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2013年4月号より

女性目線で集客に貢献、全員女性のデザイン会社
福森 加苗 アイキャンディ社長

福森 加苗 アイキャンディ社長

ふくもり・かなえ 宮崎県出身。高校時代は体操競技で3年連続インターハイに出場した。結婚により上京。1990年代半ばから、夫が設立したエイジ企画の仕事を手伝うようになる。2007年に社長に就任。翌年、社名をアイキャンディに変更し、現在に至る。40歳。

口コミで広がる集客セミナー

―― アイキャンディは設立が1993年ですから、今年が20周年を迎えるそうですね。それにしてもアイキャンディとは面白い社名ですね。
福森 もともとこの会社は私の夫が設立した会社で、当時は違う社名でした。私が社長に就任したのは、2007年のことですが、翌年に社名をアイキャンディに変更しています。「目のおやつ」、つまり目に楽しいものをデザインしたいという気持ちを込めて名付けました。

―― どういう経緯で社長になったのですか。
福森 私は宮崎出身で、結婚で上京しました。最初は専業主婦だったのですが、じっとしているのが苦手なので夫の手伝いをするようになったのが、この会社に入ったきっかけです。それまで経営の勉強なんかしたことはありませんでした。

ですから6年前に、若返りの意味もあって社長に就任したのですが、自信も何もない。銀行の人と会っても何を話していいかわからない。本当に手探りでここまで来たという感じです。

―― もともとパンフレットやチラシ、DMなどからスタートして、看板やウェブデザインなどを手がけているそうですが、デザイン会社は競争が激しい世界です。その中で、生き残ってきた理由をご自身ではどのように分析していますか。
福森 先ほど言ったように、当社は私を含め10人の社員は全員女性です。意図してそうなったわけではありませんが、それならそれで、女性らしさを活かしていこうと考えました。それが当社の強みです。

女性らしさを活かしたデザインがアイキャンディの特徴だ。

当社のクライアントには、アミューズメント業界(パチンコ・パチスロ)の企業や店舗が多数いらっしゃいます。こうしたところでは、どこも女性を集客したいと考えています。ところが、こうした業界の人はほとんど男性です。女性目線に立てといってもむずかしい。そこで当社が、女性の集客につながるようなデザインの広告をつくる。それが実際に女性客の増加につながっています。

もちろん仕事が入らない時もあります。当社には営業社員はいませんから、そういう時は全員で営業に出ます。東日本大震災後は広告規制もあって暇になってしまい、地区を決めて飛び込み営業をしました。

当社には、デザインだけやりたいなどという社員は必要ありません。だから採用面接が非常に大切になります。デザイナー志望の人はどちらかというと内気な人が多い。でもそれでは営業ができませんから採用しません。でも結果から言うと、お客さんと話すことができる人のほうが、相手の気持ちがわかりますから、いいデザインをしてくれるし、お客さんも喜んでくれるんですよ。

―― 最近では女性集客セミナーも開いているようですが、こうなるとデザイン会社というよりコンサルタント会社のようですね。
福森 本当にそうですね。

―― それにしても、どうしてセミナーを開くようになったのですか。
福森 以前からボランティアで銀行の受付の女性を対象にセミナーを開いていました。ある店の店長と話している時、たまたまその話をしたら、ぜひうちでもやってほしいと言われたんです。そこで引き受けたのですが、女の子が変わると結果がついてくる。それが口コミで広がって、多くの店から声がかかるようになりました。昨年12月には1カ月で18回のセミナーを開いています。

毎朝20分の社内清掃

―― これまでに講演をしたり、コンサルタントをしたという経験があったのですか。
福森 まったくありません。でも、セミナーで話していることのほとんどは、アイキャンディで実行しいることなんですよ。

デザインというのは美を売る仕事です。だとしたら、働く職場は常に美しくしておきたい。それに働いている社員は、いずれお嫁に行き、子供を産み、育てる。その時に困らないようにしておくことが、会社としての責任だと考えています。

ですから、当社の社員教育はかなり厳しい(笑)。

始業は朝9時ですが、朝礼では、朝から大きな声で唱和したあと、お題を決めてスピーチをしたり、お客さまの声を報告して社員で共有するようにしています。朝早く当社に来たお客さまは、こんなことやっているのかとびっくりしています。

その朝礼の前には20分かけて社内掃除です。特にトイレ掃除は重要で、素手で掃除します。玄関や流しも磨きあげる。

トイレに関しては、使い方まで指導します。というのもいくら朝、掃除をしてきれいにしたとしても、使い方が悪かったらすぐに汚れてしまう。ですから使う人一人ひとりが出る時に汚れてないかチェックする。トイレットペーパーはミシン目で切るようにする。2つあるトイレットペーパーは1つ目がなくなってから2つ目を使う等々、事細かく注意します。

床のカーペットも同様で、1つシミができてそれを放置しておくと、どんどん増えてしまう。ですからできたらすぐにきれいにする。これも徹底しています。

―― 確かにこのオフィスはきれいですが、掃除が習慣になるまでは相当、苦労したんじゃないですか。
福森 10年以上前に最初は私1人で始めたのですが、それを徐々に全社員でするようにしていきました。でも根付くには時間がかかりました。最初の3年ほどは、「いやだ」という社員がいましたから。

いまでは全員が、きれいなオフィスで仕事をすることが気持ちいいことだと知っていますが、新入社員の中には、「私、デザイナーなんですけど…」と言う人もいます。「だから?」ですませてしまいますけどね(笑)。

―― そのほか、気をつけていることはありますが。
福森 繰り返しになりますが、当社の特徴は女性らしさです。ですから女性らしくするよう、社員には常に言っています。女性ばかりの職場ですから、ややもするとしゃべり方も動作も荒くなってしまいます。そうならないよう気をつけています。あと、スッピンもご法度ですし、洋服のセンスも重要です。

面白いもので、洋服のセンスのいい子は、デザインのセンスもいいんですよ。美しくいることを意識し続けていることが、仕事にも反映されるんでしょうね。

―― 今後の目標は何ですか。
福森 ここ半年ほどで業務内容が大きく変わってきました。集客セミナーもそうですし、店舗設計も始めました。結果的に目に美しいものができれば集客になるということで実施しているのですが、社員にしてみれば私がどこに行こうとしているか不安かもしれません。

そこで今年の正月明けに社員に対して「今年は挑戦の年、突き進む。安定はさせない」と宣言しました。とにかく柔軟に、ニーズに合わせて動いていきたいですね。

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WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

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