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2015年7月号より

現実路線のベンチャー「MUJIN」/日本の産業用ロボットを「考えるロボット」に|月刊BOSSxWizBiz

少数精鋭で世界に挑む

「ロボットベンチャーというと、研究志向、非現実的といったところがあります。しかし、うちは実用的、人の役に立つものでなくてはいけない、そして、数年で実現しなくてはいけないという考えの会社なんです」

こう話すのは、産業用ロボットの動作・配置を最適化するコントローラーの開発を手がける「MUJIN」の共同創業者・CEO滝野一征氏である。

東大発のベンチャーでもある。出杏光魯仙氏(左)と滝野一征氏

MUJINは、滝野氏と共同創業者・CTOの出杏光魯仙(デアンコウ・ロセン)氏が設立。今年4年目の会社だが、その取引先にはデンソー、三菱電機、キャノン、日産など錚々たる企業の名前が並ぶ。その事業は、デアンコウ氏が開発した「OpenRAVE」というオープンソースになっているロボット動作アルゴリズムをコア技術にした産業用ロボットのコントローラーの開発だ。「いまの産業用ロボットは、自分で考えることができません。そのため自動車産業でも、産業用ロボットに置換できている作業は全体のおよそ5%しかありません」(滝野氏)

そうした産業用ロボットも、同社のコントローラーをつなぐことで、自らが考えて動くロボットになるという。

たとえば、左の箱に入ったものを右の箱に移動させる場合、一連の動作をプログラミングしなくてはならない。その途中に障害物でもあれば、さらに複雑なプログラミングが必要になる。しかし、同社のコントローラーは、動作のポイント部分を数カ所指定するだけで、最短ルートを自ら考えて動く。また、掴み損なうなど“エラー”が生じても、何の指示もせずに、自らリカバリーする。

この技術を生かしたのが「3次元ピッキング」というもので、箱などに入った部品の仕分け作業を行う。「3次元ピッキングは、これまで人が手作業でやっていたものをロボットに置き換えたもので、その領域はコンビニの配送センターなど流通分野でも応用できます」(滝野氏)

現在、MUJINに集まったスタッフ15人あまりのうち、12人は外国人。しかし、日本での起業には意味があると、滝野氏がこう話す。

「日本の製造業の技術力は、やはりすごいんですね。そこで生き残ることで、世界に出ていったときに認められやすい。それに私は日本人ですから、日本で世界からお金を集める会社を作るのも重要ですからね」MUJINの挑戦は、まだはじまったばかりだ。

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