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2014年8月号より

“新幹線には光もあれば影もある

前稿で述べたように、新幹線のおかげで日本経済は大いなる発展を遂げた。また、新幹線の開通によって、観光客が大きく伸びた地区もある。工業団地や大学の誘致に成功した地区も多い。日本、特に地方は深刻な人口減少に悩んでおり、新幹線が問題解決の糸口になるのでは、と期待する人は多い。たとえば四国4県は、四国新幹線を実現しようと精力的に活動している。

しかし、光もあれば影もある。新幹線が通ったことが、逆に街の活力を奪うケースも珍しくない。

「ストロー効果」という言葉がある。交通機関が発達することによって、人口がストローで吸い取られるように、ある部分に集中、吸い取られたところはマイナスの経済効果が働くというものだ。

新幹線が通ったことによって人口減少が起きた地区は珍しくない(写真は東北新幹線)。

現在の東海道・山陽以外の新幹線は、いずれも田中角栄内閣の時代に、基本計画が策定されている。その田中の代名詞となったのが『日本列島改造論』だ。この著書の中で田中は、日本全国に9000キロ以上の新幹線を張り巡らせるとぶち上げた(現在は秋田・山形のミニ新幹線を足しても3000キロ弱)。

新潟県出身の田中は、人も会社もお金も東京に集中することは日本の活力を削ぐことにつながると考え、全国を新幹線で結べば、日本海側や東北地方なども地域のハンディを跳ね返すことができると考えた。

その田中の思いが詰まった東北・上越新幹線は1982年に開業した(当初は大宮~盛岡、大宮~新潟)。日本列島改造論が正しければ、新幹線開業によって、新潟や岩手、宮城は大いに栄えなければならない。また群馬や福島、栃木などの沿線都市も、発展が約束されていたはずだ。

現実はどうだったか。田中のお膝元の新潟県で検証してみよう。

上越新幹線が通った82年、新潟県の総人口は246万人だったが、昨年は235万人弱。10万人以上減ったことになる。

日本全体の人口が減っているのだから、多少の減少は仕方ないかもしれないが、問題は、自然動態(出生数から死亡数の差)が減っているだけでなく人口の流出が続いているのだ。

以前から流出はあったが、本来であれば新幹線開業によってプラスに転じなければならなかった。ところが1990年代に一時、流入超過となったが、2000年前後から流出が増え、その傾向は加速している。中でも10代、20代の転出が増えているのが頭の痛いところだ。

これをもっと細かく地域を区分すれば、ストロー効果で苦しむ地域はいくらでも見つけることができる。

例えば栃木県や群馬県には、新幹線利用を前提とした宅地開発が盛んに行われた。特にバブル経済で庶民が首都圏に一戸建てを持つことがほぼ不可能になったために、新幹線通勤なら持ち家も可能だと大規模な宅地開発を行った。

しかしすぐにバブルは崩壊、いまも地方の新幹線駅の周囲には広大な土地が放置されている。新幹線さえ通れば、人が集まってくると考えた結果がこれである。

北海道新幹線でも、当初は函館までの開業だが、これが札幌まで延伸した途端、函館が吸い取られるだけの都市になる可能性は高い。北陸新幹線も、金沢は観光客が増えるかもしれないが、富山は通り過ぎるだけになってもおかしくない。逆に人口流出が激しくなることも十分考えられる。

新幹線が通ったからといって、バラ色の未来が待っているばかりではない。

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