ビジネス誌「月刊BOSS」。記事やインタビューなど厳選してお届けします! 運営会社

トップインタビュー

「月刊BOSS」と、日本最大のビジネスマッチングポータルサイト「WizBiz」との提携に伴い、 19万社を超えるWizBiz会員の中から伸び盛りの企業を毎月1社をピックアップ。トップの事業への情熱に迫る。

2014年8月号より

600万社のデータベースで中小企業のDM送付を効率化
浅地紀幸 ネットリアル社長

ネットリアル社長 浅地紀幸

あさぢ・のりゆき 1967年福井県生まれ。91年早稲田大学商学部を卒業後、アパレル輸入商社を経て、94年システムサコム入社。97年浅地彩図園に入社しインターネット事業部を創設。同社が2010年にaDsFactoryに社名変更したタイミングで社長に就任。さらには11年にネットリアルを設立した。

ファックス、DMを廉価で発送

―― 浅地さんの経営するネットリアルは、ファクスやDMなど、昔からあるマーケティングの手法とインターネットを組み合わせたサービスを展開しているそうですが、もともとはホームページ制作などを請け負っていたそうですね。どういうきっかけで、このビジネスを始めることになったのですか。
浅地 自分自身がこんなサービスが欲しいと思ったからです。

私は1997年に父の経営する浅地彩図園に入社し、東京でインターネット部門を立ち上げました。本社のある福井県からHTMLのできる人間を引っ張ってきましたが、営業も書面をつくるのも、全部私1人でやっていました。その頃の仕事のスタイルはというと、左手に電話、右手にパソコンといった具合で、電話でアポを申し入れては、応じたところに商談に行くといったものでした。

でも本来の営業活動というのは、フェイス・ツー・フェイスで向かい合った時から始まります。電話をかけてアポを取るというのは前段階にすぎません。そこの部分をシステム化して、面談に力を注ぐことができたら、どれだけ効率がいいかと、その頃から思っていました。

―― 必要は発明の母ですね。
浅地 それだけではありません。最初はホームページ制作から始めたのですが、やがてソリューションを提供するようになっていき、企業の売り上げアップ支援サイトを構築していったのです。そうすると、企業からさまざまな悩みが上がってきます。中でも中小企業に共通するのが、効率的にマーケティングする手法を持っていないということでした。日本の企業は作ることには熱心ですが、売ることやマーケティングが二の次になっているところが多い。だとしたら、そこを代行してあげることで、もっと効率的に仕事ができるのではないかと考えたのです。そこで3年前からサービスを開始しました。

―― 具体的なサービスの中身を教えてください。
浅地 まず、たとえばファクスでチラシを送信するとします。その場合、当社のサーバーにワードで作成した原稿をアップしてもらいます。するとそのサーバーから、送付先データに基づき一斉送信します。つまりファックス送信が、オフィスのパソコンから簡単にできるわけです。それでいて最大でも1件に10円という低価格です。DMの場合、チラシを持ち込んでもらえば、発送料込みで1件100円かかりません。

―― 確かに安いとは思いますが、それだけならただの配送代行業ですよね。
浅地 それだけではありません。ネットリアルでは、600万件の送付先の企業名簿も提供しています。その中から、地域や業種などを選んでファクスを送信することができます。またDMの場合も同様です。さらには、登記から1週間程度の新しい企業のデータも収集していますから、様々なニーズに対応することができます。

―― どうやってデータを集めているのですか。
浅地 データ収集にあたっては、独自の検索技術を開発したり、既存のデータベースを活用しています。もともとプログラムの開発も手掛けていましたから、そういうスキルもある。様々な手法を駆使しています。

私たちが提供しているのは、企業の面倒くささの代行です。ファクスやDMの送付先リストを自分たちで集めるのは大変です。それを私たちが代わって集める。送付にしても、自分たちでファクス番号を入力したり、宛名を印刷しようとすると大変な手間がかかる。それを私たちが代行する。そのぶん、顧客のみなさんは本来の営業活動だったりマーケティング活動に力を注ぐことができるのです。

―― それにしてもいまではメルマガなどのマーケティング手法もあるのに、ファクスやDMという昔ながらの手段というのが、これまでやってきたインターネットとのギャップが大きくて面白いですね。
浅地 いくらITが進展しても、人と人のやりとりはなくならないし、紙だってなくなりません。いまメルマガとおっしゃいましたが、実際、毎日数多く送られてくるメルマガのうち、いったいどれだけ目を通していますか。

―― 正直、大半のメルマガは開けることなくゴミ箱行きです。
浅地 そういう人が多いと思います。でもファクスの場合は、最初から開封されていますから、間違いなく一度は人の目に触れることになります。DMにしても、厚手の用紙に両面印刷して、それを片側が透明の封筒で送りますから、最低限、片側だけは見てもらえる。そういう良さがあるわけです。

メディアミックスで効率アップ

―― いろんなノウハウがあるんですね。
浅地 通常、ファクスの場合、レスポンス率は3%です。でもやりようによっては、これを4%に持っていくことができる。そのためにはタイミングだったり、文面だったり、ターゲットだったり、様々な要素の組み合わせによって変わってきます。しかも当社は電話営業代行サービスもやっているので、ファクスやDMの後で電話営業をすることによって、さらに効果を上げることができます。このようなメディアミックスの手法によって、中小企業を中心としたクライアントのサポートを行っています。

ですから、利用される方には、いろんなパターンを試してみることをお勧めします。どんな商品だって、一度で完成はしないでしょう。試行錯誤して最終製品になる。それと同じで、マーケティングも試行錯誤があっていい。当社のサービスは極めて廉価ですから、それも可能です。

―― いま会員数はどのくらいですか。
浅地 現在1万4500人ですが、これを、3年の間に10万人にまで増やすことが目標です。

―― かなり意欲的な目標ですね。
浅地 ですからこれからアライアンス戦略を強化していきます。会員ビジネスを行っている外部の会社と協力して、当社の会員数を増やそうと考えています。

さらには海外にも進出します。すでにシンガポールには現地法人をつくりましたが、これからは中小企業も東南アジアなど海外に進出していく時代です。そこで問題になるのは、いかに現地のパートナーを見つけるかです。そこで当社のノウハウをもとに、まずは現地の企業にDMなりファクスを送る。興味を示した会社と面談をセットすることで、効率よく進めることができます。このように、中小企業の応援をしていきたいと考えています。

―― 先ほどから何度か、中小企業のためにと言っていますが、いつからそういう思いを抱くようになったのですか。
浅地 小さい頃からですね。私の父は、福井県でラルフローレンなどのアパレルのネームタグをつける仕事をしていました。毎日一生懸命遅くまで働いても、なかなか売り上げは上がらない。もっと効率的に取引先を増やすことができればいいのに、とずっと思っていました。

私自身は、いずれは父の会社を継ぐつもりでアパレル輸入商社に入ったのですが、父から、跡を継ぐ必要はない、と言われたのです。そこでITの世界に転身したのですが、同時に中小企業の役に立とうと決めたのです。売るノウハウ、いい技術・商品があることを知らせるノウハウが中小企業にあれば、日本はもっと豊かになると信じ、その役に立ちたいと考えています。

経営ノート | 社長・経営者・起業家の経営課題解決メディア

WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

 

0円(無料)でビジネスマッチングができる!|WizBiz

WizBizセミナー/イベント情報

経営者占い