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2012年11月号より

三原 淳  エムアイエス社長

1967年東京生まれ。専修大学経営学科を卒業しファイザー製薬に入社。その後、東急ストア、OA機器販社、印刷会社を経て、ダイワコーポレーション入社。2000年有限会社エムアイエス設立(後に株式会社化)。同年に「マンマチャオ」のFC展開を始めた。

首都圏を中心に100店を超えるコインランドリーFC(フランチャイズチェーン)、「マンマチャオ」を展開する、エムアイエス社長の三原淳氏。いくつもの会社を渡り歩いた三原氏が、いかにしてコインランドリーと巡り合い、FC展開することになったのか。

■社会人の出発はファイザー■

―― いま日本全国にはどのくらいの数のコインランドリーがあるんですか。

三原 全部で16,000店ほどあるようです。

―― 昔はコインランドリーというと銭湯に併設されていて、洗濯機を持たない学生が風呂に入るついでに洗濯していたというイメージがありましたが、いまでは店舗も機械もずいぶんと大型化したようですね。

三原 16,000あるコインランドリーのうち、約5,000店が大型店だと言われていますし、これからも増えていくと思われます。当社が展開している「マンマチャオ」も大型コインランドリーで、この9月に100店を突破しました。

―― 三原さんはもともと専修大学を卒業したあと、ファイザー製薬に就職したそうですが、それがなぜ、コインランドリーのFC展開を手がけるようになったのですか。

三原 少し英語ができたものですから、海外で仕事をしたいと考えました。そこで外資系企業ならいずれ海外に行けるだろうと思ってファイザー製薬に入社したのですが、回されたのは営業職です。成績は上位でしたが、どうも面白くない。それで10ヵ月で退社してしまいました。
その後、東急ストアやOA機器販社、印刷会社と転職しますが、印刷会社時代にカタログをつくっていた縁で、コインランドリー機器輸入商社のダイワコーポレーションに入りました。

―― ようやくコインランドリーが出てきました。

三原 この会社は、コインランドリー向けに機械を輸入し卸している会社で、私は30歳でそこのナンバー2になりました。ところが、新しい事業本部長が入ってきたとたん、私の待遇が悪くなってしまいました。それで退職を決意しました。
当時輸入されていたコインランドリー機器は、シェア一位がヒュービッシュ製で、二位がデクスター社。ところが当時、デクスターの代理店が日本にはなかった。そこで私は本社とメールのやり取りをして、代理店契約を結ぶことができた。それで独立することにしたのです。
親に頭を下げてお金を借りて、資本金500万円で有限会社を立ち上げました。2000年9月のことでした。

―― 事業はすぐに軌道に乗ったのですか。

三原 とんでもない。前の会社の得意先は、コインランドリーのFCチェーンの本部でした。そこに卸せば一度に大量に販売することができる。私もそういうルートを開拓したかったのですが、すでに既存業者に押さえられていてうまくいかない。そこで考えたのが、自らFC本部を立ち上げたらどうかということでした。
会社設立の三ヵ月後の一二月には「マンマチャオ」の1号店をオープンさせ、自らFCを展開しながら、加盟店に対して直輸入・直販するようになったのです。
でも5年間は社員ゼロ。クルマにスーツと作業服を積んで、営業に歩く一方、機械のメンテも自分でやっていましたから。5年後、加盟店が30店ほどになり、年商が1億円を超え、初めて社員を採用したころからやっと余裕が出てきました。

■チラシ配布で啓蒙活動■

―― コインランドリー業界も競争が激しいようです。どうやって他社と差別化しますか。

三原 コインランドリーは24時間営業ですから、それに対応して24時間稼働するコールセンターを設置しています。これは業界でも初めてのことです。あるいは、アトピーの人でも安心できる洗剤を、洗剤メーカーと一緒に開発していますし、水に工夫を凝らすことですすぎ時間を短縮、従来45分かかっていた洗濯が19分で終わるようにするなど、さまざまな努力をしています。
こうした工夫は、会社設立の翌年、初の直営店を持った時から始まりました。この直営店は立地があまりよくないこともあり、大変苦労しました。その過程でどうしたらうまくいくか、加盟店さんの立場やお客さんの立場に立って必死になって考えました。その結果が、いま言ったような形で結実しています。
こうした工夫はFC本部にとってもありがたい。かつて日本には、1,000店を超えるチェーン店を持つコインランドリーがありました。しかしいまはもうありません。というのも、そこは加盟店に対して機械を売ってそれで終わりでした。その後は、加盟店からの収益はありません。
でも私たちはコールセンター費用として月に15,000円いただいていますし、洗剤代も受け取っている。お客さんにも加盟店にも喜んでもらいながら我々にも日銭が入ってきます。

―― ウィン-ウィンの関係を活かしてライバルに差をつけようということですね。

三原 でも、本音を言うと、他社のことはどうでもいいんですよ。他社からお客さんを奪おうとも思っていない。なぜなら、まだまだコインランドリーを利用されてない方がたくさんいるからです。半径2km内の利用者はわずか2%です。これを3%、4%と伸ばしていくほうが、はるかに大切です。
そこで「マンマチャオ」では、新聞の折り込みやポスティングを通じての販促をやるようにしています。これを月1回、1年間続けると確実に効果が出てきます。
2月のチラシには、花粉症対策にコインランドリー。ゴールデンウイークなら、レジャーで出かけてたまった大量の洗濯物もコインランドリーの大型洗濯機なら一度で洗える。8月になったらタオルケットを洗おうなど、コインランドリーの使い方を啓蒙していく。コインランドリーの良さを伝えていくわけです。
一度でも使っていただければ、こんな便利なものはないと思っていただける。コインランドリーを利用することがライフスタイルの一部になるよう、啓蒙活動に励んでいきます。

(聞き手=月刊BOSS主幹・関 慎夫)

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