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企業の匠

製造業、サービスを問わず、企業には「◯△の生みの親」、「△◯の達人」と呼ばれる人がいる。
そうした、いわば「匠の技」の数々がこれまで日本経済の強さを支えてきたのだ。日本の競争力低下とともに、そこがいま揺らいでいるという指摘が多いからこそ、各界の匠にスポットを当ててみたいー。

2017年8月号より

星野リゾート全国展開の「起点施設」リゾナーレ八ヶ岳がフルリニューアル 星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳 総支配人 長屋 晃史

星野リゾートが手がける運営施設は、海外も含めるとすでに37施設(今年5月末現在)を数え、来年度中には大台の40施設を超えそうだ。その中で、同社の知名度が全国区になっていく起点になったのが本稿のリゾナーレ八ヶ岳である。

ワインリゾートの“深化”

1914年に開業した、星野温泉旅館をルーツとする星野リゾートは、長野県・軽井沢が発祥の地。同社が、軽井沢を飛び出して初めて再生事業に乗り出したのが2001年で、それが現在のリゾナーレ八ヶ岳だった。この施設は、もともとは総合スーパー大手のマイカル(かつてはニチイ)が1992年に山梨県北杜市の八ヶ岳山麓に開設したリゾナーレ小淵沢が前身だが、経営危機に陥ったマイカルはリゾナーレ小淵沢を手放さざるを得なくなる。そこで手を挙げたのが星野リゾートである。

リゾナーレ八ヶ岳の総支配人に2年ほど前に着任した、長屋晃史さんはこう振り返る。

ワインリゾートを〝深化〟させた長屋晃史さん。

「この施設は、世界的に有名なマリオ・ベリーニ氏というイタリアのデザイナーが手がけたデザイナーズホテルですが、当初は会員制でターゲットはカップルだったと聞いています。コンセプトイメージはイタリアの中世山岳都市ですが、夏とゴールデンウィーク以外はまったく人が来ない状況で、当時は売り上げも20億円程度と損益分岐点に乗っていない状況だったようです(現在の売り上げは昨年で43億円と倍以上)。そこで、01年に当社が取得してからはまず、施設の新たなコンセプトメイクや無駄な部分を削ぎ落とし、市場調査にも力を入れていました」

結果、ターゲットをファミリーに変えたのだが、当地は、言うまでもなく全国有数のぶどうの産地。そこで06年からは「ワインリゾート」というコンセプトを打ち出していった。

「ファミリーといっても、特に30代、40代のお母さんの世代の女性から圧倒的な支持をいただくことを目指し、八ヶ岳の素敵な暮らしをコンセプトに、こうしたお母さんがたの快適な滞在もキーワードに掲げていました」(長尾さん)

ただ、施設そのものは開業してから今年で25年、ワインリゾートを全面に掲げてからでも昨年で10年が経過している。2年前に長屋氏が着任した頃は、リニューアル投資の案を出し始めていた時期でもあった。

ぶどうの壁画を配したYYgrillの客席。

「私が実際にここへ赴任してみて気が付いたのは、ワインリゾートという割には、イタリアンレストランもワインハウスもスパも、ワイン好きのマニアの方だけに訴求した印象でした。そうではなく、来られた方々全員がワインリゾートを体感できるものにしようと考えたのです。そこをもっともっと掘り下げていかないと、うわべだけのワインリゾートになってしまいますから」

リニューアル投資は15億円を投じ、今年1月から4月まで3カ月間、リニューアルのために全館を一旦クローズした。一番こだわったのが客室である。全部で172ある客室のうち、101室を完全なスケルトン状態にし、エアコンの入れ替えやバス、トイレなどの水回りも一新した。また、客室の内装カラーもワインカラーとコルクをモチーフとした小物でワインリゾートを表現し、全部屋に共通で、壁面にはワインカラーで描いた赤岳や横岳などの八ヶ岳連峰の絵と、山の標高も記した(上の写真中央)。リニューアル後の宿泊客から、「壁画がとても印象深い」という声が数多く寄せられているという。

外来者向けの改装計画も

このほか、客室でも気軽にワインが味わえる、客室専用のオリジナルワインタンブラーやワインオープナーも常備。さらにウッドデッキを用いた屋外テラスや小上がりフローリングの設定、星野リゾートが日本ベッドと共同開発したオリジナル寝具など、快適な滞在のための要素にこだわった。

「もう1つのリニューアルの目玉が、ビュッフェ&グリルレストランの『YYgrill』の改装です。従来よりも50席分以上増床し、ワイン樽をモチーフにしたオリジナルサーバーの設置や、ワイン木箱を用いた壁とぶどうが描かれた壁画など、空間デザインの演出にもこだわりました。さらにお客様の目の前で、オリジナル鉄器と熱した石で仕上げるグリル料理なども大変、好評です」

まだまだある。宿泊者を近隣の提携ワイナリーへ案内したり、ワインハウスでは試飲だけでなく、そこで購入したワインを宿泊部屋に持ち帰ってゆっくりと楽しめるようにもした。レストランで飲むような長い脚付きのワイングラスではリラックスしづらい、という利用者の声を反映させているのだが、それが前述のオリジナルワインタンブラーだ。

リニューアル実施後、利用者にとって気になるのは宿泊料金だが、

「多少、上げていますが、今後もお客様の満足度や滞在価値を上げながら料金改定をしていく考えです。年間を通した平均の客室単価は3万8000円ぐらい(食事等は別)ですね。稼働率もおかげさまで、年間平均で78%ぐらいあります」

右側の八ヶ岳連峰の壁画が印象的な客室。

今後の滞在価値向上についても、
「今回、レストランと客室など宿泊事業はある程度、手直しができましたので、次は外来事業を一度、てこ入れしたいと思っています。イルマーレ(施設内の波の出る大型温水プール)も25年経って、まだ大きな投資がされていませんし、あの規模のプールは近隣にはないので、もう少し進化させて外来の方々にもPRできないかと。あとはベリーニタワー、我々はセント・リゾナーレと呼んでいますが、ここもまだ有効活用がされていません。外来の方向けに、何かシンボリックなソフトを注入できないだろうかと考えています」

リゾナーレ八ヶ岳が、さらにどんな進化を遂げていくのか興味深いが、まずは新装なったワインリゾートに、あなたも一度、誘われてみてはいかがだろうか。

(本誌編集委員・河野圭祐)

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