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2016年5月号より

食べる・行く・住む 目指すは郷土料理を通じた地方活性化 瀬川雄貴 ロケーションリサーチ社長
瀬川雄貴 ロケーションリサーチ社長

瀬川 雄貴 ロケーションリサーチ社長

せがわ・ゆうき 1985年生まれ。出生地は兵庫県だが東京育ち。大学卒業後、マーケティング会社を経てウェブマーケティングを手がける会社に転職。2007年に中学校時代の友人と2人で郷土料理をテーマとしたロケーションリサーチを設立した。

郷土料理店のネットワーク

―― 瀬川さんが社長を務めるロケーションリサーチは、郷土料理の魅力を広めることで地域振興を図ることを目的としているそうですね。起業のきっかけを教えてください。
私自身、食べ歩くのが大好きだったということが、起業の大前提としてあります。食べ歩くうちに、郷土料理には何百年も続く、一過性ではない魅力があることに気づいていった。そこで2007年に会社を設立するのですが、この年は食品の偽装問題が頻発する一方で食料自給率の低下が話題になるなど、食への関心が高まっていた。そうであるならば、本物のストロングスタイルである郷土料理を通じた事業が可能なのではないかと考えたのです。

―― 事業内容は、郷土料理のイベントの企画・提案や、レシピなどのコンテンツ提案、さらには販売促進につながる料理教室などの導入提案ですが、最初からこうしたビジネスモデルを考えていたのですか。
違います。東京には全国から人が集まっています。そして全国の料理も集まっています。そこで最初は郷土料理店のPRを行うことでお金をいただこうと考えていました。でもなかなかうまくいかない。そこで発想を変えました。それまでの営業活動で、郷土料理店とのネットワークはできつつあるのだから、彼らの持っているスキルや情報に対価を払い、企業などに売り込んだらどうか、と考えたのです。

このビジネスモデルを展開するうえで大きかったのが、2007年暮れに農水省が選定した「郷土料理百選」の企画・運営を任されたことでした。

―― 何の実績もない会社が、よくぞ官庁の仕事を請け負うことができましたね。
最初は農水省の代表番号に電話するところから始めました。ただしその時点で、営業先として回っていた郷土料理店数十店との関係性を持っていた。これが手土産になったようです。

この郷土料理百選を手がけると、次に調布市から、半年間の料理教室の依頼がありました。営業活動はしていませんでしたが、「百選を習う料理教室をやってほしい」という市民の声が寄せられたことがきっかけでした。その後、食品スーパーのマルエツからも同様の依頼があるなど、ビジネスが回り始めました。

―― 先生はどうやって手配するのですか。
郷土料理店の料理人や女将さんにお願いします。みなさん面白がって引き受けてくれますよ。

料理教室以外の仕事もこのやり方です。たとえば、ある冷凍食品メーカーに、北海道と九州の郷土料理の丼メニューの提案を行い、採用されましたが、この時も郷土料理店の力を借りて、メニュー開発を行いました。また、さまざまなイベントで郷土料理の実食を行っていますが、これも、郷土料理店の方々に手伝っていただいています。

子供の郷土料理サミット

―― 小学生のためのイベントも運営してるそうですね。
農水省から、子供たちに和食の魅力を理解してもらう場をつくりたい、という希望が出されたので、「日本全国こども郷土料理サミット」という企画を提案したところ採用され、昨年まで3年連続で開催しました。

小学1~3年生の児童には、郷土料理の絵を描いてもらい、優秀作品を表彰します。4~6年生には、地元で伝承されている郷土料理の食材や調理方法、特色、地域や行事との関わりをワークシート形式で書いてもらいます。そして全国9ブロックから代表を選出、渋谷の国連大学で発表会を開催すると同時に取り上げた郷土料理の実食も行います。昨年のサミットでは、1000件ほどの応募がありました。

―― いまでは地方に行っても、駅前にあるのは全国チェーンの飲食店だらけです。郷土料理に未来はあるのでしょうか。
これから回帰すると思います。確かにどこに行っても全国チェーンの店はありますが、だからこそ、やがて不便であってもそこでしか食べられない料理を求めることに行きつくのではないでしょうか。B級グルメのイベントには何万人もの人があつまりますし、地方の料理を紹介するテレビ番組も人気です。

―― 今後、どのような活動を考えていますか。
いま手がけていることはさらに拡大していきたいと思っています。さらには、海外への発信も考えています。いままでにも、日本にいる海外の方に郷土料理教室を開いてきましたし、評判もよかった。来日する観光客も増えていますから、この人たちにも日本料理の良さを伝えていきたい。同時に、海外にいる人たちに対しても、日本の郷土料理、日本の食材のよさを知ってもらいたい。その準備を始めています。

もうひとつは、都道府県のアンテナショップとのコラボレーションです。東京には、多くのアンテナショップがあります。ここには、それぞれの地方の食材や料理などが販売されています。いわば宝の山です。ここと組むことで、郷土料理への関心をさらに高めることができるのではないかと考えています。

私たちが目指すのは郷土料理を通じた地方の活性化です。郷土料理を食べて、そのおいしさに気づいた人が、次はその地方から食材を取り寄せる。さらにはその地方に旅行する。こうした人が増えていけば、中にはそこに住みたいという人も出てきます。実際、私たちの運営したイベントをきっかけに、地方に移住した人もいます。これほど嬉しいことはありません。

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