2014年6月号より
1988年にスタートした「ワールドビジネスサテライト(WBS)」の初代キャスターを、4年間にわたり務めさせてもらいました。
その間に、東証株価は3万8900円の最高値をつけ(89年大納会)、ベルリンの壁の崩壊で東西冷戦が終結、昭和天皇が崩御され、湾岸戦争が勃発するという、まさに激動の4年間でした。
現在、WBSは午後11時にスタートしていますが、最初は11時半スタートで、時差を利用して海外マーケットの最新情報を伝えていました。テレビ局としては小さいかもしれませんが、経済に関しては専門家も多く、視聴者からも信頼される番組をつくることができたと思います。ただし視聴率は1%台でした。それでも他の番組と違って、熱心な視聴者が多かったため、伝える側も真剣に、しかも気をつかいながら放送したことを覚えています。
しかもロンドンではロイター、ニューヨークではウォールストリートジャーナルといった、世界の一流メディアと提携、質の高い情報を提供できた。それが番組への信頼を高めることにつながったと思います。
テレビ東京でよかったと思うのは、やりたいと思うことを自由にやらせてくれたことです。湾岸戦争の時も、私は中東の専門家ですから、バグダッドに飛んでそこから中継をすることができました。自分でこれをやりたい、ということに、反対された記憶はほとんどありません。それがテレビ東京の独自性につながっているのだと思います。
多くの人が興味を持つ問題でも、すべての人が興味を持っているわけではありません。テレビ東京は、その大勢に流されず独自路線を歩んでいる。これからも、誇りを持って、自分たちの信じる道を進んでほしいものです。