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特集記事|月刊BOSSxWizBiz

2015年6月号より

いまや動画でIRが当たり前 正しくわかりやすく簡潔にIRの本質は「伝える」こと|月刊BOSSxWizBiz

「IR活動とは、基本はフルディスクロージャーすることによって、企業の価値を適正化させることです。しかし、財務情報の開示がフルディスクロージャーと捉えられていますが、本質的な意味では財務だけでなく、会社がどのような考えで運営されているのか、定性的、定量的な情報をまんべんなく公正な視点で伝えていくことが求められます」

こう語るのは戦略PR企業ベクトルグループの執行役員を務める山本高太郎氏。ベクトルグループは傘下にIRソリューションのIRバンクを持ち、IRとPRを組み合わせたサービスを手掛けている。IRバンクチーフディレクターの小松俊一氏は、IRこそ「伝える」ことが求められていると話す。

「ディスクロージャーは最低限やらないといけないものです。投資家に伝える行為がIR活動だと捉えると、自社のHPに財務情報を公開すれば終わりというものではありません。自社のHPに来てもらい、伝えることについて、担当者は努力をしていく必要があります」

IRバンクのクライアントは、IPOを前後したベンチャー企業が多い。ベンチャー企業の多くは知名度が低く、IR活動を通じて株主を集めるとともに、まずは自社がどのような事業を行っているのかを知らしめる必要がある。ここに着目し、IPOを控えた企業がベクトルグループのPR活動を通じて認知を得て、公開が近づくとともにIRバンクがIR活動のソリューションを提供するという流れを作り出している。IRバンクの売りの1つが、動画を使って投資家にリーチする手法だ。

スマホの動画で情報を集める投資家も増えている。

「いま投資家は、企業のIRサイトをスマホやタブレットのモバイル端末で見ることが増えています。しかし、モバイルでは閲覧時間は短く、短時間でその企業の特徴を掴むコンテンツは作られていないのが現状です。各企業のIR担当者が悩んでいるのがまさにこれで、財務諸表や経営説明会資料を開示しても、本当にその企業のことがわかりやすい簡潔なコンテンツを開発できないでいます。そこで私どもは、短時間で企業の事業の紹介や経営者の声が届けられる動画を作成し、アドテクという技術を使って、100万人、200万人の投資家にリーチできるサービスを提供しています」(小松氏)

動画での企業紹介は、東京証券取引所でも推し進めている施策である。東証は動画サイトYouTubeに「東証IRムービー・スクエア」という専用チャンネルを開設し、企業が制作した動画を配信している。もちろんIRバンクで制作した動画もアップロード可能だ。会社紹介や社長メッセージ等、パソコン、スマホ、タブレットのいずれも無料で視聴できるようになっている。IRと動画は、もはや切っても切れないものになりつつある。

「動画を視聴している投資家の年齢層は、意外にも若い世代からシニア世代までで、まんべんなく見ています。7割くらいがスマホ、タブレットからの視聴なので、3~5分で簡潔にまとめなければいけません。ただ、事業内容は急にガラリと変わるわけではありませんので、一度制作すると1年くらいは活用できるコンテンツです」(小松氏)

特にベンチャー企業の場合は、その存在を投資家に伝えることが、株式の流動性を高めるためにも必要なことだ。

「ベンチャー企業の株主は、多くが個人投資家です。出来高が株価に直結してしまう。自分たちの情報をいかにわかりやすく正しく伝えるか。IRとPRの垣根を越えて一体となった投資家への情報開示が求められています」(山本氏)

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