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2015年7月号より

日本の農業を変える「マゼランシステムズジャパン」/10万円のGPSシステム搭載のロボットトラクター発進|月刊BOSSxWizBiz

誤差数センチのGPS

今後のロボットの活躍の場として期待されているのが農業だ。日本の就農者人口は減り続けている。特に少子化もあり、若い働き手が少ないことが現場での大きな悩みだ。国として、現在40%の食料自給率を45%に引き上げる目標を掲げているものの、そう簡単な話ではない。

そこで、ロボットである。ロボットを活用することで、自動化、省力化が実現できれば、就農人口の低下を補うことができるし、生産性を高めることも可能だ。それによって日本の農産物が競争力を持てば自給率も自ずと上がっていく。

誤差わずか数センチのGPSシステムを開発したマゼランシステムズジャパンの岸本信弘社長。(岸本氏の横にあるのがGPSのデモ機)

大手農機具メーカーが年内に発売を予定しているロボットトラクターは、農業の新しい可能性を感じさせるものだ。このトラクターは精密なGPSを搭載しており、あらかじめ定められたコースを2~3センチの誤差で無人走行することができる。

まず、畝をつくり、そこに正確に苗を植えることが可能になる。さらに肥料も、作物を植えたところにだけ散布することができるため、使用量は激減する。北海道の農場で行った実証実験では、肥料コストは半分以下に削減されたという。

走行コースは完全にGPSでコントロールするので、暗闇でも無人走行できる。夜間の作業も容易となり、トラクターの稼働時間も長くなる。そのため、広い農地でもトラクターの台数を増やすことなく作業することが可能となる。

このロボットトラクターの心臓部ともいうべきGPSを開発しているのが、兵庫県尼崎市に本社を持つマゼランシステムズジャパン(MSJ)だ。

GPSはカーナビなどでもお馴染みだが、実際には10メートルほどの誤差があり、それを地図情報と合わせて修正している。しかし農業用に利用するにはそれでは使えない。

「衛星からの電波が電離層を通過する時に誤差が生じてしまうのです」

こう語るのはMSJ社長の岸本信弘氏。

「そのため、基地局を設置し、衛星から地上までの波数を数えるなどによりデータを修正、3センチの誤差を実現しました」

精度数センチというGPSシステムは、日本列島の地殻変動を正確に捉える必要のある測量用としてはすでに存在していた。しかしその価格は1セット500万円。これでは普及はむずかしい。その点、MSJのシステムは、ほぼ同程度の精度を誇りながら、価格はわずか10万円だ。

「普及のためには低価格化が欠かせない。このシステムは最初から10万円という目標を立て、デザインすることで実現できました。ただ、4年前にこのシステムを発表した時は、そんな値段でできるはずがないと、みなさん半信半疑でした」(岸本氏)

そこで岸本氏は、MSJの開発したシステムが、価格は安くても高精度であることを実証し、納得させていった。そしてついに商品化にこぎつけた。

自動運転への展開も

日本では年間4万台、トラクターが販売されている。トラクター1台当たりの価格は1000万円程度のため、10万円の費用はそれほど大きな負担ではない。仮に1割のトラクターにシステムが搭載されても、年間4000台。それだけでMSJの売り上げは4億円となる。しかも、このシステムは世界どこでも通用する。現在世界のトラクター年間販売台数は520万台で、年率10%伸びているのだから、市場は大きい。

「これによって農業が変われば、若い人の関心が農業に向くようになる。それによってさらに新しい可能性が生まれるかもしれません」(岸本氏)

さらにはこのGPSシステムは、クルマの自動運転にも活用できる。

「ある自動車関連メーカーからは、1万円にコストダウンできないかと言われています。そうなれば、市場ははるかに広がります」(岸本氏)

尼崎初のGPSが、世界の農業、そしてクルマ社会を変えるかもしれない。

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