまず、午後の紅茶とメッツに最注力です」と佐藤氏。

「必要ならM&Aもある」

キリンビバレッジがシェア1位の紅茶市場では、86年発売の「午後の紅茶」が30年の節目を迎える。

「実は、世界を見れば一番飲まれている飲料はコーヒーではなく紅茶。なので、国内市場では縮小している紅茶を思い出していただくようなマーケティングをしながら、商品もフルリニューアルして伸ばしたい」(同)

佐藤氏がキリンビバレッジに戻ってから、価格競争とは一線を画した「別格」というブランドも立ち上げ、緑茶、コーヒー、生姜炭酸、ウーロン茶の4種を昨年11月から発売している。ネーミング通り、原料や製法にこだわった商品だけに、価格は税込みで216円。まずは好調に滑り出したが、ラインナップや価格帯の拡充を含めて、今年も要注目のブランドだといえる。

「今年は『メッツ』を粘って粘って売る」と佐藤章・キリンビバレッジ社長。

キリングループの中で、キリンビバレッジの役割は「1番バッター」だという。つまり、幼少期から成人までの年代でキリンビバレッジファンを作り、その層をキリンビールやメルシャンにつないでいくというわけだが、佐藤氏は常にそこを念頭に置きつつ、「ここ数年はグループ全体がトップライン(売り上げ)よりもボトム(収益)重視ということで、いわばしゃがんでいたわけですが、これからはトップラインも取る」と宣言した。

缶コーヒーやミネラルウオーター、緑茶といったメガ市場では当然、価格競争も激しいのだが、そうした体力勝負は、上位でないキリンビバレッジはできれば避けたい。そこで、高価格帯の品ぞろえで消費者をつかみ、そこに機能性や健康軸の要素も絡ませながらポートフォリオを最適化することが大事と説く。

「ともあれ、メッツは昨年情けない販売状況にありましたので、果汁炭酸のメッツを粘って粘って売っていきたい」

ただし、オーガニックな成長だけでは限度もある。アサヒ飲料がカルピスを買収して3位に躍り出たように、国内外でのM&Aが必要になってくる局面も出てくるのではないか。

「昨年の商戦を見ていると、上位同士で熾烈な価格競争に及ぶ戦いも散見されました。我々は、そういう強者とは違う戦い方をしないといけない。いわば第3極のユニークな存在であり続けることが大事です。価格の争いだけに終始しない飲料市場も創造しないと。そういう意味では、必要なら探してでも(М&Aは)やらないといけないでしょうね」

就任2年目に入る今春以降、名マーケッター佐藤氏の腕の見せどころとなる。

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