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2013年8月号より

家事代行のトップランナー 目指すは売上高100億円
高橋健志 ベアーズ社長

高橋健志 ベアーズ社長

たかはし・けんじ 1969年東京生まれ。91年東海大学文学部を卒業し東京ベイホテル東急入社。95年同社を退職し夫婦で香港に移住。宝飾業に携わったあと帰国、米国留学を経て99年10月、家事代行サービス業のベアーズを設立、社長に就任した。関東、関西それぞれで事業を展開している。

女性の社会進出をサポート

―― 働く女性が増えたことで、掃除や洗濯などの家事をアウトソーシングする家庭が増えています。ベアーズは家事代行サービスの大手ですが、企業規模はどのくらいですか。
高橋 昨年の売上高で約15億円です。設立したのが1999年ですから、十数年かけて、ようやくここまできたというところです。

―― もともとどういうきっかけで家事代行サービスを手がけようと思ったのですか。
高橋 90年代に私たち夫婦(夫人は高橋ゆき専務)は香港で働いていました。そこで子供も生まれたのですが、だからといって妻が仕事をやめることはなかった。というのも、香港にはフィリピン人のメイドがたくさんいて、日本円にして月5万円程度で住み込みで働いてくれる。だから心配なく共働きを続けることができたのです。

ところが、日本に帰ると家政婦を使うとなると非常に高い。とてもではないけれど、普通の家庭で雇うことはできません。そこで、時間貸しの家事代行サービスはできないものかと思って、この会社を立ち上げました。

その頃からすでに女性の社会進出に対する期待は高まっていました。男女雇用均等法が施行されてから10年以上たっていましたし、少子高齢化で、女性の労働力がますます重要になることがわかっていました。

ですから、女性の社会進出をサポートする家事代行サービスに将来性があることはわかっていました。

問題は、日本で家事代行というと、家政婦の概念しかないことでした。時間貸しサービスといってもイメージが湧いてこない。それをお客さまに説明しなければならない。それが浸透するまでが大変でした。そこでいちばんわかりやすい、ハウスクリーニングサービスから始めました。

―― お客はすぐについたんですか。
高橋 最初は自分1人でなんでもやりました。チラシをつくり、ポスティングをするのも私ですし、お客さまのところへ行って掃除をするのも私です。

でもサービスを開始したのが10月だったため、最初は年末の大掃除需要もあり、けっこう注文がありました。ところが、年が明けたとたん電話が鳴らなくなりました。まったくといっていいほど仕事がなくなったのです。

前の年の1月に2人目の子が生まれていたため、妻には電話番をしてもらっていました。ところが注文がないため、結局、妻は外に働きに出て、開店休業の私が家事をするという生活が3年ほど続きました。いまから思うと、この時期がいちばん苦しかったですね。資金繰りにも苦労しました。

―― 高橋さんは香港で生活したあとアメリカに留学、そのあとにこのビジネスを立ち上げています。創業期とはいえ、人の家を掃除するという、語弊はあるかもしれませんが「汚れ仕事」をよくやる気になりましたね。
高橋 繰り返しになりますが、女性の社会進出にとってこのビジネスは必要だという信念があったからでしょうね。清掃業務を行うという考えではなく、女性を応援しようという考えが根底にはありました。

とはいうものの、理想と現実の乖離は大きかったですね。創業まもない頃に友人に会った時に、「何をやってるんだ、お前も堕ちたな」と言われたこともあります。

でも徐々に、お客さまは増えていきました。そしてスポット的にハウスクリーニングを頼むのではなく、定期的に家をきれいにしてほしいというニーズが多いことに気づきました。そこで月に数回、訪問して掃除をするという定期サービスに力を入れていったことで、経営も安定してきて、5年ほどでようやく年商1億円規模にまで成長することができました。

―― 最初の5年で1億円になったものが、そこからの約10年で15億円になったのだから、成長のスピードは上がっていますね。
高橋 いちばん大きいのは、日本人の家事代行に対する概念が変化したことでしょうね。先ほど言ったように、それまでは家政婦を雇うしかなかった。それが時代の変化とともに、時間貸しのサービスが受け入れられるようになってきた。これまで一軒一軒、地道にお客さまの要望を聞いてサービスを続けてきたところに概念の変化が加わったことで、業績も伸びてきているのだと思います。

産業として確立を

―― ダスキンもハウスクリーニングに力を入れています。ライバルはやはりダスキンですか。
高橋 ダスキンさんの場合、ハウスクリーニングに特化しています。ですから掃除はするけれど、流しにコップが置いてあってもそれを洗ったりはしません。

ところがわれわれは、最初から家事代行サービスを目指してきました。最初こそハウスクリーニングでしたが、徐々に領域を広げてきて、2時間なら2時間、その中で家事に関することならできるだけのことをさせていただく。そこが大きな違いです。

―― 確かに業務内容を見ると。家事代行サービスやハウスクリーニングだけでなく、キッズ&ベビーシッターサービスや介護支援サービスもあります。小さい子供からお年寄りまで至れり尽くせりのメニューがありますね。
高橋 家事代行に関するものをやり、お客さまの声を聞いた結果、様々なサービス手がけることになりました。家事に関することならほとんど手がけていると思います。

―― そうなると、スタッフには高い能力が求められますね。
高橋 2000人以上のスタッフがいますが、研修には力を入れています。ようやく家事代行サービスというビジネスが浸透してきたのに、たった1人のスタッフの質が悪いだけで、家事代行サービスそのもののイメージが悪くなってしまいます。そのためにも、スタッフ一人ひとりのスキルやホスピタリティを向上させなければなりません。「お客さま感動度120%」がベアーズのモットーです。

―― 今後の目標を教えてください。
高橋 できるだけ早い段階で売上高を100億円にもっていきたいと思います。というのも、われわれは、家事代行サービスのリーディングカンパニーとして、このビジネスを産業として確立したいと考えているからです。そのためには100億円ぐらいの売り上げがあって、ようやく企業としてのスタートラインに立てるのではないかと思います。

―― 現在、関東1都3県と関西2府2県でのサービスですが、100億を目指すとなると全国展開も視野に入れているんですか。
高橋 家事代行サービスの需要は、大都市圏であればあるほど大きいと思っていますから、まずはいまの地域での掘り起こしが重要です。潜在需要は大きいですから、きちんと掘り起こせば、それだけでも100億円近くいくのではないでしょうか。

そのためには、料金をもう少し下げたい。いま、週1回2時間の定期家事代行サービスの月額料金は2万3000円ほどです。これを2万円以内に抑えることができれば、爆発的に利用者が増えるとみています。ですから、まずはその料金を達成したい。

―― そうなるとスタッフの給料も減るでしょうから、質が落ちてしまうのではないですか。
高橋 そんなことはありません。利用者が増えれば増えるほど、利用者間の距離が近くなるから、スタッフが移動する時間も交通費もかからなくなる。そうすることで、いまのサービスの質を維持したまま、さらなる低価格を実現できるはずです。

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