2015年10月号より
一時払いのお得な介護保障
収入も預貯金もある独身男性の場合、「介護状態になったときの備えと、長生きしたときに幸せに生活することの、大きく2つを考えたプランをおすすめします」とは、ソニー生命エグゼクティブライフプランナーの冨澤裕晴さん。
同社では、保険を設計する前に、ライフプランナーが人生で予想される出来事を描き、資金の流れを総合的にシミュレーションする。その結果を数値化・グラフ化し、顧客に漠然としたイメージから的確な人生設計へと見直してもらう。
シミュレーションの結果、将来、大きな資金不足は発生しないため、重点は介護への対応と、より余裕を持った人生設計に重点を置いたプランを冨澤さんは設計。とくに定年後には3000万円ほど使って終の棲家を購入するという、かなり余裕のあるシミュレーションをしている。
まず、気になる、介護状態になったときに備えて。「このケースでは公的年金を220万円ほどもらえる計算になりますが、民間の施設に入ることを考えると300万円以上は必要」(冨澤さん)と、〈5年ごと利差配当付終身介護保障保険〉をすすめる。所定の介護状態となったときに、不足分の年額100万円を終身で受け取るというもので、保険料557万6200円を一時払いとして設定した。
多額の保険料を一度に支払うことに躊躇する人も多いかもしれない。しかし、この商品のポイントは、契約1年目からの解約返戻率が高く、それが生涯続くことだ。今回の場合の解約返戻率は89.66%、金額にして500万円だ。
つまり、500万円は貯金として考え、約57万円でこの保険商品を購入したと考えることもできる。もちろん月額払いも可能だが、一時払いが断然おトクだ。
次に押さえておきたいのが病気への対応。現在の、団体保険だけではあまりに不安だ。「病気への保障はそれほど必要ありませんが、不労状態になったときは心配です」と冨澤さん。
そこで、高度障害や3大疾病と診断されたときに、500万円の一時金が給付される〈生前給付保険〉を設定した。入院の際の保障として、終身で日額5000円給付される〈総合医療保険〉でカバーできるプランを準備した。
老後を楽しむための「変額年金」
そして、定年後をそこで元気に楽しく過ごすための保障だ。そこでのすすめは、運用を考えた15年確定の変額個人年金だ。同社の〈変額個人年金保険〉は、国内外の株式や債券など8つの特別勘定から管理・運用を行う。
この勘定は、年間に12回変更することが可能。投資型のため保険としての税額控除はないが、運用してみるのもいい。
今回は、年金額を100万円に設定。もちろん、株価や為替レートなどの変動による運用リスクがあることは忘れてはならない。しかし、「3.5%くらいでの運用利率は可能だと思います。過去には7%以上の利率で運用できたこともあります」(冨澤さん)ときちんと管理をすれば効率の良い投資となるはずだ。
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人生設計が一目瞭然─キャッシュフロー表の見方
保険の見直しにあたって、保険会社のプランナーやファイナンシャルプランナーが用いるものに「キャッシュフロー表」というものがある。これは日常的な収入と支出、イレギュラーなライフイベントといった、まとまった支出などを想定し、現金の推移を俯瞰するのに使うものだ。
キャッシュフロー表そのものは、お金の出入りを一覧表にしたもので、数字の羅列でわかりづらいが、見方がわかるとけっこう便利なものだ。また、過不足なく人生のエンディングを迎えるには定年の段階でどのくらいの資産を用意すればよいかも一目でわかるようになる。
こうしたことを把握したうえで、生命保険の見直しでは、現在ある預貯金、将来の年金額などを予測、必要な保険金額を出している。
サラリーマンが定年になった場合、ほとんどの人は年金収入のみで生活の基盤を支えることになる。「平成25年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現在の平均年金月額は20万140円(国民年金が5万4544円、厚生年金が14万5596円)。しかし、実際にはこの年金額では足りず、多くの場合、退職金を取り崩しながら生活しているのが実態だ。
図は、58歳から77歳までの退職金1600万円受取年金額と生活の収支と預金残高をキャッシュフロー表にまとめ、その推移をわかりすくグラフ化したもの。
この図では、年間の年金が300万円なのに対して、支出である生活費は400万円と、毎年100万円の赤字が続いている。そこで足りない分は預金を取り崩す。この状態が続くと、77歳で預金残高が500万円になるということを示している。
最近の保険の見直しでは、このキャッシュフロー表が使われることが多いため、その見方を知っておくとどんな保険が必要なのか、自分でもわかるようになる。