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2015年5月号より

呉善花・拓殖大学教授が語る「韓国版・父と娘」朴槿恵大統領にナッツ姫 韓国を騒がせた「娘たち」|月刊BOSSxWizBiz

男尊女卑でも世襲が優先

呉善花(オ・ソンファ)・拓殖大学教授

朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は韓国史上初の女性大統領ですが、これは本来ありえないことです。韓国は男尊女卑社会で、女性は家を守るもの。「メンドリが鳴くと、家滅ぶ」という諺があるように、女性の表立った社会的活動を戒める文化です。

ではなぜ朴大統領が誕生したのか。

最大の理由は、朝鮮は伝統的に世襲を重んじる社会であることです。李氏朝鮮が終わり、王朝支配はなくなりましたが、世襲文化はいまなお生きています。だからこそ北朝鮮では、金日成(キム・イルソン)から金正日(キム・ジョンイル)へと受け継がれ、さらにはなんの実績もない金正恩(キム・ジョンウン)への世襲が、疑問もなく受け入れられたのです。

これは韓国でも同じこと。韓国で国父と言えば朴槿恵大統領の父、朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領のことを指します。しかも朴槿恵大統領は、若い頃に母親が暗殺されたため、それからはずっとファーストレディの役割を果たしてきた。ですから韓国国民は、彼女に父親を重ね合わせている。世襲の価値が女性という存在を上回っているのです。

朴正煕元大統領以外の歴代大統領で、閣下と呼ばれる人はほぼいません。ところが、現在の朴槿恵大統領は、側近から閣下と呼ばれています。そのことからも、彼女が父親のイメージとともにあることがわかりますし、朴大統領自身、それをうまく利用しています。

2002年、大統領に就任する前のことですが、朴氏は北朝鮮を訪れ、当時の金正日総書記と会談し、「お互い2世としてうまくやりましょう」と励まし合っています。北朝鮮でも韓国でも、実績よりも血筋がモノをいう社会なのです。

それでも、従来の韓国社会であれば、女性大統領の誕生はあり得なかった。

韓国は、イスラム諸国以外では、いちばん女性差別の激しい国です。韓国には女性の地位向上を図ることを目的とした、女性家族部という行政機関がありますが、これも女性差別が激しいことの裏返しです。

もっとも以前に比べれば、社会に出て行く女性が増えたことは事実です。

きっかけは1997年の通貨危機でした。アジアを襲った通貨危機は韓国経済を直撃し、韓国はIMFの管理下に置かれました。これにより、多くの企業が倒産、失業者があふれました。

それまでは良妻賢母として家を守ることが女性に求められていましたが、この危機に直面して、女性たちは自分たちも経済力を持たなければいけないことに気づいたのです。この時以降、社会進出する女性が激増しました。

同時に、離婚率も急増しています。女性の社会進出が珍しかった時代、離婚した女性に対して社会は冷たかった。非常に差別を受けました。そのため別れたくても別れられない。我慢して生きるしかなかった。ところが女性が経済力を持った結果、韓国はアメリカに次ぐ離婚大国となりました。何事も極端から極端へと動くのが韓国の特徴です。

このように、女性の社会進出が一般化したことが、朴大統領誕生にも大きな影響を与えていると思います。ただし、表面的には女性が活躍しているように見えても、根源的な部分での差別はまだまだ強い。

経済政策がうまくいっていないこともあり、朴大統領の支持率は低下しています。今後さらに悪化するようなことがあれば、「やはり女性はダメだ」という評価につながりかねません。

怒ることで威厳を示す

最近、韓国の女性で世間を賑わしたのが、ご存じ「ナッツ姫」です。

大韓航空の趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長の長女で、大韓航空副社長の趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏が、客室乗務員からナッツを袋ごと渡されたことに激怒し、サービス責任者を降ろすために機体を引き返させたという事件です。

ナッツ姫の裁判は先日行われ、懲役1年の実刑判決が言い渡されました(趙氏は控訴)。

大韓航空は、韓進グループという財閥に属していますが、韓国の財閥において、オーナーの娘が役員を務めることは珍しいことではありません。サムスングループや現代グループでも、オーナーの娘たちが役員になっています。韓国は家族主義の国です。言葉を替えれば、身内しか信用しない社会です。「血は水よりも濃い」のです。ですから、子供や孫を財閥に迎えるのは当然のことなのです。

ナッツ姫は機内で激怒した際、男性のサービス責任者に暴言を吐いただけでなく、ひざまずかせて謝罪させたと言われています。男尊女卑の韓国で、なぜこんなことが起きたのかというと、「両班(ヤン バン)」の歴史があるためです。

両班は李氏朝鮮時代の支配階級です。朝鮮では支配層と庶民の身分は厳格に区別されていました。

両班の家族が、使用人に対して優しい言葉をかけることなどありえない。そんなことをすれば逆に使用人たちになめられてしまう。

むしろ厳しい言葉を使うことで、自分たちの立場を知らしめ、威厳を見せる。そのほうが支配階級として尊敬を集めることができるのです。これは女性の場合も変わりません。

日本では、他人を叱る時に人前で叱ることはあまり多くありません。叱られた人に恥をかかせないよう配慮するためです。韓国は違います。むしろ人前で怒るのです。それが威厳につながるからです。

ですから、ナッツ姫が機内で怒ったというのは、彼女にしてみれば当たり前だったのでしょう。そういう環境で彼女は育ってきたのです。ただそれが、世界中の人に知られてしまったことに誤算があったのかもしれません。

韓国の国民にとっては、それほど驚く話ではないはずです。ただその一方で、財閥に対する反発がある。それが、あの大騒動につながったのです。

ただし財閥への反発は憧れと裏表です。誰もが本音では財閥に入りたい。ある調査によれば、大学生の50%以上がサムスンへの入社を希望しているそうです。

かつて、両班になるには高級官僚登用試験の科挙に受かることでした。いまは財閥企業の就職試験が科挙と同じ意味を持っています。財閥に入ることは支配階級に属することを意味しています。

ですから、韓国の受験戦争は日本より熾烈です。そして女性の場合なら、美しさを求める。美人であれば、支配階級と巡り合うチャンスが多くなる。彼女たちにとって美は資本なのです。だからこそ、韓国は世界一の美容整形大国ともなっているのです。

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