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2014年12月号より

アリババのIPOでソフトバンクの含み益は8兆円|月刊BOSSxWizBiz

世界最大の調達額

2014年9月19日にニューヨーク市場に上場したアリババ・グループ・ホールディング。IPO規模が218億ドル(約2兆3800億円)と、米国史上最大となったことで、世界中の注目を集めた。22日には株式の追加売り出しを実施、最終的に上場の調達額は250億ドル(約2兆7000億円)に達し、米国だけでなく世界でも史上最大の調達額になった。これでアリババの時価総額は25兆円。トヨタの22兆円を上回った。

19日の終値は公開価格より約38%高い93.89ドルまで上場したことからも、投資家から人気の高い銘柄だったことがわかる。

このIPOで一躍注目を集めたのがソフトバンクであり、孫正義氏だ。アリババの筆頭株主はソフトバンクで、IPO後も32.4%の株式を保持している。ソフトバンクが持つアリババ株の時価総額は700億ドルをはるかに上回り、日本円で約8兆円に達した。2000年にソフトバンクがアリババに出資した金額は20億円だったことから、4000倍に膨れ上がったことになる。これを受けて株価も終値で8740円まで上昇。孫氏の個人資産も一時は世界長者番付の上位争いに加わるところまで急上昇した(その後、株価は7000円台で推移)。

日本からでも、米国株を取り扱う証券会社ならアリババ株を買えるため、熱狂した投資家は多かったかもしれない。しかし、はたしてアリババとはどういう企業なのか、意外に知られていないのが実情ではないか。Eコマースのビジネスをしていることから「楽天のような会社」と日本では言われがちだが、実情はかなり異なる。

中国・アジアのITビジネスに詳しいIT経営者は、アリババグループについて次のように語る。

「アリババグループのなかでも、いわゆる“主役”が変化しています。もともとのアリババの事業は、事業者と事業者を繋ぐBtoBのビジネスでした。これは現在、アリババジャパンのビジネスをみるとイメージしやすい。現在はタオバオが収益を稼いでいますが、タオバオは楽天というよりも、ヤフー・ショッピングとヤフー・オークションを足したようなビジネスで、CtoCに一部BtoCが入ったもの。アリババグループで楽天に相当するビジネスは天猫TモールというBtoCのサービスです。この2つのほかに、厳密にはアリババグループではないが、アリペイという決済ビジネスの会社があります(経営者はアリババのCEOであるジャック・マー氏。アリババとの資本関係は11年に解消している)」

企業間取引サイトのアリババドットコムは、中国国内向けサイトと国際サイトに分かれており、国際サイトは190カ国3670万ユーザーが利用しているという。アリババジャパンをはじめ、世界70カ国以上に現地法人を置き、世界のバイヤーとサプライヤーを繋ぐ役割を果たす。

アリババグループの現在の稼ぎ頭と言えるのが、やはりEC事業。

主にCtoCのビジネスであるタオバオは出店料が無料ということもあり、個人から怪しい事業者まで出店者は様々だが、タオバオで買えないものはないというほど品揃えは豊富。10億点近い掲載商品に対し、約5億人が会員となって買い物をする。12年に年間流通総額が1兆元を突破し、いまだ右肩上がりの成長を続けている。現在ヤフージャパンが目指しているのが、このタオバオのスタイル。出店料を無料にすることで、幅広く出店者・商品数を集めようという手法だ。

対してBtoCのショッピングモールである天猫Tモールは、中国国内で登記された法人格でなければ出店できないサイト。そして出店には保証金、技術サポート費用がかかり、さらに売り上げから販売手数料も納めなければならない。

そもそも中国のEC自体がCtoCからスタートしたのだが、近年、BtoCのモールが急成長している。その理由としては、タオバオは商品点数こそ多いものの、いわゆるニセモノも多く含まれており、詐欺まがいの業者も相当数存在する。それに対し、天猫Tモールは積極的に外資の有名ブランドに出店させ、ホンモノの商品が届けられる信頼性を売りにしている。

中国のEC市場のシェアは09年までBtoCが10%以下だったが、13年には約30%にまで伸び、16年には50%に達すると予測されている。これはアリババグループが脱タオバオを明確に打ち出し、富裕層に対して高級感と信頼性を天猫Tモールで提供しはじめた結果でもある。ちなみに、天猫Tモールの13年度の流通総額は8兆円を超えた。これは楽天の流通総額約1兆7000億円の約5倍の規模。もはや日本企業が太刀打ちできるレベルではなくなっている。

「アリババはBtoB、CtoC、BtoCの3つの世界的な規模のビジネスを持ち、広義のグループ内に金融ビジネスを持っている。これに加え、アクセスが集中してもダウンしないインフラや広告テクノロジー分野で新しいビジネスを生み出す高い技術力もある。最近は、まだ規模は小さいがゲーム事業もスタートさせた。今回のIPOで得た資金のうち1兆7000億円を物流網の整備に使うそうだから、また大きなビジネスが生まれるかもしれない」(前述のIT経営者)

将来性への期待感

アリババの収益のほとんどが中国国内のビジネスであるにもかかわらず、なぜ世界の投資家は熱狂的にアリババのIPOに飛びついたのか。その理由の1つが、圧倒的な規模を持ちながら、さらなる将来の成長への期待感が高いことだ。

アリババグループの業績推移をみると、売上高は10年67億元、11年119億元、12年200億元、13年345億元、14年予想525億元と、毎年2倍近い成長率を残してきた。特にその利益率は年々高まっており、14年は営業利益250億元と、5割近い営業利益率になるという。

中国の13年の人口は約13億人だが、いわゆるインターネット利用者数は約6億人。まだ50%にも満たない。日本が人口約1億2000万人でネット利用者数が1億44万人であることから、中国のネットユーザーは倍に増えてもおかしくはない。そのマーケットシェアの7割以上を持っているのがアリババだ。

さらにECを利用するユーザーの割合はまだまだ増えると思われることから、当面、高い成長率が維持されることが予想される。加えて周辺ビジネスや、アジア等の海外展開が加われば、爆発的に成長する可能性を秘めている。

また、数字以上にアリババの魅力を高めているのがジャック・マー(馬雲)氏の存在だ。

「ジャック・マーは非常にカリスマ性の高い経営者です。創業メンバー等に話を聞いても、アリババの社員は崇拝とまではいかなくても心酔している。彼はもともと英語教師で、ネットに詳しいわけでもなく、エンジニアでもなかった。とにかく人の心を掴むのに優れているそうです。講演を聴いても、夢やビジョンを、大きなスケールで語る。ポジティブな意味での“ホラ吹き”という印象でした。ビジョンを掲げ、そのためのチーム作りに長けている。

日本で言えば、孫正義さんや南場智子さん(DeNA創業者)が、近い存在でしょうね」(前述のIT経営者)

これまでは孫氏が出資者、先輩経営者としてマー氏を助けることが多かった。しかし、マー氏が取締役会の承認を得ることなく11年にアリペイをグループから分離させたことで米ヤフーと揉めるなど、マー氏は決して従順な経営者ではない。アメリカでIPOを果たし、世界進出の足掛かりを確固たるものにしたことで、孫氏とマー氏は〝化かしあい〟のフェーズに入ったとも言える。

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