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2014年12月号より

ソーラーから燃料電池まで発電事業は情報ビジネス|月刊BOSSxWizBiz

電力事業は情報ビジネス

10月16日、北海道白老町にソーラー発電所が営業運転を開始した。出力規模は2600キロワットで、一般家庭700世帯以上分の電力をこの発電所によってまかなえる。

運営するのはソフトバンクの子会社、ソフトバンクエナジー。同社にとってこれが12カ所目のソーラー発電所で、その出力規模は合わせて9万キロワットを超える。また来年には3カ所、15万キロワット以上のソーラー発電所を誕生させる計画だ。

2011年3月11日の東日本大震災によって起こった東京電力福島第一発電所の事故により、日本のエネルギー政策は大転換を迫られた。原発への信頼感が失われ、震災から3年半たったいまでも、国内のすべての原発の運転が止まっている。

その代わりに雨後の筍のように日本国内に誕生したのがメガソーラー発電所だ。あまりにも急速に増え続けたために、最近では電力会社が買い取りを拒否する事態を招いているのはご承知のとおりだが、それはともかく、このメガソーラー発電ブームの引き金を引いたのがソフトバンクの孫正義社長だった。

震災間もない時期に孫社長は、日本は脱原発を目指すべきだとし、そのために再生可能エネルギーを増やさなければならないと、自らメガソーラー発電などに進出することを明らかにした。同時に孫氏は政府に対し、再生可能エネルギーの高値での買い取りを訴えた。

こうした孫氏の発言に対しては批判もあった。脱原発という国民のコンセンサスを得やすい主張をしながらも、結局は自らがメガソーラー事業によって利益を得ようとしているのではないか。利益のために政策を動かそうというのは政商以外の何ものでもない、というわけだ。

しかし孫氏にしてみれば「誰かがリスクを取って事業化せねば、前に進まない」という思いがあった。そこで孫氏は「メガソーラー事業からの報酬は一切受け取らない」と政商論争を封じ込めたうえで、当時の民主党政権に1キロワット時42円での買い取りを認めさせる。そして着々とメガソーラー発電所建設に向け動き始めた。この動きに触発され他業種、他業界からも参入が相次いだ。孫氏が目論んだように、事態は前に進み始めたのだ。

このように、ソフトバンクのエネルギー事業は、最初は孫社長の義憤と、日本の将来を憂える思いから始まったのだが、「実はソフトバンクの事業のど真ん中にあるんです」と語るのは、ソフトバンク社長室長で、ソフトバンクエナジー副社長を兼務する三輪茂基氏だ。

三井物産から転じた三輪茂基社長室長。

「電気というのはインフラであると同時に情報そのものです。ソフトバンクの事業は情報インフラを提供することですから、本業そのものと言うことができるのです」

三輪氏は11年まで三井物産で資源エネルギー部門を歩んできたエネルギーのプロである。そのプロの目から見ても、ソフトバンクがエネルギー事業を手掛けることに全く違和感はなかったという。

「孫もよく言っていることですが、電力がなければコンピュータはただの箱です。ソフトバンクが目指す情報革命に電力は不可欠です。さらに、これからのIT企業あるいは通信企業を制するのは、コンテンツなのか規模の利益なのか、という議論があります。でも同時に、安定的に競争力ある電気をいかにうまく調達できるかが、競争の源泉になるのではないかと思います」

すでにソフトバンクのエネルギー事業は、同社にとって収益を目指す本格的なビジネスとして位置づけられているのだ。

「電力会社のような大手には大手の使命と立場があるし、我々には我々の使命と立場がある。ソフトバンクとして絶対にはずしてはいけないのが、クリーンでグリーンなエネルギーにこだわるということです。そして大規模集中ではなく分散型。これはコンピュータの歴史とも同じで、大型汎用機がパソコンとなり、さらにいまではクラウドになっている。それに重なります。しかもソフトバンクは顧客との接点を持っている。これを活用することで新たな可能性も生まれてくる」

モンゴルで風力発電

ただし、再生可能エネルギーの限界も見えてきた。ソーラー発電なら太陽頼み、風力発電なら風頼みだ。出力も安定しないし、それが電力会社側の買い取り拒否の理由の一端にもなっている。

それを補完する意味もあって、ソフトバンクが最近始めたのが、燃料電池事業だ。これは、アメリカのブルーム・エナジー社と折半で設立されたブルーム・エナジー・ジャパン(BEG)が担当。三輪氏はBEG社長も兼務する。

「12年の年末にシリコンバレーにいた孫から短いメールがきたのがきっかけです」

メールには「天然ガスを利用したクリーンな発電システム。日本でも検討を」とあった。

燃料電池は天然ガスなどから水素を取り出し、空気中の酸素と化学反応させることで高効率で発電するシステム。

日本には家庭用の「エネファーム」など、小規模の燃料電池はあるが、産業・業務向けはほとんどなかった。しかし再生エネルギーを補完する意味でも、またバックアップ電源としても有効で、アメリカでは多くの企業が導入している。

BEGでは現在、日本の企業や官公庁に導入を働きかけており、今年6月には、ソフトバンクが入居する東京・汐留ビルディングや、慶応大学の湘南藤沢キャンパス(神奈川県)で運転を開始した。

いまのところ、発電コストは通常の電力料金より割高であり、それが燃料電池発電導入のネックになっている。

「3年後くらいから、シェールガスが輸入されるようになるためガス料金が下がります。また、いまは家庭用燃料電池には補助金が出ていますが、その頃には産業・業務用にも支援が始まるはずです。また機器代は今後、量産効果で安くなる。しかも電力料金は今後も上がっていくことを考えると、17年頃になると環境が大きく変わる。その時に備えて構えをつくり、実績を残しておく必要があります」

このように、将来を想定してシナリオをつくり、仕掛けて待つのが、ソフトバンクのビジネス手法である。シナリオどおりにいけばよし。もし違ったらそこで軌道修正する。とにかくまずは動いてみて、トライ&エラーを繰り返していく。

ソフトバンクは、日本から3000キロ離れたモンゴル南部のゴビ砂漠に、東京都より広い2200平方キロの土地を確保。この地域は強風が安定的に吹くため、ここに風力発電施設を建設し、発電した電力を日本だけでなく中国、韓国などにも供給する「アジアスーパーグリッド構想」を描いている。

孫氏の義憤から始まったエネルギー事業だが、そのスケールはどんどん大きくなっている。

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