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2015年3月号より

CYBERDYNE(サイバーダイン)上場を果たした筑波大学発の医療・福祉用ロボットベンチャー|月刊BOSSxWizBiz

装着者の意思を勝手に感知

日本の成長戦略のひとつに、「ロボットによる新産業革命」がある。安倍首相自らも、2014年5月のパリにおけるOECD閣僚理事会の基調演説で、「日本は世界に先駆けてロボット活用のショーケースとなりたい」と語っている。

それだけに、2014年3月に医療・福祉用ロボットを開発するサイバーダインが東証マザーズに上場した時は大きな話題となった。公開価格は3700円だったが、初値は倍以上の8510円をつけ、一時はストップ高の1万10円まで高騰した(現在は当時換算で1万7000円前後)。

サイバーダインは2004年に誕生した。創業者は筑波大学教授の山海嘉之氏だ。もともとは「HAL」と名付けられたロボットスーツを山海教授が開発。これを事業化するために設立した。

HALにはいくつかのタイプがあるが、腕、脚、胴体すべてに装着するタイプでは、装着者が本来持てる5倍の重量を持つことができる。また腰だけに装着するタイプでも補助動力によって重いものを持ち上げることが可能になる。

HALを装着すれば重いモノを持っても腰に負担がかからない。

介護の現場では、要介護者がトイレで用を足したり入浴する際、介護士が抱え上げる必要がある。そのため介護士の多くが腰を痛めてしまう。この作業を、HALを装着すれば腰に負担をかけずに行えるため、病院や介護の現場での労働環境改善や労働災害防止が期待できる。

また、脚部だけのタイプを装着することで、足腰の弱った人でも自力歩行が可能になる。

HALの特筆すべきところは、装着者の意思を、皮膚に流れる微弱電流をセンサーで感知し、それを内蔵コンピュータが解析、補助動力を動かすところにある。

これが評価され、05年には「ワールドテクノロジーアワード大賞」を受賞、06年には「日本イノベーター大賞優秀賞」、09年「21世紀発明大賞」、14年「エジソンアワード金賞」など、世界中から高い評価を受けている。

矢野経済研究所によると、介護ロボット市場は20年度には350億円に達するとみられている。11年度実績で1億2400万円だったから、10年間で300倍近くにまで拡大することになる。しかも日本の高齢者人口は20年以降もますます増えていくし、ヨーロッパなどの先進国や中国などでも今後高齢化は進んでいく。その介護ロボット市場の先頭を走っているのがサイバーダインだ。

それだけに、産業界もサイバーダインに注目する。真っ先に目をつけたのが大和ハウス工業で07年にサイバーダインと資本・業務提携。08年には国内の総代理店契約を結んだ。

大和ハウスは住宅メーカーのイメージが強いが、介護事業にも深く関わっている。老人ホームを建設するだけでなく、運営にも関与、3年前には東京電力から老人ホームを運営する「東電ライフサポート」を買収。その現場でHALを活用することで、介護士たちの負担を軽減できると考えたのだ。

また大林組も、労働者不足の解消の一助にと、建設現場でのHALの導入を決断した。

そして昨年暮れには、オムロンとの間で基本合意書を締結した。

その内容は、(1)HALをオムロンが販売促進するとともに保守サービスを行う(2)新たに開発した搬送用ロボットおよびクリーンロボットについてもオムロンが販売・保守を行う(3)サイバーダインの持つサイバニクス技術とオムロンの持つ産業分野におけるロボット技術を融合した事業を推進する――というものだ。

つまりオムロンは、HALの販売・保守だけではなく、将来にわたってサイバーダインと組むことで、「生産革命を起こしたい」(山田義仁・オムロン社長)。それほどまでに、サイバーダインの技術を評価しているということだ。

実は日本の大学の研究室からは、数多くのすぐれた発明や技術が誕生している。しかしそれが産業になかなか結び付かないところに、日本の弱点がある。過去の例を見ると、産学共同の研究は進むものの、そこでいたずらに時間をかけてしまい、いざ世の中に送り出そうとするときには、市場をおさえられているというパターンが多い。

医療機器認定で普及促進

オムロンとの提携を発表する山海嘉之・サイバーダイン社長。左は山田義仁・オムロン社長。

その点、サイバーダインの場合は、早くから民間企業の資本を受け入れ、現場で実績を積んでいる。

山海教授は「10年後、20年後に世の中に出たのでは、何も貢献していないのと一緒」と語るが、世の中に貢献するものであればあるほど、できるだけ早く送り出して、困っている人たちの役に立ちたいという思想がそこにはある。

HALは2013年にヨーロッパで「CEマーキング」と呼ばれる医療機器認証を取得した。そのため神経系や筋系疾患の患者向けにHALを提供する病院が増えている。また米国でも医療機器認証の申請を終えており、認可を待つばかりだ。日本国内においても国内治験が今年の夏に終わる予定で、その後は医療現場でも使えることになる。

そうなると、HALの普及は一気に進む可能性が高い。

まったく新しい分野のベンチャーなだけにその開発負担が重く、サイバーダインはこれまで赤字が続いてきた。今2015年3月期も赤字幅が縮小するとはいえ、まだ水面上には浮上できそうもない。

しかし前述のように今後世界各国での普及が見込めるため、来年度には収支とんとん。それ以降、収益は急拡大する見通しだ。

世界の介護現場で、HALが活躍する日が間もなくくる。そうなれば、ロボット大国ニッポンの面目躍如である。

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