2017年6月号より
孫 正義 日本ソフトバンク社長
「事業に関して僕は『豆腐の心意気』ということを常々言っています。豆腐の数はどうやって数えますか。一個二個ではなく一丁二丁ですよね。事業でも同じだと思うんです。男が事業をやるかぎりは、売り上げは、一億、二億ではなく、一兆、二兆の規模にならなきゃいけないと考えています。これはまあ駄ジャレですけど、会社を設立した時からの目標なんです。こうした考えが学生の頃からあったんでしょうね。19歳の時に一億円稼いだ時も(中略)浮かれることもなく、一億、二億なんて大したことはないと冷静に考えていました」
(1989年8月号掲載・社名、肩書は掲載当時のもの)
孫氏のインタビュー初登場はこの時で、まだ32歳の青年社長だった。いまでこそ孫氏を語る上で「豆腐の心意気」は有名な逸話として知られているが、会社設立8年目の当時はパソコンソフトの卸売業で、売り上げも約300億円。まだメディアの露出が多いわけではなく、知る人ぞ知る存在だった。
この時は売り上げ1兆、2兆の話をしていたが、2004年4月号に登場した際は「いま僕の目指している事業像は平たく言えば経常利益で1兆円、2兆円は行って当たり前だと思っているんですよ。(中略)数千億円規模で利益が上がった下がったというのは誤差のうち」と、目標値が大きく上がっていた。
そしてソフトバンクが売り上げ1兆円を超えたのは06年3月期決算、そして経常利益が1兆円に達したのは14年3月期決算だった。いまや売り上げ10兆円は目前。豆腐のケタが変わりつつある。