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特集記事|月刊BOSSxWizBiz

2016年10月号より

定年と年金はどうなるか?キャリアの棚卸しが必要な理由|月刊BOSSxWizBiz

50代の定年後が危ないこれだけの理由

かつて、日本企業の定年は55歳だったが、1999年に60歳定年制になり、さらに2013年には「希望者全員を65歳まで雇用すること」を企業に求めた定年延長義務化法案が施行された。これによって企業は、定年制度廃止、定年の引き上げ、継続雇用のいずれかによって対応することとなり、現在ではサラリーマンの多くが65歳まで働くのが当たり前になってきている。

この流れは、年金支給開始年齢の引き上げと深く連動している。老齢基礎年金(国民年金)部分はすでに65歳からの支給で、サラリーマンの厚生年金についても94年および99年の年金法改正で、支給開始年齢が段階的に引き上げられた。その結果、昭和36年4月2日生まれ以降(女性は昭和41年4月2日生まれ以降)の人は、65歳からの支給になる。60歳定年では65歳まで5年間の無収入期間になってしまうのだ。

「それを補うために、企業が従業員に給料を支払う仕組みを国主導でつくっているわけで、今後、65歳定年制に向かうことは間違いありません。しかも、それで落ち着くことはなく、今後も年金の支給年齢引き上げについては検討が続き、将来、引き上げられるのは確実です」

こう話すのは、「年金博士」ともいわれる社会労務士の北村庄吾さんだ。北村さんが、こう断言するには理由がある。これまで、65歳以上になると新規で雇用保険に加入できなかったが、2017年1月以降は新規で加入することができるようになる。さらにこれまで毎年4月1日以降に満64歳以上になる労働者は雇用保険の免除措置になっていたが、20年以降はこれもなくなる。

「これまでは65歳になれば年金が受給できるため、働かなくても生活できるからと失業保険は不要とされていました。しかし、今回の措置は今後は働かないと無収入になるため失業保険が必要になるということを意味しています。これは国がさらに年金支給開始年齢を引き上げる準備でもあるのです」(北村さん)

そのうえで、北村さんはその年金引き上げ時期を「2019年あたりに制度改正があり、67?68歳に引き上げられるだろう」と予測する。もちろん一気にではなく段階的で、いまの30代あたりは67歳になると予想される。

もっとも、こうした年金受給年齢引き上げの動きは日本に限ったことではない。米国は1980年代に高齢化社会による公的年金財源不足に直面し、2027年までに年金支給年齢を67歳に引き上げることになっている。これは他の先進諸国も同様だ。むしろ日本は遅れているほうで、老後も働き続けなくてはならないのは、世界的な潮流なのである。


「企業も働き手も不幸」という状況が起きている

北村さんによれば、定年延長義務化法案によって、いち早く65歳定年制に踏み切った企業もあるが、1年単位で雇用契約を更新する継続雇用制度を導入しているところが圧倒的に多いという。いってみれば企業にとって、積極的に継続雇用したい人はそれほど多くない。言い換えると“あわよくば、更新しないで辞めてもらいたい”というのが本音なのだ。

とはいえ、1年更新の契約形態であっても、本人の希望があれば、懲戒解雇事由がない限り65歳まで継続雇用しなければならない。そのため50代からの賃金を見直し生涯賃金をそのままに65歳まで薄く長く伸ばす賃金体系に変わってきている。

しかも、継続雇用の従業員に与えられる仕事は雑用的なものが多く、企業が「60歳を過ぎれば戦力外、という企業の本音が透けて見える」と北村さんはいう。しかし、そのような扱いを受けても、スキルがない人はそんな企業にしがみつくしかない。企業にとっても、働き手にとってもハッピーとは言えない状況となっているのがいまなのである。

その一方で、少子化による労働人口激減に備え、働き手の確保はどんな企業にとっても急務。そのため「経験を積んだ使える50代、60代」は引く手あまたともなっている。

しかし、そこで大きな障害になっているのが介護離職の問題だ。介護のために優秀な人材が離職することは企業にとって大きな損失。一方、国にとっては介護保険と失業保険をダブルの支給になり、介護離職を減らしたい。そこで企業支援のためにさまざまな助成金制度が設けられているという。

また、この8月からは企業の介護休業の仕組みが変更される。これまで93日間の介護休業は、同じ理由で分割して取得することは認められなかったが、新しい規定ではこれが分けて取得できるようになる。

一億総活躍社会は一億総死ぬまで働け社会

さて、将来支給年齢が引き上げられることは確実な年金だが、その金額はどうなるか――。

北村さんが注視しているのが年金に「マクロ経済スライド」が取り入れられた点だ。マクロ経済スライドとは、保険料を支払っている被保険者がどんどん減っているのに対し、平均寿命が延びてきている状況を数値化し、それを物価の上昇分から差し引く仕組みのこと。

これまでは物価が2%上がれば年金も2%上げるという考えだったが、これからはそうはいかない。「おおまかに計算して、年に約1%ずつ年金額が目減りしていきます」(北村さん)というように、10年後の年金額は、いまより1割減ることになる。

現在は40年間サラリーマンとして働いてきた夫と専業主婦の妻という世帯の平均年金額は、月22万?23万円程度(企業年金含まず)。しかし、いま50代の人が年金受け取りが始まる頃には、20万円程度になる。

現在でも年金だけでは毎月の生活費が6万円不足しているという統計データがあるのに、さらに年金が減れば、年金だけではまともに生きていけない時代で、誰もが働かなくてはならない。いわば「一億総活躍社会」とは、「一億総死ぬまで働け社会」ということなのである。

キャリアデザインで一発逆転の可能性も

そうはいっても、そもそも65歳以降も仕事はあるのだろうか。その答えは、自身のキャリアデザインができるかどうかにかかっているのだ。

そこで国はキャリアコンサルティングの資格を国家資格にし、企業に対してはキャリア制度を導入した際には合計100万円の助成金制度も設けている。「これは企業主導でキャリア研修を行い、早くから従業員の意識改革を促すための施策」と北村さんは指摘する。そのうえで「しかし、いくら国が後押ししても、企業が研修を行ってみても、そこで気づく人は2割、そのうち行動するのが2割。つまり、気づいて行動する人は全体の4%しかいないと言われているんです」

と笛吹けど踊らずで、まだまだサラリーマンの意識は低く「会社がなんとかしてくれるだろう」と考えている人が圧倒的に多いのが現状だ。

その意識改革には何が必要なのか。FPでミドルシニアのキャリアコンサルタントを行っている奥村彰太郎さんに解説してもらおう。

奥村さんによれば、こうしたキャリアコンサルティングの細かい研修内容は企業によって異なるものの、60歳の定年を迎える前に、継続雇用などの会社の制度や給与体系をきちんと把握し、そのうえで自分で自分の将来設計を立ててもらうのが主な目的であることは共通しているという。そして、重要な点についてこう指摘する。

「まず、50代という年齢はとても重要な時期だという認識を持つことです。そして、自分がこれまでなにをやってきたかを振り返り、得意領域を洗い出すこと。さらに、それに磨きをかけることです」

もちろん、これは会社におけるポジションとは関係ない。役職が部長であろうと課長であろうと、定年後はそんなことになんら意味はない。必要なことはどこに行っても通用する「スキル」を持っているかだ。

たとえば、中国関係のビジネス経験のある人なら、中国とのパイプを太くし人脈を広げる、また中国語を勉強することも1つだ。つまり、自分の価値を高めておくことが重要なのだ。もちろん、いま勤務している会社で継続雇用されるにせよ、別の会社に再就職する、また起業するにしても「自分に高い価値を付けておく」ほど有利なことはない。

ところが、多くの50代が、定年後について真剣に掘り下げることを避けていると奥村さんはいう。

「65歳までは会社がなんとかしてくれると思って意識改革ができず、最後はお荷物扱いされながら会社にしがみついてしまうんですね」

とくに、輝かしい学歴を持ち、大企業に入り、それなりのポジションにあるジェネラリストほど危ない、と奥村さんは指摘する。

「なまじ、高い給料と居心地の良さを享受しているために、それを失ってからについて考えることから逃げてしまうのです」

むしろ、病気をしたり、不本意なポジションに置かれた経験のある人は、嫌でも将来のことを考えなければならず、その意識が高くなるのだという。「せっかくの50歳という節目を、もっと大事にして欲しい」と奥村さんは強調する。

「60歳に入って、定年目前では遅いが、50代はまだまだ方向転換ができる年齢です。洗い出したスキルを伸ばしたり、新しい資格取得にもチャレンジできます。それをやったかによって、60歳からの継続雇用条件を有利にするばかりでなく、いまいる会社からの評価が変わり、これから出世する可能性も出てくる一発逆転のチャンスもつながります」

そのためには、会社の中期計画をしっかり見ておくことだ。会社が今後、何に力点を置くのかをつかみ、そこで求められる人材になることがポイントだ。また、中小企業に移って大切にされている人もいる。

「中小企業は役職定年などないところも多いのですし、60歳を過ぎても賃金はそのままという会社も多い。そのため大企業から中小企業に転職することで、生涯賃金が多くなることもあるんです」(奥村さん)

50歳から60歳までの10年間をどう活用できるか「結論をすぐに出さずとも、とにかく逃げずに考え始めるだけでもいい」と奥村さんが言うように、50代は自分の意識を変えることが求められている。

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