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2015年4月号より

伊藤健太 ウェイビー社長 目標は「起業のことならウェイビーにまかせなさい」
伊藤健太 ウェイビー社長

伊藤健太 ウェイビー社長

いとう・けんた 1986年神奈川県生まれ。慶応大学法学部を卒業し損保会社に就職するもロースクール入学のため9カ月で退社。直後に〝不治の病〟にかかったため、弁護士を諦め友人らとウェイビーを設立。行政書士の資格を活かして起業支援を行っている。

起業のきっかけは“不治の病”

―― ウェイビーは今年の8月で設立5年を迎える若い会社です。「世界で一番起業家を大切にする存在へ」と謳っていますが、会社を立ち上げたきっかけが伊藤さんの病気にあったとか。
伊藤 ええ。もともと僕は、会社員にはなりたくないと思っていました。できれば政治家か、あるいは弁護士になれればいい。そう考えていたのですが、それもなかなかむずかしい。そこで大学卒業後はいったん、大手損保会社に入社したのですが、弁護士の夢を捨てきれず、ロースクールに入るために9カ月で退社しました。

ところが、たまたま受けた健康診断で大腸に腫瘍があることがわかったのです。がんに違いない。頭の中はもう真っ白です。絶望感でいっぱいです。その時、思ったのが、時間はあまりない。でもその間に何か世の中に残ることをしたい。そのためには会社をつくろう、ということでした。その話を小学校時代からの仲間に話したところ、みな賛同してくれて、4人で会社を立ち上げたのです。世の中にいい波を起こしたい。それで社名はウェイビーと決めました。

―― その後、身体の具合はいかがですか。
伊藤 それが、良性の大腸ポリープで、切除してそれで終わりです。いまはまったくの健康です。でもその時は、なぜか不治の病に違いないと思ってしまったんですね(笑)。

そういう理由で立ち上げた会社ですから、事業内容などは何も決めていませんでした。会社をつくることありきでした。

―― よくそれで会社として成り立ちましたね。
伊藤 最初は大変でしたよ。放置されている自転車を集めてリサイクルしようとか、いろいろなことを考えたのですが、まるでうまくいかず、最初の半年間は売り上げがまるでなかった。結局この頃は、かっこつけていたんです。どうせやるなら、誰もやっていないビジネスをやろうとか、そんなことばかり考えていましたから。

―― それがなぜ、起業家支援に行きついたのですか。
伊藤 実は学生時代に行政書士の資格は取得していました。会社を立ち上げたあと、留学生向けの人材会社をつくろうとしたことがあったのですが、ビザ申請の代行をするには行政書士の資格が必要でした。それで、行政書士登録をすることにしたのですが、登録料が30万円ほど必要です。これをなんとか回収したいと考えました。

そこで思い至ったのが起業サポートでした。ウェイビーを設立した時は、よその行政書士事務所にお願いしたのですが、その作業が極めてスムーズで、すぐに登記することができたのです。聞けばその事務所は会社設立業務では一目置かれる存在で、年間2000社ものサポートを行っていた。手数料は1件につき3万でしたから、それだけで6000万円の売り上げです。当時の僕らには信じられない数字でした。

そこで、同じようなサービスをやってみよう。しかももっと安く、もっとスピーディに。そうすれば、必ず需要はあるはずだと考え、1件2万5000円でスタート。そうしたところ、最初の1カ月で10社から依頼がありました。

―― 行政書士としての実務経験がないのに、よくできましたね。
伊藤 実務ノウハウはOJTで身に付けたといっていいでしょう。それが積み重なれば積み重なるほど、よりよいサービスをスピーディに提供できるようになっていったのです。その結果、これまでの4年半で2000社のお手伝いしてきました。なかでも許認可の関係する案件については、日本でもトップクラスだと自負しています。

売り上げは倍々ゲーム

―― とはいえ、インターネットで「会社設立 行政書士」と検索すると、行政書士事務所の名前がずらっと出てきます。その中で選ばれるのは、そんな簡単なことではないでしょう。
伊藤 集客にも知恵を絞りました。まずはホームページ(HP)にいかに多くの人にきてもらうか。そのために自分たちの価値を訴えていく。ウェイビーではHP制作も請け負っていますが、まずは自分たちのサイトを充実させていったのです。

同時に、提携先を広げていきました。たとえば税理士事務所と提携して、顧客を紹介してもらう。このネットワークづくりにも力をいれました。

もちろん創業間もない頃は、僕らのほうから提供できるものは何もありません。ですから未来の話をして、いずれウェイビーが成長したら、相手にも大きなメリットがあるという話をして、ネットワークを広げていったのです。

―― ここまで、業績は順調に伸びてきたのですか。
伊藤 当初は行政書士事務所としてスタートしましたが、現在では、HP制作やコンサルティング業務、士業を対象にした塾など、幅広く手掛けています。いまは第6期の途中ですが、最初の年度の売り上げが480万円、次が820万円、1790万円、2790万円、4560万円と倍々ゲームで伸びてきました。最近では不動産仲介業務や飲食業に関わる業務も始めましたから、恐らく今期はグループで1億円を突破すると思います。

―― 会社の将来像を教えてください。
伊藤 いまやっているビジネスをさらに深掘りしたいと考えています。「世界で一番起業家を大切にする存在へ」が謳い文句ですから、「起業のことならウェイビーに聞けばいい」と認識されるような存在になりたいと思っています。起業に関するサービスをワンストップで提供していく。それも世界中で提供する。

その第一歩として。4月に福岡など3カ所に営業所を開設します。6月には北海道にも進出します。これをどんどん増やしていき、日本中どこでも、ウェイビーのサービスを提供できるようになりたい。

数字の目標としては、現在、年間8万社が新しく誕生しています。我々はそのうちの400社の起業支援を行っていますが、これをまずは1000社にまで持っていく。そしていずれは起業する会社の1割、つまり年間1万社ほどのサポートをしていきたいと考えています。

―― そこまで行けば、日本一どころか、世界でも有数の起業支援会社となりますね。目標としている企業はあるんですか。
伊藤 検索ならグーグル、と同じように、起業ならウェイビー、と言われるようになりたいと思っています。ただし、こういうビジネスモデルでなければならない、という気持ちは希薄です。

いまの時代、ひとつのビジネスモデルがいつまでも通用するわけじゃありません。それよりも、時代や環境に合わせて、ビジネスモデルそのものも変えていく。そのような、柔軟性を持った組織でありたいと考えています。

社員が起業することも大歓迎です。昔のリクルートのように、次から次へと起業家を輩出したい。ウェイビーに入れば、起業家としてうまくいく。そういう会社になりたいですね。

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