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特集記事|月刊BOSSxWizBiz

2018年4月号より

営業の達人|月刊BOSSxWizBiz
変革のなかに不変なもの営業とは価値を伝える仕事 変わりゆく営業のスタイル 近藤太香巳 ネクシィーズグループ社長

こんどう・たかみ 1967年生まれ、大阪府出身。19歳で50万円を元手に会社を創業。02年ナスダック・ジャパン(現ジャスダック)上場。04年に当時最年少創業社長として東証1部上場。最新省エネ設備を初期費用無料で導入できるエネルギー環境事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇り、スマホでGETした景品が自宅に届くという、世界初3Dスマホクレーンゲーム「神の手」に注力している。

ビジネスモデルと営業

1987年に創業したネクシィーズグループは、「企画力と営業力」を武器に30年以上ビジネスの世界で戦ってきた。変化の激しい時代にどう会社を変化させ、企画営業という経営スタイルをぶらさずに維持してきたのか。ネクシィーズグループ社長の近藤太香巳氏に“営業論”について話を聞いた。

── ネクシィーズグループと言えば、やはり企画力と営業力のイメージが強い企業です。創業から30年を経て、営業マンの仕事の仕方(スタイル)がどのように変化しているのでしょうか。
かつて営業の世界は、売るのが困難な商品やサービスを、独自で編み出した販売ノウハウや神業トークで売るという、そこに営業マンとしての美学がありました。

例えば、「頭文字D(イニシャル・D)」という、自動車で公道を走り、スピードを競い合う若者達を描いた漫画があります。この漫画では、主人公が乗る車は高性能とは言えない、どちらかといえば「遅い車」ですが、その車で性能の優れた「速い車」にテクニックと情熱で勝ち、伝説を築いていくというストーリーです。営業マンの美学もそれと同じです。店頭に置いても売れないものを、営業マンが自らの力で売りに行く。むしろ営業マンがいなければ売れない商品やサービスを売り貫くことが営業マンの誇りだったわけです。

営業には「心を尽くしているのかという人間性を見る」と近藤社長。

ところが、時代の変化とともに商品の価値やニーズは変わり、売れないものを売り続ける、そんな時代はもはや過ぎ去りました。

私が18歳の時、当時勤めていた会社は、黒ダイヤルの電話から、高額な18万円もするプッシュフォンに切り替えるという、100件訪問して1件取れたらスゴイという、まさに「営業会社」でした。私は、そんな営業効率の悪い市場がいつまでも続くわけがない、そう思っていました。

気力・体力がものをいうような根性論だけの営業力の時代から、ニーズに適したビジネスモデルの時代に移り変わってきたことをわかりやすく例えますと、最速のF1マシンにそこそこの運転技術をもったレーシングドライバーが乗り、一方で普通自動車には最高のテクニックをもったF1ドライバーが乗って競争した場合、どちらが勝つでしょうか。当然、この場合はF1マシンが勝ちます。では、クルマをビジネスモデルに置き換えてみてください。最速のF1マシンのような高性能なビジネスモデルと、普通自動車のような性能の劣るビジネスモデルを比較すると、誰でも速く走らせることができるF1マシンが勝ちます。

つまり、営業力が第一ではなく、最高のビジネスモデルという「スーパーマシン」を作り上げることがとても重要になってきます。そして、その「スーパーマシン」を操るテクニックこそが現代の営業力なのだと思います。かつては営業力が1番で、ビジネスモデルは2番でした。現在はビジネスモデルが1番になったことが営業のあり方の大きな変化に繋がったと思います。

── 社会的ニーズがなければ持続的な成長は難しいのでしょうか?
そうですね。読者の方も記憶にあると思いますが、かつてはシロアリ駆除や太陽熱温水器、外壁材といった商材を扱った企業が訪問販売の営業を中心に拡大・成長しました。しかしながら、次第に多くの企業が消えていったのが現実です。

── そういった企業はノルマ等も厳しく、営業職の離職率が高いですね。大半の営業会社は、現在でも入社の50%以上の従業員が辞めると言われています。
しかしながら当社では、毎年、新卒社員が100名ほど入社しますが、2年後に離職するのは10名程度です。しかも男女比は半分ずつ採用しての数字です。これは、やはりビジネスモデルと営業スタイルの変化が大きいと思います。

我々の主力事業であるエネルギー環境事業では、LED照明レンタルサービスなど高額な省エネ設備を初期費用オールゼロで導入いただけるサービスを行っています。LEDの電球代も工事代もすべて初期費用は無料で、下がった電気料金の一部をレンタル料金としていただき、5年後にはレンタル料金もなくなりお客様へ所有権が移行するといったビジネスモデルなのです。さらに、新規オーダーの40%が既存のお客様からのご紹介となっています。ですから、先輩社員は、顧客を開拓するための新規営業をほとんどやっていません。営業マンにとって新規開拓は非常に大変な仕事ですから、1度新規のお客様ができれば、そのご紹介だけでオーダーを上げることができるようになるのです。

当社の社風や文化、事業の成長性に魅力があるのはもちろんですが、新卒社員が先輩営業マンのその姿を見ているからこそ、離職しないで頑張れるのでしょう。経営者(会社)は、自社のサービスをお客様に喜んでいただき、それを他社にもご紹介していただけるような、そんなビジネスモデルを作ることがとても重要なのだと思います。

── ノルマを課して営業マンを鍛えるだけではダメだと。なぜこのような変化が生まれたのでしょう。
世の中が厳しくなったことが挙げられるでしょう。悪質な訪問販売やクレームに対して声をあげ、売り手側ではなく、お客様本位の時代になってきたからだと思います。そこで変われなかった営業会社は生き残ることが難しくなっていくのではないでしょうか。

とはいえ、お客様に説明が必要な商品がある以上、営業という仕事はなくなりません。かつて私たちが普及に貢献してきた携帯電話や衛星放送、ブロードバンドといった商材もそうでした。当時、スカパー!(スカパーJSAT)やWOWOWといった名前は知っていても、どのようなチャンネルがあってどのような番組が放送されているのか、基本料金や視聴料など、サービスの中身を知っている人はほとんどいませんでした。その「価値」を伝えるという意味では営業会社はなくなりません。どんなにテクノロジーが発達しても、商売として「作る」と「売る」の2つしかないわけですから、嬉しい、安い、楽しい、便利という価値を伝える営業は必要不可欠です。お客様に説明し、納得して喜んでもらうという軸はなくならないですし、絶対に変わらないものだと思います。

ベストを追求しているか

── その伝えるという仕事のなかで、営業マンが顧客に対する向き合い方として必要なものとはなんでしょう。
営業マンがお客様に納得してもらうしかありません。(1)世の中(業界)はこうだ。(2)課題はこうだ。(3)私たちならこのように解決できる。という3点です。

例えば、Aというお店とBというお店、どちらで申し込んでも同じサービスであった場合、たまたまAが近かったのでAで申し込みましたでは、企業は繁栄できません。Aという会社に申し込む意味がなければ勝てません。世の中はこう、課題はこう、解決はこうと提案し、納得してもらう力が営業マンにとって必要なものなのです。

さらに、もう1つ営業マンに必要なことは、ベストを追求し続ける姿勢です。1年前のベストが現在のベストであるわけがありません。例えばラーメン店でも、美味しくないお店にはお客さんは来ませんが、美味しいお店にはお客さんが来る。しかし、行列ができるお店というのは「めっちゃ美味しい!ラーメン屋さん」なんです。美味しいラーメン屋と行列ができるラーメン屋の差はミリ単位の違いです。このミリ単位の違いを攻め込んだところが、店の独自性であり、人気が出る秘訣でもあります。こうしたミリ単位の違いを出すために、会社や営業マンが常に攻め込む姿勢を持ってベストを追求し続けているかどうかが、他社との差別化に繋がっていきます。

過去の営業の話に戻りますが、かつての営業マンはこうして得た経験やノウハウ、スキルを人に教えることはありませんでした。営業会社では、インセンティブで営業成績に応じて給与や賞金がもらえますから、ノウハウは周りのメンバーに教えません。結果、ノウハウは会社ではなく、人にしか溜まっていきませんでした。私が取り組んできたのは、ノウハウを会社に溜めていけるようにすることでした。当社では、営業現場で直面する100通り以上のトークを全員で共有しており、そのトークスクリプトから自分に合ったトークを選ぶことができます。さらに、現場でおきた改善点やトラブルも共有することで、常に最善策を講じられるのです。

営業マン全員が1位を目指しているなかでトークを教えるということは、自分のライバルを自分自身で増やしていることになりますが、自分もほかの人のトークを知る利点もありますし、会社そのものが大きくなれば自分のポジションや立場、仕事のスケールも変わっていきます。もちろんトップ営業マンと下位の営業マンの差はありますが、平均値はどんどん上がっています。会社としてはチーム力を活かした方が業績を追求できますね。

── 逆に近藤社長に対して売り込みも多かったのではないですか。その時に、営業マンのどういうところを注視してきましたか。
たとえば提携したい、出資してほしいといった売り込みも含めて、いろいろな話が来るなかで、一番見るのはビジネスモデルのすばらしさですね。そのうえで、当社が一緒に何ができるかを想像します。次にその人自身の人間性です。この人は信頼できる人なのか、心を尽くせる人なのか、核心の部分を見ています。

私自身が営業の時によくやっていたのが、例えばAさんに紹介してもらってBさんに会いに行く場合。Aさんは自分が培った人間関係でBさんを紹介してくれたわけですから、私は努力もなしにBさんに会えるわけです。Bさんのところに行く前に、さりげなくAさんにBさんの素晴しさをヒヤリングして聞いておきます。そして、Bさんに会った時に「Aさんはこうおっしゃっていました」とBさんの素晴らしさを伝えますと、Bさんは、気分がよくなります。私は、たまたま紹介されたから行ったというだけでなく、AさんとBさんの絆がもっと深くなればいいなという心構えをもって行っていました。

そしてBさんとのアポイントが終われば、すぐさまビルの下でAさんに電話をしてお礼と報告をします。もしかしたらAさんとBさんは、このあとお互いに連絡を取るかもしれません。きちんと礼儀を尽くし、報告をするのは当たり前のことですが、ビジネスとしての期待もした上で、紹介してくれたAさんとBさんの関係がより良くなればさらにいいなという、心を込めたしたたかさが必要だと思っています。

── わかっていても、なかなかできることではないですね。
難しいでしょうね。「ホスピタリティ」をそのままダイレクトに言うと、わざと人が喜ぶことをやっているわけで、自然な優しさではありません。場合によってはゴマスリとも言われるかもしれないですが、好きな人に喜んでもらうように行動することは、ゴマスリだろうがホスピタリティだろうが、どちらでもいいと思っています。ただし、そこに心があれば……。心がなければ相手は動かないですし、何かしてあげようとは思われないでしょう。人間関係において、8対2くらいつまり、8割自分が誰かの為に尽くし、2割自分に返ってくる。それくらいの感じがちょうどよいと思っています。相手に求めるばかりではいけません。自分をどこまで犠牲にできるのか。これこそが、人の心を突き動かす原動力なんだと思います。

顧客に喜んでもらう気持ち

── 最近は女性の営業職も増えてきました。男性と女性で何か違いはありますか。
女性社員に言ったことがあるのですが、会話の中で甘いものが好きだということがわかったら、次にお逢いした際にさりげなく「今日は、○○さんに、プリンをお持ちしました」と言われたら、心配りができる女性だなと誰もが思うのではないでしょうか。女性だからこそできる「気配り・目配り・心配り」は大切だと思います。

ですが、基本は男女一緒です。当社の営業担当者は半分くらいが女性社員です。いまの営業は体力勝負や根性で語る仕事ではなくなっていますから、ほとんど差はなくなっています。むしろ女性のほうが頑張っているかもしれません。

── 業界によっては営業ウーマンが大活躍している企業も多くなっています。
もともと女性は昔から頑張っています。ただし、社会的地位が今ほど認められていなかったかも知れません。なぜなら、50年前から保険会社の大きなビルが建っていますよね。つまり“保険屋のおばちゃん”の力でビルが建ったようなものです。いまは男女関係なく社会的地位に就けるようになり、スポットライトが当たるようになってきました。営業スタイルも変わってきたことで、女性が活躍し、評価されやすい時代になってきたと思います。

女性が結婚し子供を産んで会社に復帰しても、夕方には子供を迎えに行かなくてはなりません。驚くのは、働く時間が男性に比べて短くなるのですが、N1グランプリ(当社の全国成績優秀者への表彰制度)に名前を連ねてくる女性社員が増えてきたのです。男性はどこか時間的な余裕を持ってしまうのかもしれません。女性はこの時間までに結果を出さなければいけないという、仕事に対する覚悟が男性よりも強いと感じられます。

── 経営者として営業職に求めていることはありますか。
会社はボランティアではないので、利益と社会的責任を追求していかなければいけません。売って終わりではなく、やはりお客様に喜んでいただくことを第一に考えなくてはいけません。我々のように、お客様から40%も紹介があるというのは顧客満足度が高い証拠ですから、これからも大切にしていきたいです。

かつて、ライバルで消えていった会社は、利益追求型で、儲けようという気持ちが強すぎたのだと思います。過去の営業会社は、私も含めほとんどがそうでした。騙すわけではないですが、利益をできるだけ上げようという自分本位の考え方は、どの会社でもすると思います。少しでも高く売りたい、少しでも安く仕入れたいというせめぎ合いがビジネスです。その前提は間違いではありません。

しかし、お客様に喜んでもらうサービスを提供した結果、いまの事業が紹介につながっていることをみると、「損して得取れ」までは言いませんが、私自身すごく学んだように思います。売上や利益が二の次とまで言わないまでも、お客様に満足してもらい、その結果としてご紹介を頂けるくらい喜んでもらおうということを強く言っています。

── 最後に近藤社長にとって営業とはなんでしょう?
営業とは、モノではなく、価値をわかりやすく伝え、お客様にサービスを提供することです。言い換えれば、説得ではなく、納得してもらう表現力であると思っています。

これからも、利益追求にとらわれず、お客様第一主義で、世の中にとって、社会にとって、クライアントにとって、なくてはならない企業を目指し、50年、100年後も成長し続けられる会社でありたいと願っています。

(聞き手=本誌編集長・児玉智浩)

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