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特集記事|月刊BOSSxWizBiz

2016年6月号より

「Fin Tech」バブルがやってきた!|月刊BOSSxWizBiz

いつの間にか、新聞や雑誌で「FinTech」の文字を見ない日がなくなっ た。ひと言で言えば金融とIT 技術の融合ということだが、ネット証券の時 代から、両者は融合していたはず。ではいまなぜブームになっているのか。FinTechによって何が変わろうとしているのか。既存の金融業は生き残る ことができるのか。我々の生活は豊かになるのか。ブームが去った後に何 が起きるのか。その全貌を明らかにする。

ムーアの法則

FinTech(フィンテック)――いまではこの言葉自体は誰でも知っている。しかしそれが社会に及ぼす影響について、いったいどれほどの人が知っているだろうか。

フィンテックとは、Finance とTechnologyの造語。すなわち金融とITが融合することで、これまでにない価値を提供しようというものだ。

「ムーアの法則」とは、インテル創業者のゴードン・ムーアが予言した、「半導体の集積度は18~24カ月で倍になる」というもの。半導体の性能が、指数関数的に向上することを意味している。最初に唱えたのは1965年だったが、以来50年たったいまでも、ムーアの法則は成立する。IOTやAIの急速な発展も、その延長線上にある。少し前までは不可能だったことが、いまではどんどんできるようになり、AIは囲碁で人間を負かすまでになった。

フィンテックも同じこと。ITの急速な発展と、スマホの普及によって、新しい付加価値を持つサービスがどんどん誕生している。片手に収まる携帯電話で銀行振り込みや買い物の決済が行えるなど、少し前までは夢物語だったが、いまでは誰もが当たり前に受け止めている。この恩恵は先進国だけでなく発展途上国でも享受できる。アフリカで銀行口座を持っていない人でも、スマホを使って送金ができる時代となったのだ。フィンテックは社会インフラが未整備という壁を、いとも簡単に乗り越えた。同時にIT技術者たちの自由な発想と好奇心が、硬直的な金融システムの限界を打ち破ったとも言えるだろう。

フィンテックやAI、IOTなど一連のイノベーションは、農業革命、産業革命、IT革命に続く第4の経済革命と位置付けることができる。それほどにまで大きな変化の波が押し寄せているのだ。

フィンテックの特徴は、前述のように地域の壁や貧富の壁を破るところにある。従来の金融システムでは先進国と発展途上国、富裕層と貧困層とでは受けるサービスに大きな違いがあった。ところがフィンテックによって、高度なサービスの利便性が大きく向上した結果、誰でも同じようなサービスを受けることができる。

一例を挙げよう。これまでフィナンシャルアドバイザーに資産管理を相談できるのは富裕層に限られていたが、ロボアドバイザーという自動資産管理サービスなら、だれもが極めて安いコストで利用できる。このような例はいくらでもある。

こうして書くと、フィンテックにはいいとこだらけのように思えてくる。どんなに大きな波が押し寄せようとも、それによっていままでできないことが可能になり、新たな付加価値を持ったサービスを利用できるなら、歓迎するべきだろう。しかし大きな変化には、必ず陰がある。

「これまでの革命は、経済を大きく成長させ、人々を豊かにした。ところが今度は、経済が大きくなるように働くというよりは人々の生活にゆとりをつくる方向に働く」と指摘するのは、フィンテック問題に詳しい安田育生・ピナクル会長兼社長だ。

たとえば、フィンテックのひとつであるクラウド会計ソフトを使えば、帳簿をつける作業から解放される。しかしその一方で、企業の会計部門や税理士などの仕事を奪うことにもつながる。フィンテックでは、このような事例が数多く発生するため、大きな混乱を招くことが予想される。

金融機関への影響

中でも大きな影響を受けるのが、金融機関だ。これまで送金や決済、融資といった業務は銀行など金融機関の独占事業だった。ところが前述のように、金融機関を介さない、決済や送金が現実に広まり始めた。「これまでは銀行しか選択肢がない時代が長く続いた。フィンテックにより銀行以外の選択肢ができ、金融のあり方が大きく変わる」(安田氏)新たな選択肢を提供するのは、スタートアップ企業とも呼ばれるITベンチャー。別稿でも紹介しているが、「銀行のライバルは銀行」という時代から、「銀行のライバルはグーグルやフェイスブック」という時代が到来したのだ。

ある予測によると、銀行の従来業務の4分の1は、フィンテックに取って替わるとの予測もある。スタートアップ企業が、銀行業務を削り取ろうとしている。

加えて、ブロックチェーンの登場が、さらなる大変革を加速する。ブロックチェーンは、仮想通貨「ビットコイン」の中核技術だ。日本ではビットコインの交換所を運営していたマウントゴックスが不正を行ったことで傷を負ったが、世界の舞台では、その手数料の安さもあって、利用者がどんどん増えている。

従来の銀行のビジネスは台帳が基本となっている。この台帳が改竄されないよう、銀行は多額のコストをかけてデータ管理を行っている。ところがブロックチェーンは、台帳の代わりに世界中のコンピュータが相互承認をすることで、正当性を保証するものだ。その思想は、従来の銀行とは対極にある。

フィンテックによって銀行業務の一部が削り取られ、ブロックチェーンがそれを加速する。このままでは銀行は、存在意義を問われることになりかねない。

そこで、ここ1、2年、メガバンクはフィンテック対策に本腰を入れ始めた。従来の自前主義を捨て、オープンイノベーションにより、銀行では絶対に発想できない新しいサービスを取り入れようとしている。

金融機関を監督する金融庁も、昨年初めてフィンテックという言葉を行政方針の中で使い、サポート体制を本格化させている。

銀行や金融庁は、本来、非常に保守的な組織だ。特に日本の官庁は前例のない新しいものに対しては否定から入ることが多い。ところがフィンテックに対してだけは、従来にない積極的な取り組みを示している。これは、フィンテックの衝撃の強さの裏返しで、いま手を打たなければ、日本の金融システムが世界に取り残されるとの危機感が背景にある。

日本でも世界でも、フィンテック投資は大きく伸びている。金融の大きな波が、世の中を飲み込もうとしているようだ。

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