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2017年7月号より

Do you know ORIX?|月刊BOSSxWizBiz
オリックスの最大の特徴はすべて“金融視点”から入ること オリックス社長兼グループCEO 井上 亮
オリックス社長兼グループCEO 井上 亮

オリックス社長兼グループCEO 井上 亮

いのうえ・まこと 1952年10月2日生まれ。東京都出身。75年中央大学法学部卒。同年オリックス入社。2003年投資銀行本部副本部長、05年執行役でプロジェクト開発本部長、06年常務執行役兼業務改革室管掌、08年海外事業統括本部長、09年グローバル事業本部長、10年取締役執行役副社長で投資銀行本部統括。11年1月社長兼グループCOO、14年1月グループCo‐CEO、同年6月からグループCEO。

海外収益で約1000億円

── 欧米、アジアを問わず、世界情勢が例年にも増していろいろと動きが激しいですが、世界の激動ぶりは直接間接、ビジネスに関わってくることもあると思います。そこにはリスク要因とビジネスチャンスとが混在しているわけですが、国際派の井上社長はどう見ていますか。
英国のEU離脱問題に関しては、当社は英国のエクスポージャー(出資金や貸付金がリスクに晒される度合い)はゼロですし、むしろこれから投資するチャンスも出てくると思っています。また、我々は製造業ではありませんので、米国のトランプ政権の政策にも大きな影響は受けません。強いて言えば、トランプ政権発足後、株価がどういう動きをしていくのかなというのは注視していました。

僕はたまたま、トランプ氏が大統領選挙で勝利宣言した時、出張でニューヨークにいたんですが、いまはもう、何がどう転んでもおかしくない時代。そういう意味では、これからはこちらの方向だよねと思って、決め打ち的な投資をしたら絶対にダメです。

── 一方で、国内の景気見通しですが、東京五輪まであと3年強、五輪後の不況などはどの程度、想定していますか。
五輪といっても、前回(1964年の東京五輪)と違って、いまはインフラはほとんど整備できているので、五輪による我々の仕事の影響度はないですね。ただ、これから不動産やホテルといった業種の事業はピークアウトしていきますので、そのあたりはよく見ておかないといけないとは思っています。

五輪後にリセッションも出てくるでしょうけど、機関投資家のほとんどは外資系です。その外資系の投資家たちが一番、心配しているのはやっぱり為替ですからね。為替が円高に振れれば、彼らはそれだけで10%や20%のキャピタルゲインが取れますから、為替の行方がどうなるかが、一番大きな関心事なのです。

最高益を更新し、純利益3000億円も射程に入れた井上亮・オリックス社長。

── さて、社業では今年1月以降、井上社長自らグループIoT事業や新規事業を管掌されましたが、その狙いはどこにありますか。
この手の事業は、予算云々などと言う前に、とにかく1年か2年やらせてみようと。所属部門からいろいろ説明は受けていますけど未知数というか、たとえば新聞等のメディアに載っているようなIoTビジネスの話は、我々の事業に結びつくような話はあまりないと思っています。IoT以外も含めて、まだまだ話題先行ですよね。

IoT関連企業に投資するベンチャーキャピタルなども含めて、話題先行の会社ってだいたいその後、みんな消えてしまうので、本当に実需になってくるかどうかの見極めはこれからです。フィンテック関連も、クラウドファンディングとか、当社も一生懸命勉強はしていますし、具体的な事業として立ち上げようという話もしています。ただ問題は、立ち上げた後、どこまで収益に貢献できるか。2600億円の純利益(数字は2016年3月期)を出している当社が、ここでフィンテックの事業をやって10億円とか20億円稼げたとしても、はっきり申し上げてあまり意味がありません。問題は、それが100億円、200億円の収益を生むビジネスに育つかどうかです。その見極めの過程で、もし育たないと判断したら、ほかの有望事業に人材も資金もつぎ込みますから。

── いま、オリックスの収益構造や利益頭は何でしょうか。
ざっくり言えば、海外が1000億円ぐらいの利益で、そのうち半分が米国です。あとは、リテール(生命保険、銀行、カードローン事業など)が300億円から400億円、国内の営業部門でやはり300億円から400億円、メンテナンスリース(自動車リース、レンタカー、カーシェアリング等のビジネス)もほぼ同額でしょう。

当社はだいたい、1つのセグメントで200億円から300億円稼げるような部隊にならないと独立したセグメントになっていきませんから。もう1点、日本の企業って1つの新しい方向に誰かが行くと、みんなそっちに行くじゃないですか。そうするとレッドオーシャンで飽和状態になる。当社みたいな会社は、みんなと同じ方向に行っても生き残れませんから、違う方向にいくことを志向しています。

商社との考え方の違い

── これだけ事業の守備範囲が広いと、資源ビジネスを手がけていない総合商社のようなイメージを持たれることもありますが。
オリックスの特徴は金融の視点、観点から事業に入っていきますので、アプローチの仕方が商社とは違うんです。金融の目線から入っていったほうが、事業案件も非常に冷静に見られると思います。金融でなく、事業から入るとのめり込むじゃないですか。平たく言えばその事業を愛しちゃうわけでしょう。そうすると、時には目が曇っちゃうんですね。ですから「どの部門、事業に関わっている社員も、みんな金融知識は持ちなさい」と言っていて、金融知識があるからこそ、事業投資ができると私は思っています。

── 商社と手を組んでやるような案件はあまりないですか。
過去、いろいろな話はありましたけど、結局、商社と組んだ案件って、ゼロとは言いませんが、片手あるかないかでしょう。商社からアセットを買ったというケースはありましたけどね。当社では投資に対してのリターンを気にしますけど、商社の方って、投資よりも、たとえば投資先の周辺の物流でも稼ごうといった考え方があるじゃないですか。大きく資金投下して商圏も拡大してと。資源ビジネスがその典型でしょう。当社ではそういう考え方はしませんし、投資した時点から即、収益貢献できるビジネスに限定してやっています。

── 最近は、メガソーラー事業や空港運営権などのコンセッションビジネスの話題が多いせいか、インフラ事業を手がけるイメージも強くなっています。
メガソーラーについては、あと1年ぐらいで手がけたものが全て稼働する予定で、屋根置きのソーラー発電も入れると、国内では最大級のメガソーラー事業者になります。海外でもメガソーラービジネスの商談はたくさんありますから、国内外合わせれば、そこそこのポートフォリオになっていくでしょう。あとは、収益が安定してきたら何らかの事業の流動化を考えるか、あるいは継続保有してキャッシュフローを積み増していくか、このあたりが次のテーマですね。

コンセッションの事業はまだまだ小さいです。関西空港、伊丹空港、それに手を挙げた神戸空港という関西エリア以外でもお話があれば勉強しますけど、このビジネスはセレクティブにやりたい。次に出てくる商機は、福岡空港や北海道の新千歳空港でしょうね。

── 関西は3空港すべてやるとして、事業のリスクや将来性はどう考えますか。
関空や伊丹の発着枠は飽和状態ですから、神戸空港の発着枠をどうやって増やすかですが、ここは関空や伊丹の補完的意味合いが強く、そこはある程度柔軟性が確保できるので、やるべき事業だと思っています。

よく、関空と伊丹で総額2兆2000億円の運営権対価と言いますが、契約期間は向こう44年あり、総額でなく年間ベースで換算すれば大した金額ではありません。要は毎年1年分のコンセッションフィーを払えば済むわけで、その間、それ以上の収益を上げればいいわけですから。

── 空港コンセッションは、どの程度の収益を見込まれるのでしょうか。
残念ながら、それほど収益性は高くないです。ただ、関西は京都を筆頭に観光資源はたくさんあり、関西圏のビジネス客こそ少ないですけど、インバウンドを含めてトータルではまだまだ観光客は増えていきますから、航空需要も堅調でしょう。もちろん、為替が大きく円高に振れたり、予期せぬテロやパンデミックなどが起これば空港の収益は下がりますけど、それは一過性で、トレンドとしては基本、右肩上がりに変わりありません。

入札のM&Aはしない

── 目下、投資候補に挙がっている案件はどんな分野が多いですか。
インフラ系、それに通常のプライベート・エクイティなどの金融系がやはり多いですね。さすがにIT系はない(笑)。このジャンルは当社で直接やれるような分野じゃないですから。トランプ大統領は、再生可能エネルギーに対してはあまり積極的でないようですが、とはいえ、それも一過性だと思ってますし、ここから当社がシェールガスなど、レガシー系のエネルギー分野に入っていくことは興味ありません。当社で風力発電事業を始めたインドなどを含めて、海外でもいずれ再生可能エネルギーのビジネスの話はいろいろ出てくるはずです。

── 国内では、東京五輪を控えていることもあって不動産マーケットはなお、賑わっていますが、先行きは不透明だという指摘もまた多いです。オリックスでは以前、分譲マンション大手の大京を子会社化(持ち株は63.7%)しており、それとは別にオリックス不動産も擁しているわけですが、不動産分野の展望はどうですか。
分譲マンションはもう高値でピークでしょうし、大京もいまは管理や仲介事業に軸足を移しています。不動産市場は、いずれはおかしくなる可能性が高いですが、逆に言えばその下落時に土地を仕入れればいいだけの話で、いまの高値で仕込む必要はないですね。ただ、億ションなどの高級な物件はまだそこそこ売れてますし、オフィスビルもきちんとしたロケーションであればいいのでしょうけど、地方都市での新規展開はちょっと怖いですね。一方で物流系のビジネスは今後も引き続き好調に推移するでしょう。新しいプロジェクトも十数件ありますし、状況を見ながら開発できるものはして、売れるものは売ってと、そういう展開をしています。

オリックスの変身に完成形はない。

── 一方で、モノを買わないミニマル世代やシェアリング・エコノミーが喧伝される中、オリックス自動車が手がけるカーリース、レンタカー、カーシェアリングは、時代に合ったビジネスといえそうです。
ですが、僕からすればシェアリング・エコノミーって何なの?っていう感じ。確かに自動車の新車販売は落ちていますけど、中古車は結構、売買が動いてますから、シェアリングがムーブメントのように言われると違和感があります。カーシェアリングも最大手と張り合うほど徹底的にやるような考えはなく、あくまでオリックス自動車で扱うプロダクトやサービスの1つという位置づけですから。

── 総合的に見て、足元の優先課題は何でしょうか。
M&Aです。いろいろな業種のマーケットを見ていて、高値買いをされている会社も結構見受けられるので、そういうのを見ているとどうしようかなと。当社はM&Aに関しては基本、バイラテラルというか相対でしかやらず、入札になったら手を挙げませんから。

── M&Aした後も、いつでも売れるようにしておくという、資産の入れ替えを前提にしたものだと。
基本は全部、そうです。常にエグジットは頭に入れてやっていますから。売買で言えば、航空機が一番、頻繁ですね、買って売って買って売ってという形で言えば。早いものだと買って1年以内に売却などがありますから。当社ではいま、150機前後の機体を保有、管理していて世界中の航空会社にリースしていますが、航空機以外でも最近、リース用船舶を3億ドルで買いました。もちろん、リーズナブルな価格でです。M&Aをする際は、ROA(総資産利益率)で3%をきちんと維持できるような買収をしていますから。

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