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2015年3月号より

水素社会実現へ大出血で挑む岩谷産業の賭け 岩谷産業|月刊BOSSxWizBiz

2014年11月14日に岩谷産業が発表した“数字”に大きな注目が集まった。

「1キログラムあたり1100円(税別)」

水素ステーションでの、水素の販売価格である。トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI」の発表に合わせてのタイミングだったが、FCV普及に際して大きな目安となる数字であることは間違いない。

この1100円という数字が妥当なものなのかどうか、判断は難しいのが実情だ。というのも、これまで水素を一般向けに販売した例はなく、FCVそのものも普及していないため、需要と供給のバランスによる価格の設定というわけにはいかない。とりあえず、「こんな感じでどうだろう?」という手探り感が強い値付けなのだ。

もちろん、ある程度の裏付けがあっての数字だが、2014年6月に経済産業省と資源エネルギー庁が公開した「水素・燃料電池戦略ロードマップ」によると、水素社会実現へのフェーズ1(水素利用の飛躍的拡大)において、水素価格は「2015年の燃料電池自動車の市場投入当初からガソリン車の燃料代と同等以下となることを、2020年頃にハイブリッド車の燃料代と同等以下となることを、それぞれ実現することを目指す」と明記されている。

岩谷産業の「イワタニ水素ステーション」の価格は、20年の「ハイブリッド車の燃料代と同等以下」という目標を5年前倒しで実現したものになっている。その根拠となる数字はFCCJ(燃料電池実用化推進協議会)が議論して導き出したもので、ハイブリッド車の燃料代と同等になるための水素価格は100円/Nm3とされている。これを重量表示に換算したものが1100円/キログラムというわけだ。

岩谷産業では、15年度までに東京・名古屋・大阪・福岡の4大都市圏に20カ所の商用水素ステーションの設置を表明。すでに兵庫県尼崎市と福岡県北九州市の水素ステーションはオープンしており、今年3月には、東京タワー直下の港区芝公園にオープンする予定だ。

実はこの土地、現トヨタ東京カローラが1962年に創業した、トヨタグループにとっても歴史的な地だという。日本のモータリゼーション普及の原点とも言える所にFCV普及促進のための拠点をつくるということは、岩谷産業とトヨタの本気度が伝わろうというものだ。

岩谷産業が提携を図るのは自動車メーカーだけではない。昨年12月10日にはセブン-イレブン・ジャパンと提携し、水素ステーションとセブン-イレブンの併設店舗を展開することを発表した。15年度中に東京都と愛知県に併設店舗を2店、順次オープンする予定だという。

岩谷産業にとっては水素ステーションの設置を拡大するうえで、コンビニエンスストアとの提携は設置場所の確保と客の利便性向上に繋がる。セブン-イレブンは、純水素型燃料電池を活用した店舗の環境負荷低減について実証実験を行い、小売店舗における燃料電池活用の将来性について検証するという。

現在、産業用水素の分野ではトップシェアを誇る岩谷産業だが、一般向け商用販売では、FCVが世に浸透していない現状では売り上げゼロに等しい。当面は先行投資が一方的につづくと見られ、採算が合うようになるには相当の時間がかかりそうだ。

政府が水素社会実現を掲げていることもあり、頼みの綱は補助金となるが、水素の販売増加なくして水素ステーションの経営は成り立たない。昨年12月のトヨタに続き、来年はホンダ、17年には日産がFCVの販売に参入する。岩谷産業が仕掛ける、社運をかけた積極的な投資が報われるのか否か。すべてはFCVの普及にかかっている。

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