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特集記事|月刊BOSSxWizBiz

2016年12月号より

将来、家族、いきなりわく不安ままにならない心と体~カウンセリングノートより 田中利彦さん(仮名) 52歳建設会社勤務 家族 妻/子ども小学校6年生 自己所有分譲マンション(住宅ローンあり)|月刊BOSSxWizBiz

セカンドキャリア研修が引き金に

田中さんの第一印象は、少し疲れた俳優の堤真一さん。けれど、180センチを超える身長と体格の良さはいかにも男らしく、若かりしころはモテただろうなという感じです。大学時代にはアメリカンフットボール部に所属して、仲間とともに練習に励んでいたそうです。高学歴に加えて、体育会系の心身の強さは、就職時の採用ポイントのひとつにもなったでしょう。

そんな田中さんが相談にやってきた最初の理由は、「もの忘れがひどくなってきた」というものでした。

そのころ、職場では管理職への昇格が叶わず、部下だった女性が上司になったといいます。さらに、セカンドキャリア研修を受け、「もう自分の役目は終わってしまった感じがする。居場所がない感じがする」ということでした。

一生懸命働いて手に入れた自宅にすら居心地の悪さを感じていました。というのも、自宅を購入するときに妻の両親の援助を受けていたからです。なんとなく、妻に対して頭が上がらないような気持ちがあったのかもしれません。そして、一人息子は中学受験の真っ最中。妻は息子の勉強にかかりきり。寝転がってテレビを見ることにさえ、気が引けていたようです。

この年代の男性は、年下の女性社員をまだまだ「女の子」と呼んでしまうような世代。田中さんの口からも何度も「女の子」という言葉が発せられており、女性を上司として認めることに、なかなか気持ちがついていかなかったと考えられます。

HAM-Dを実施してみると、うつの症状が強かったため、産業医の先生を通して心療クリニックにも通ってもらいました。同時に、おカネのかからない、でも体を動かせる趣味を見つけるようにすすめました。

9カ月くらいカウンセリングに来ていた田中さんの様子が明らかに変わってきたのは、彼がマウンテンバイクを買ってからでした。休みの日に、男友だち数人と多摩川の上流までツーリングするようになったというのです。みんなでツーリングすることで、体育会時代の状態に近いことを体感できた。これが落ち込み気味だった更年期を明るい気持ちにさせる大きな要因になったと思います。

COUNSELOR'S EYE

田中さんのように、かつては男らしく遊び、男らしく仕事をしてきたタイプの人こそ、更年期に陥りやすいといえます。少し上の世代は、経済逃げ切り組で、うまく資産運用して夫婦仲良く老後を過ごしている。しかし、この年代は、バブル期には社会や女性からちやほやされていたにもかかわらず、その後は男としての居場所がなくなる一方……、そんなふうに感じる人が多いようです。

更年期をうまく乗り越えるためには、田中さんのように学生時代と同じような経験ができる趣味を見つけることは有効だと思います。ちなみに、自転車はおカネがかからないだけでなく、一人乗りの乗り物。奥さんから浮気の心配をされることもなく、更年期にはもってこいの趣味といえそうです。

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