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2018年1月号より

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「バケーションレンタル」という民泊スタイルで地方を活性化 木村奈津子 ホームアウェイ日本支社長
木村奈津子 ホームアウェイ日本支社長

木村奈津子 ホームアウェイ日本支社長

きむら・なつこ 慶応義塾大学、ワシントン州立大学交換留学奨学生。2005年アマゾン・ジャパン音楽&DVDプロダクト・マネージャー、07年エクスペディア・ジャパン シニア・マーケティング・マネージャーエクスペディア北アジア/ジャパン マーケティング・ディレクター。16年10月ホームアウェイ日本支社長就任

民泊というと大都市圏のマンションやアパートの1室を貸し出すというイメージが強い。そんななかで一戸建てをまるごと借りる「バケーションレンタル」という新しい民泊のスタイルで日本に上陸してきたホームアウェイ。その日本支社長・木村奈津子氏に、日本での戦略、これからの日本市場の可能性について聞いた。

エアビーとの違いとは

── 「ホームアウェイ」とはどのような会社でしょうか。
日本に支社ができたのが2016年なので、まだまだ認知されていませんが、グローバルでは大きな会社です。取扱高は約1兆6000億円。23言語・50サイトを運営し、月間のユニークユーザーが4000万人になります。日本ではこれからですが、世界各地の登録件数を合わせるとおよそ200万件で、欧米を中心としているのが特徴です。

── 日本では「民泊」という言葉が使われていますが、ホームアウェイの「バケーションレンタル」との違いはどういったことでしょうか。
大きな特徴は貸し切り型の家主不在に注力しているということです。物件には一般的な住宅の一軒家もありますし、ロッヂやビラといった別荘、また古民家もあります。

「民泊」というとエアービーアンドビー(以下=エアビー)を思い浮かべる方が多いですが、米国ではバケーションレンタルの歴史は古く、1950年ぐらいからあります。欧米の休暇は1~2カ月と長期なので、自分の別荘だけでは飽きてしまう。そこで自分の別荘を貸し出し、他の方の別荘を借りるという別荘を相互で貸し出す文化が生まれました。

こうした歴史的な背景もあって、米国ではバケーションレンタルの利用者も多く、旅行者のおよそ3割がバケーションレンタルを使っていると答えていて、宿泊市場20%ほどがこの市場だといわれています。

── エアビーとの違いはどういったところでしょうか。
エアビーは「暮らすように旅をしよう」ということをコンセプトに10~20代の若者の1~2人旅。都市部の物件が多い。

一方、当社は「休日にピッタリな家を探そう!」をコンセプトに、年齢層も30~50代の家族やグループでの利用が多くなっています。都市部よりは地方のリゾートが中心というのも大きな違いです。

さらに細かく見ると弊社は35歳以上の方が7割以上、エアビーは35歳以下の方が6割以上とユーザー層がはっきりと分かれています。宿泊人数も、当社は家族やグループがターゲットなので75%が3人以上、7人以上も20%以上になります。これに対して、エアビーは1人、2人の旅が中心です。宿泊日数と単価では、当社は6日間・平均1032ドル、エアビーは4日間・584ドルになっています。

リピーターの多い日本市場

── 日本政府は将来の目標として2020年に4000万人、30年に6000万人という目標を打ち出していますが、日本市場をどう見ていますか。
私たちは訪日外国人観光客の目標数だけでなく、リピーター数にも注目しています。20年の訪日外国人のリピーター数の目標は2400万人、地方部での延べ宿泊数7000万人泊とされています。実際、16年実績で見るとおよそ60%がリピーターなんですね。特にアジア圏の方に多く、訪日経験のある香港の方のおよそ10%が10回以上も来ているという統計があるほどです。

初めて訪日される方はやはり東京・箱根・富士山・名古屋・京都・大阪のゴールデンルートを回りホテルでの宿泊が中心になると思います。しかし、リピートされる方は弊社のバケーションレンタルによる、プライベートな空間を家族や友人で過ごしたいという需要も増え、こうした部分にフォーカスしています。

── 民泊、とくにインバウンドについては空き家対策としても期待されています。
日本全国には800万戸の空き家があるといわれ、そういう意味では、物件の供給はあると思います。しかし、バケーションレンタルとして使うには、リノベーションが必要な物件もあります。その費用を融資に頼るのであれば投資回収ができるか、しっかりとしたシミュレーションが必要です。これから地方に期待ができると言っても、需要を喚起するところから、いっしょにやっていかなくてはならないので時間がかかるかなと思っています。

── そんななかで瀬戸内をブランド化しようと力を入れていますね。
瀬戸内については、瀬戸内を囲む7県と市町村の自治体、民間企業が官民をあげて「せとうちDMO」を創設して海外に向けてブランディングをしていきたいと活動されています。その第1弾として愛媛県内子町で、古民家の再生をしながら街の魅力やアクティビティの紹介や多言語対応などのプラットフォームづくりが進められています。もちろん、こうした取り組みは今後広げられていくわけですが、当社の役割としては、瀬戸内という地域を知ってもらう需要喚起と送客というマーケティング活動を行っています。

── 楽天ライフルステイ(以下=楽天ライフル)をはじめとした事業提携など積極的です。
楽天ライフルとの具体的な事業は、民泊新法施行後になりますが、提携の狙いは当社だけでは日本全国で物件を集めるのは不可能です。そこでライフルの不動産ネットワーク、楽天の国内のコネクション、そして当社の海外からの集客力といったそれぞれの強みを生かした総合的なサービスの展開ができればと思っています。もちろん、事業提携はほかのところとも行っていて、それぞれの提携先の強みと弊社の強みを合わせていきたいと思っています。

とはいえ、ただ物件数を増やせばよいというわけではなく、家族やグループに適した物件、4人以上が使用できる物件を中心に2020年までに登録物件を10万件ほどにしたいと思っています。

インバウンドと地方

── 欧米の方は休暇をどのように過ごしているのでしょうか。
最近は個人旅行が増えて、日本人の旅行のかたちも変わってきました。しかし、日本人の旅行というと1日の予定をしっかり組んで、動き回るというのも多い。

「町屋別荘こころ」の座敷。

一方、欧米人はスケジュールを組んで何かするというよりは、素敵な海があればその海を見ながら、みんなでぼーっとしていたり団欒して過ごすような、必ずしもアクティビティーが必要というわけではありません。地方に住んでる方たちは、「このへんは何もなくて」とおっしゃるんですが、自然があれば都会から来た人たちにとっては楽しいし、それを散策するだけでも満足できる楽しい旅になるんですね。それこそみんなでスーパーで買い物して何時間もかけて料理して食べたり、近所をぶらぶらと歩いたり、ジョギングをしたり、それだけでもいいのです。

日本にはバケーションレンタル、別荘文化というものがないため、そうした感覚がわからないということはあるかもしれません。こうした点を地元の方に伝えていくことは私たちがお手伝いできる部分で、今後の課題になります。

── インバウンドで期待できる地方・地域の条件はありますか。
交通の便というのは、マストだと思います。具体的には、主要な空港から1時間以内の交通網が整備され、外国人にもわかりやすく言語対応ができているということです。

そのほかは文化的な資産や、自然的な資産があるか。都市部は美術館やショッピングも含めアクティビティーが中心にあるので、それを求めて来ると思います。しかし、地方に行くという人はショッピングや美術館は目的ではないので、その土地に根付いた地元の文化であったり、自然を求めるという方が多くなります。アジア、欧米とそれぞれの国籍によって違いますが、欧米人は求めるものが自然や文化という傾向が非常に強いですね。

また、受け入れ側の方のプラットフォームをきちんと作っておくこともポイントです。たとえば、素晴らしい文化資産があって、バケーションレンタル用の物件がたくさんあって、自治体や民間企業が古民家を再生しますと言っても、重要なのは受け入れる地元の方たちの気持ちです。その地域で生まれ育ち、地域の信頼を得ている人が動かないと、なかなかうまくいかないと思います。

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