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経営者インタビュー

2016年5月号より

40年の技術の蓄積でフィンテック革命をリードする SJI会長 八木隆二 SJI社長 牛 雨

やぎ・りゅうじ 1969年生まれ。2010年フィスコ入社、ネクス取締役などフィスコグループ会社数社の取締役を務め、昨年6月、SJI会長に就任した。

にゅう・いゅう 1962年中国生まれ。98年サン・ジャパン(現SJI)入社。サービス事業部長、イノベーションセンター長等を経て、今年1月、社長に就任した。

金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)が融合したフィンテックへの注目が高まっている。技術の進歩により、これまでにない金融サービスが可能になってきた。そのフィンテック事業の強化を、金融システム構築に強みを持つSJIが打ち出した。その狙いを、八木隆二会長、牛雨社長の2人に聞いた。

金融インフラが変わる

―― SJIは2月1日付でフィンテック戦略室を設置し、フィンテックへの取り組みを本格化させています。その狙いを教えてください。
 SJIはこれまで40年にわたり、金融分野のシステム構築で実績を上げてきました。日銀の銀行間決済システムをはじめ、勘定系、情報系の銀行システム、さらには大手証券や信託銀行、クレジットなどの業務にも携わってきました。

その一方で、技術が進み、金融とテクノロジーが融合し、さまざまなイノベーションが創出されるなど、新たな局面を迎えており、我々がこれまでに蓄積した技術や経験を活かすことで大きなビジネスチャンスが生まれると考え、フィンテック戦略室を設置、私が室長を兼務することにしました。

八木 フィンテック戦略室は、従来のイノベーションセンターを改組したもので、同センターでは全社の持つ高度なスキルを集約し、金融の最先端分野のR&Dを担当してきました。当然ながら、フィンテックのR&Dも行っています。それをフィンテック戦略室に改めたのは、今後、SJIがフィンテックに注力をしていくと宣言するためです。社外だけでなく同時に社内にも発信し、今後の我々の進むべき道を明確にさせるということです。

―― 欧米に比較して、日本はフィンテックへの取り組みが遅れていると言われています。投資額をみても、2014年には世界全体では120億ドルだったのに対し、日本では5000万ドルにすぎません。
 これはタイミングの問題です。日本の金融システムは非常によく整備されているため、フィンテックへの投資は欧米や中国などが一歩リードしていたという側面があったと思います。でも日本でもここにきて機運が高まっています。これから大きなビジネスに育っていくはずです。

―― フィンテックと言っても、その範囲は非常に広いですね。
八木 金融とITが組み合わされればなんでもフィンテックです。例えばスマホでネットバンキングするのもフィンテックです。ですから、いま急に始まったものではありません。ただし、ここにきて重要な因子が登場したことで、さらなる変革が起きている。それがブロックチェーンと人工知能(AI)です。

ブロックチェーンが金融インフラに活用されることによって、これまでのIT活用とはまったく違う世界が到来します。

―― ブロックチェーンというと、2年前に大騒動を起こしたビットコインの中核技術ですね。
八木 そうです。その根本的な考えは、「信頼される第三者を必要としない」ということです。預金が100万円ある人は、預けてある銀行がその預金を担保しています。そして銀行は金融庁や日銀によって担保・保証されている。つまり、第三者の保証や信頼があって100万円の預金が証明されるわけです。

ところがブロックチェーンは、第三者の保証が必要ない。インターネットでつながった不特定多数の人たちが相互に承認することで保証される。金融決済も相互承認により行われる。ブロックチェーンによってこれまでの金融システムのパラダイムが根本から変わっていきます。

―― ブロックチェーンにはどんなメリットがあるんですか。
八木 インフラコストが小さくなります。いままでは、唯一無二のマスターデータがありました。仮にこれがなくなればすべての情報を喪失してしまう。ですからけっしてダウンさせてはいけないため、膨大なコストをかけて管理してきた。

ところがブロックチェーンの場合は、何十万、何百万というノードに等しいデータが分散されているため、この中のどれかひとつが生きていれば、データは失われない。バックアップや冗長化も必要ないため、ゼロダウンタイムを実現するためにこれまでかけてきたコストが大幅に削減されるとともに、システムの安定化にもつながります。さらには改竄不可能なセキュリティ環境も構築できます。

実証実験スタート

―― 金融機関はこれまで巨額を投じて金融システムを構築してきました。それを根本から覆す新システムには否定的ではないのですか。
 世の中の流れというのは止めようがありません。その流れに乗り遅れるか、それとも先んじるかといえば、答えはひとつです。だからこそ国内の3大メガバンクもすべてフィンテックに対応しようとしていますし、仮想通貨構想を打ち出したところもあります。実際、デジタルキャッシュが流通するようになったとしても、それを発行するのはやはり銀行です。そういう意味で、銀行の信用はこれからも金融システムの中心にある。そこへフィンテックが加わることで、より安く、安定的にシステム構築ができるようになります。

「フィンテックのあらゆる可能性に準備する」と八木隆二会長。

八木 こうした動向は、一企業によってどうにかなるものではありません。でもブロックチェーンのような分散化への動きは、世の中の潮流として不可避です。その中で、最適なソリューションを提供することが、SJIの役割です。

 ただし現段階では、フィンテックがこの先、どう進んでいるのか、金融の業務にどのような影響を与えるのか、どこに行きつくのか、何ができるようになるのか、不透明なところもあります。

そこでSJIでは、ブロックチェーン技術によってどんなことができるのか、お客様がイメージできるよう、実証実験を行っていきます。

具体的には、テックビューロと協業し、同社のプライベート・ブロックチェーン基盤「mijin」を使った実証実験を行います。これにより、お客様のビジネスにどう利用できるか、どう活用すればイノベーションにつながるのか、お見せしたいと考えています。

―― AIではどんな取り組みを行っていますか。
八木 SJIの親会社であるフィスコと連携し、株価自動予測システムを開発していきます。従来にも株価を予測するシステムはありましたが、AIの活用で、自動学習型の自動予測システムを構築していきます。

―― フィンテックをビジネスチャンスと捉えている企業も多いということです。その中で、SJIの強みはどこでしょう。
八木 先ほど牛が言ったように、SJIは40年にわたり金融システムの構築を手掛けてきました。そのため金融インフラの膨大な知見を幅広く有しています。

金融システムにブロックチェーンやAIを活用するには、既存のシステムがわからないと、成約条件がどこにあるのか、どういう適用の仕方が考えられるのか、あるいはどんな弊害が生じるのか、等について考えが及びません。その点、SJIは、知見の蓄積があるため、感度を持って対処できる。そうした特異なポジションにあると自負しています。

乗数的に成長する

―― フィンテック市場は今後、大きな伸びが予想できるだけに、期待も大きいですね。
八木 ブロックチェーンやAIが乗数的に普及していくとしたら、我々も乗数的に対応していきます。マーケットの成長スピードに負けないスピードで事業を拡大していこうと考えています。

―― 競合相手はどこですか。
八木 あまり考えたことはありません。他社より先んじているという意識はありますが、ライバルがいないということではなく、他社を見るよりもマーケットを見るべきだと思うからです。

フィンテック戦略室室長を兼務する牛雨社長。

―― 逆に、SJIに足りないところがあるとしたらどこでしょう。
八木 自社プロダクトを生むためのマーチャンダイジングでしょうか。

いままでの金融サービスは、行政や銀行が規定するものでした。そのソリューションを我々は技術力で提供する。ですから、基本的には金融機関のサービスが主で、我々は従でした。しかしフィンテックにより、技術先行で新しいサービスが世の中に生み出される。ということは、これまで従の立場だった我々が、主体的に新しいプロダクトをつくり出していける。

ところがこれまでは従からのマーケティングしかやってこなかった。今後は、自ら主導的にマーケティングを行い、マーチャンダイジングをして、金融機関などへ提案していかなければなりません。そこがまだ弱い。

これを強化するには、社内文化を含めた企業風土を刷新する必要があります。そうしなければ世の中に新しい提案をする立場には立てません。

―― 最後に、いま足元の目標を教えてください。
 先ほども言ったように、ブロックチェーンの実証実験が始まりました。日本ではまだ、ブロックチェーンがどういうものか、何ができるのか、十分に浸透していません。ですから実験を通じてお客様に理解をしてもらうことが、フィンテックビジネスの第一歩です。

八木 そのうえで、できるだけ早く、課金ベースのサービスを提供していきます。同時に、フィンテックは今後どう進むかはっきりとはわかりません。ですから、ありとあらゆる可能性を考えて柔軟に対処できるよう、準備を進めていく方針です。

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