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特集 営業の達人|月刊BOSSxWizBiz

変革のなかに不変なもの営業とは価値を伝える仕事|月刊BOSSxWizBiz

こんどう・たかみ 1967年生まれ、大阪府出身。19歳で50万円を元手に会社を創業。02年ナスダック・ジャパン(現ジャスダック)上場。04年に当時最年少創業社長として東証1部上場。最新省エネ設備を初期費用無料で導入できるエネルギー環境事業、電子雑誌出版事業、経営者交流会「パッションリーダーズ」のいずれも日本一の規模を誇り、スマホでGETした景品が自宅に届くという、世界初3Dスマホクレーンゲーム「神の手」に注力している。

ビジネスモデルと営業

1987年に創業したネクシィーズグループは、「企画力と営業力」を武器に30年以上ビジネスの世界で戦ってきた。変化の激しい時代にどう会社を変化させ、企画営業という経営スタイルをぶらさずに維持してきたのか。ネクシィーズグループ社長の近藤太香巳氏に“営業論”について話を聞いた。

── ネクシィーズグループと言えば、やはり企画力と営業力のイメージが強い企業です。創業から30年を経て、営業マンの仕事の仕方(スタイル)がどのように変化しているのでしょうか。
かつて営業の世界は、売るのが困難な商品やサービスを、独自で編み出した販売ノウハウや神業トークで売るという、そこに営業マンとしての美学がありました。

例えば、「頭文字D(イニシャル・D)」という、自動車で公道を走り、スピードを競い合う若者達を描いた漫画があります。この漫画では、主人公が乗る車は高性能とは言えない、どちらかといえば「遅い車」ですが、その車で性能の優れた「速い車」にテクニックと情熱で勝ち、伝説を築いていくというストーリーです。営業マンの美学もそれと同じです。店頭に置いても売れないものを、営業マンが自らの力で売りに行く。むしろ営業マンがいなければ売れない商品やサービスを売り貫くことが営業マンの誇りだったわけです。

営業には「心を尽くしているのかという人間性を見る」と近藤社長。

ところが、時代の変化とともに商品の価値やニーズは変わり、売れないものを売り続ける、そんな時代はもはや過ぎ去りました。

私が18歳の時、当時勤めていた会社は、黒ダイヤルの電話から、高額な18万円もするプッシュフォンに切り替えるという、100件訪問して1件取れたらスゴイという、まさに「営業会社」でした。私は、そんな営業効率の悪い市場がいつまでも続くわけがない、そう思っていました。

気力・体力がものをいうような根性論だけの営業力の時代から、ニーズに適したビジネスモデルの時代に移り変わってきたことをわかりやすく例えますと、最速のF1マシンにそこそこの運転技術をもったレーシングドライバーが乗り、一方で普通自動車には最高のテクニックをもったF1ドライバーが乗って競争した場合、どちらが勝つでしょうか。当然、この場合はF1マシンが勝ちます。では、クルマをビジネスモデルに置き換えてみてください。最速のF1マシンのような高性能なビジネスモデルと、普通自動車のような性能の劣るビジネスモデルを比較すると、誰でも速く走らせることができるF1マシンが勝ちます。

つまり、営業力が第一ではなく、最高のビジネスモデルという「スーパーマシン」を作り上げることがとても重要になってきます。そして、その「スーパーマシン」を操るテクニックこそが現代の営業力なのだと思います。かつては営業力が1番で、ビジネスモデルは2番でした。現在はビジネスモデルが1番になったことが営業のあり方の大きな変化に繋がったと思います。

── 社会的ニーズがなければ持続的な成長は難しいのでしょうか?
そうですね。読者の方も記憶にあると思いますが、かつてはシロアリ駆除や太陽熱温水器、外壁材といった商材を扱った企業が訪問販売の営業を中心に拡大・成長しました。しかしながら、次第に多くの企業が消えていったのが現実です。

── そういった企業はノルマ等も厳しく、営業職の離職率が高いですね。大半の営業会社は、現在でも入社の50%以上の従業員が辞めると言われています。
しかしながら当社では、毎年、新卒社員が100名ほど入社しますが、2年後に離職するのは10名程度です。しかも男女比は半分ずつ採用しての数字です。これは、やはりビジネスモデルと営業スタイルの変化が大きいと思います。

我々の主力事業であるエネルギー環境事業では、LED照明レンタルサービスなど高額な省エネ設備を初期費用オールゼロで導入いただけるサービスを行っています。LEDの電球代も工事代もすべて初期費用は無料で、下がった電気料金の一部をレンタル料金としていただき、5年後にはレンタル料金もなくなりお客様へ所有権が移行するといったビジネスモデルなのです。さらに、新規オーダーの40%が既存のお客様からのご紹介となっています。ですから、先輩社員は、顧客を開拓するための新規営業をほとんどやっていません。営業マンにとって新規開拓は非常に大変な仕事ですから、1度新規のお客様ができれば、そのご紹介だけでオーダーを上げることができるようになるのです。

当社の社風や文化、事業の成長性に魅力があるのはもちろんですが、新卒社員が先輩営業マンのその姿を見ているからこそ、離職しないで頑張れるのでしょう。経営者(会社)は、自社のサービスをお客様に喜んでいただき、それを他社にもご紹介していただけるような、そんなビジネスモデルを作ることがとても重要なのだと思います。

── ノルマを課して営業マンを鍛えるだけではダメだと。なぜこのような変化が生まれたのでしょう。
世の中が厳しくなったことが挙げられるでしょう。悪質な訪問販売やクレームに対して声をあげ、売り手側ではなく、お客様本位の時代になってきたからだと思います。そこで変われなかった営業会社は生き残ることが難しくなっていくのではないでしょうか。

とはいえ、お客様に説明が必要な商品がある以上、営業という仕事はなくなりません。かつて私たちが普及に貢献してきた携帯電話や衛星放送、ブロードバンドといった商材もそうでした。当時、スカパー!(スカパーJSAT)やWOWOWといった名前は知っていても、どのようなチャンネルがあってどのような番組が放送されているのか、基本料金や視聴料など、サービスの中身を知っている人はほとんどいませんでした。その「価値」を伝えるという意味では営業会社はなくなりません。どんなにテクノロジーが発達しても、商売として「作る」と「売る」の2つしかないわけですから、嬉しい、安い、楽しい、便利という価値を伝える営業は必要不可欠です。お客様に説明し、納得して喜んでもらうという軸はなくならないですし、絶対に変わらないものだと思います。

ベストを追求しているか

── その伝えるという仕事のなかで、営業マンが顧客に対する向き合い方として必要なものとはなんでしょう。
営業マンがお客様に納得してもらうしかありません。(1)世の中(業界)はこうだ。(2)課題はこうだ。(3)私たちならこのように解決できる。という3点です。

例えば、Aというお店とBというお店、どちらで申し込んでも同じサービスであった場合、たまたまAが近かったのでAで申し込みましたでは、企業は繁栄できません。Aという会社に申し込む意味がなければ勝てません。世の中はこう、課題はこう、解決はこうと提案し、納得してもらう力が営業マンにとって必要なものなのです。

さらに、もう1つ営業マンに必要なことは、ベストを追求し続ける姿勢です。1年前のベストが現在のベストであるわけがありません。例えばラーメン店でも、美味しくないお店にはお客さんは来ませんが、美味しいお店にはお客さんが来る。しかし、行列ができるお店というのは「めっちゃ美味しい!ラーメン屋さん」なんです。美味しいラーメン屋と行列ができるラーメン屋の差はミリ単位の違いです。このミリ単位の違いを攻め込んだところが、店の独自性であり、人気が出る秘訣でもあります。こうしたミリ単位の違いを出すために、会社や営業マンが常に攻め込む姿勢を持ってベストを追求し続けているかどうかが、他社との差別化に繋がっていきます。

過去の営業の話に戻りますが、かつての営業マンはこうして得た経験やノウハウ、スキルを人に教えることはありませんでした。営業会社では、インセンティブで営業成績に応じて給与や賞金がもらえますから、ノウハウは周りのメンバーに教えません。結果、ノウハウは会社ではなく、人にしか溜まっていきませんでした。私が取り組んできたのは、ノウハウを会社に溜めていけるようにすることでした。当社では、営業現場で直面する100通り以上のトークを全員で共有しており、そのトークスクリプトから自分に合ったトークを選ぶことができます。さらに、現場でおきた改善点やトラブルも共有することで、常に最善策を講じられるのです。

営業マン全員が1位を目指しているなかでトークを教えるということは、自分のライバルを自分自身で増やしていることになりますが、自分もほかの人のトークを知る利点もありますし、会社そのものが大きくなれば自分のポジションや立場、仕事のスケールも変わっていきます。もちろんトップ営業マンと下位の営業マンの差はありますが、平均値はどんどん上がっています。会社としてはチーム力を活かした方が業績を追求できますね。

── 逆に近藤社長に対して売り込みも多かったのではないですか。その時に、営業マンのどういうところを注視してきましたか。
たとえば提携したい、出資してほしいといった売り込みも含めて、いろいろな話が来るなかで、一番見るのはビジネスモデルのすばらしさですね。そのうえで、当社が一緒に何ができるかを想像します。次にその人自身の人間性です。この人は信頼できる人なのか、心を尽くせる人なのか、核心の部分を見ています。

私自身が営業の時によくやっていたのが、例えばAさんに紹介してもらってBさんに会いに行く場合。Aさんは自分が培った人間関係でBさんを紹介してくれたわけですから、私は努力もなしにBさんに会えるわけです。Bさんのところに行く前に、さりげなくAさんにBさんの素晴しさをヒヤリングして聞いておきます。そして、Bさんに会った時に「Aさんはこうおっしゃっていました」とBさんの素晴らしさを伝えますと、Bさんは、気分がよくなります。私は、たまたま紹介されたから行ったというだけでなく、AさんとBさんの絆がもっと深くなればいいなという心構えをもって行っていました。

そしてBさんとのアポイントが終われば、すぐさまビルの下でAさんに電話をしてお礼と報告をします。もしかしたらAさんとBさんは、このあとお互いに連絡を取るかもしれません。きちんと礼儀を尽くし、報告をするのは当たり前のことですが、ビジネスとしての期待もした上で、紹介してくれたAさんとBさんの関係がより良くなればさらにいいなという、心を込めたしたたかさが必要だと思っています。

── わかっていても、なかなかできることではないですね。
難しいでしょうね。「ホスピタリティ」をそのままダイレクトに言うと、わざと人が喜ぶことをやっているわけで、自然な優しさではありません。場合によってはゴマスリとも言われるかもしれないですが、好きな人に喜んでもらうように行動することは、ゴマスリだろうがホスピタリティだろうが、どちらでもいいと思っています。ただし、そこに心があれば……。心がなければ相手は動かないですし、何かしてあげようとは思われないでしょう。人間関係において、8対2くらいつまり、8割自分が誰かの為に尽くし、2割自分に返ってくる。それくらいの感じがちょうどよいと思っています。相手に求めるばかりではいけません。自分をどこまで犠牲にできるのか。これこそが、人の心を突き動かす原動力なんだと思います。

顧客に喜んでもらう気持ち

── 最近は女性の営業職も増えてきました。男性と女性で何か違いはありますか。
女性社員に言ったことがあるのですが、会話の中で甘いものが好きだということがわかったら、次にお逢いした際にさりげなく「今日は、○○さんに、プリンをお持ちしました」と言われたら、心配りができる女性だなと誰もが思うのではないでしょうか。女性だからこそできる「気配り・目配り・心配り」は大切だと思います。

ですが、基本は男女一緒です。当社の営業担当者は半分くらいが女性社員です。いまの営業は体力勝負や根性で語る仕事ではなくなっていますから、ほとんど差はなくなっています。むしろ女性のほうが頑張っているかもしれません。

── 業界によっては営業ウーマンが大活躍している企業も多くなっています。
もともと女性は昔から頑張っています。ただし、社会的地位が今ほど認められていなかったかも知れません。なぜなら、50年前から保険会社の大きなビルが建っていますよね。つまり“保険屋のおばちゃん”の力でビルが建ったようなものです。いまは男女関係なく社会的地位に就けるようになり、スポットライトが当たるようになってきました。営業スタイルも変わってきたことで、女性が活躍し、評価されやすい時代になってきたと思います。

女性が結婚し子供を産んで会社に復帰しても、夕方には子供を迎えに行かなくてはなりません。驚くのは、働く時間が男性に比べて短くなるのですが、N1グランプリ(当社の全国成績優秀者への表彰制度)に名前を連ねてくる女性社員が増えてきたのです。男性はどこか時間的な余裕を持ってしまうのかもしれません。女性はこの時間までに結果を出さなければいけないという、仕事に対する覚悟が男性よりも強いと感じられます。

── 経営者として営業職に求めていることはありますか。
会社はボランティアではないので、利益と社会的責任を追求していかなければいけません。売って終わりではなく、やはりお客様に喜んでいただくことを第一に考えなくてはいけません。我々のように、お客様から40%も紹介があるというのは顧客満足度が高い証拠ですから、これからも大切にしていきたいです。

かつて、ライバルで消えていった会社は、利益追求型で、儲けようという気持ちが強すぎたのだと思います。過去の営業会社は、私も含めほとんどがそうでした。騙すわけではないですが、利益をできるだけ上げようという自分本位の考え方は、どの会社でもすると思います。少しでも高く売りたい、少しでも安く仕入れたいというせめぎ合いがビジネスです。その前提は間違いではありません。

しかし、お客様に喜んでもらうサービスを提供した結果、いまの事業が紹介につながっていることをみると、「損して得取れ」までは言いませんが、私自身すごく学んだように思います。売上や利益が二の次とまで言わないまでも、お客様に満足してもらい、その結果としてご紹介を頂けるくらい喜んでもらおうということを強く言っています。

── 最後に近藤社長にとって営業とはなんでしょう?
営業とは、モノではなく、価値をわかりやすく伝え、お客様にサービスを提供することです。言い換えれば、説得ではなく、納得してもらう表現力であると思っています。

これからも、利益追求にとらわれず、お客様第一主義で、世の中にとって、社会にとって、クライアントにとって、なくてはならない企業を目指し、50年、100年後も成長し続けられる会社でありたいと願っています。

(聞き手=本誌編集長・児玉智浩)

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“営業もテクノロジーの時代 非効率を是正する仕組み作り|月刊BOSSxWizBiz

見込み顧客獲得から育成、顧客獲得後のフォローアップまで、B2B営業に関する非効率をセールステックで変革するビジネスを展開しているのがイノベーションだ。営業の仕事を「本来すべきである創造性の高いもの」に変えることをコンセプトにしており、中堅・中小企業を中心に注目が高まっている。イノベーション社長の富田直人氏にセールステックについて話を聞いた。

仕組みでモノを売る

── セールステック(Sales Tech)はまだ聞きなれない言葉ですが、現在とひと昔前の営業の違いについて、どう捉えていますか。
時代によって、大きく3つくらいに分けて変化をお話ししたほうがわかりやすいと思います。

「将来、顧客が求めている情報の価値や内容は変わる」と富田社長。
とみだ・なおと 1965年生まれ。静岡県出身。87年横浜国立大学工学部電子工学科卒業後、リクルート(現リクルートホールディングス)入社。2000年退社後、イノベーションを設立。社長に就任。16年12月マザーズ市場へ上場。

1つは、営業マンが全部1人でやる時代。マーケティング部門もなく、行き先も自分で決めて、説明して、見込み客を管理して、見込みのありそうなところにクロージングし、受注し、納品する。商品にもよりますが、既存顧客もフォローしていく。最初から最後までを1人でやる。しかし、新規営業と既存顧客営業は求められる資質が違います。例えば狩りが得意な人もいれば、寄り添うとか守りが得意な人もいます。最初から最後まで1人の人間がやるのは、人材のミスマッチも含めて、非効率ですごくたくさんの課題があります。

2つ目は、見込み客を獲得するとか営業の行き先をマーケティング部あるいは販売促進部が担当して、その先は営業マンが担当し、既存顧客は別の人が担当するなど分業が進んだのが2つ目の時代です。そのなかでインターネットが登場しています。しかし、資質の違いはクリアできても、これでは見込み客を獲得するにも人件費や担当間の引き継ぎの手間といったコストがかかり、ニーズのないところに営業に行くこともあって、まだ非効率です。

そして3つ目がこれからどんどん普及していくもので、いわゆるインターネットを活用、ツールを活用して効率的に営業していくスタイルです。例えば当社が運営しているような見込み客獲得サイトや、リードジェネレーション(不特定多数ではなく、自社の製品・サービスに関心を示す個人や企業の個人情報を獲得すること)のためのWEB広告やツールも出てきています。また、営業マンがいなくても動画を活用して説明を行ったり、商談もスカイプのような訪問しなくてもよいツールを使ったり、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を活用して行動履歴を残し、効果的に営業をします。WEBでもボットを使ったコミュニケーションシステムを使うなど、効率化が進む時代になってきています。

── かつて営業マンと言えば、企業が人海戦術を使って物量で顧客を獲得していくイメージがありました。
ガッツがあって、たくさん行動すればするほど成果が上がるわけですから、それは売れると思います。しかしながら、そういう売り方を長い間、続けられる営業マンが何割いるか。残業が無限にできて、募集すればすぐに採用ができる時代であれば、それでもよかったかもしれません。人手不足で、働き方改革で残業抑制とか、量で仕事をすることができなくなったなかで、仕組みでモノを売るということが求められているのだと思います。

── 確かに離職率が90%超という営業会社もめずらしくありませんでした。
そういう会社もまだあると思います。逆にその会社は営業が強い場合が多いです。なぜなら、そのような組織はなかなか作るのが難しいからです。でも、大きな時代の流れはテクノロジーを活用した営業へと変わってきていますので、もともと営業が強かった会社が、強みを活かしつつ効率的な仕組みを作り上げれば、さらに強い会社になっていくと思います。

── 採用が難しくなってきたなか、離職率をいかに下げるかが企業の課題になっているのも事実です。
採用は営業職だけでなく、全領域で難しくなっています。エンジニアなどは特に難しいと言われていますし、デジタル系のマーケティングはそもそもやっている人数が少ないので、引っ張りだこの状態です。従業員が働きやすい、働き甲斐のある会社を作っていくことが大事になっています。

課題は使う側のリテラシー

── セールステックという言葉自体を打ち出している会社はまだ少なく、まだ浸透しているとは言い難い気がしますが。
まだ少ないと思います。検索したとしても、日本では限られた数社しか出てこないでしょう。我々はSales Tech Lab.(セールテック・ラボ)という研究開発機関を作りまして、将来に向け、どうやって営業をテクノロジーで変えていけるのかという研究を進めています。欧米ではこの領域にスタートアップが多く参入していて、資金調達を行っているベンチャーも少なくありません。日本でも同様で、一気通貫でシステムを提供するベンダーは少ないですが、部分的な個別のサービスを提供する企業は出てきています。

── 日本では、営業と言うとまだ個人単位での仕事だという印象が強く、どうすれば効率化が進むのか、わからないという経営者も多いのではないですか。
そんなに難しく考える必要はありません。いまのセールスのプロセスをふり返っていただいて、見込み客を獲得するというフェーズ、見込み客を育成するフェーズ、クロージングとサポートのフェーズと、流れの中での非効率を、どうテクノロジーで変えていくかというだけです。

テクノロジーとは言えませんが、エクセルを使って顧客情報を管理し、電話をするというのもセールステックの領域でしょう。当社のような資料比較サイトを活用して効果的に見込み客を獲るというのも、マーケティングや広告のような位置づけですが、セールステックの領域だと思います。

獲得した見込み客をしっかり管理するという意味では、SFAやCRMもその領域ですし、マーケティングオートメーション(マーケティングにおいて、個別な見込み顧客とのコミュニケーションを自動化するために開発されたツール)もその分野の1つです。カスタマーサポートの分野でも、よくある質問であれば、ボットを使って自動的にチャットで返すツールを導入している企業も増えています。

ただ、現状では、それぞれが1つずつのサービスで、なかなか統合できないのが課題となっています。また、使う側のリテラシーにも課題があります。

── せっかくセールステックを活用しようにも、それを使いこなせない企業が多いということですか。
中堅や中小企業では、そもそものITリテラシーが高くなかったり、マーケティング部門の数や質もまだまだこれからという企業が多く、ツールは導入したけれども使いこなせない場合も多いです。本当の意味で投資対効果を上げていくためには、ツールを提供する側も使う側も、サポートを含めて課題は多いです。

── 使いこなすための人材も必要だと。
PCが使えるというレベルではなく、デジタルマーケティングリテラシーとでも言うのか、ツールを使いこなせる能力もあるでしょうね。

とは言っても、営業マンはお客様と対峙しますから、基本的にお客様の立場に立って考えられる力は、時代が変わっても必要だと思います。そしてお客様に対して、環境がこう変わればこうなると、仮説をお客様にぶつける力は求められます。これは機械にはできないことですし、どんなにAIが進んだとしても、その3つの力を持つ人は、さらに上に行けるのではないかと思います。

── コンサルタントに近い業務に変わっていく感じですね。
いまはユーザーが自由に検索して調べることができますし、営業マンに聞くまでもなく調べられることが多くなっています。ネットで検索できる内容は営業に求めないという時代も近づいているかもしれません。いまの40代、50代と、10代、20代では、情報を得るためのリテラシーがまったく違います。20年後、30年後を見据えた時に、顧客が求めている情報の価値や内容は変わってくるでしょう。営業はコンサルティングとか、お客様に寄り添う形での課題解決に取り組むようなスキルが求められると思います。お客様の課題を聞いて適切なコミュニケーションをして提案する。営業のあり方で、すごく差がつく時代になっていくでしょう。

人がいなくても売れる

── イノベーションの事業としては、どのような取り組みをしているのですか。
我々はB2B、法人営業に特化した事業を行っています。いまは「ITトレンド」、「BIZトレンド」という、ある領域に特化した資料請求、見込み客獲得サイトを運営しています。またリードナーチャリング(見込み客育成)のところでは「リストファインダー」というマーケティングオートメーションのツールを提供しています。これがいまB2B企業で最も数が出ているツールと言われていますが、それでも累計実績で1000アカウントしかありません。日本のB2Bの営業をしている会社数からみれば、導入率はまだまだこれからです。これらは今後も進めていくつもりです。

一方で、様々なテクノロジーを駆使したサービス開発も進めています。一例を挙げると、現在は見込み客を獲得して営業が行くという流れが前提になっていますが、そうではない営業の仕方も存在します。例えばWEBサイトでのお客様の行動履歴を見ながら、この行動はこういう商品を検討しているのだろうとレコメンドしていくことによって、購入に結び付けることができます。簡単な質問ならチャットで答え、説明なら動画を見せる。WEBコミュニケーションの自動化はさらに進んでいきますので、人がいなくても売れる仕組みはできると思います。作業的な仕事はどんどん機械に置き換え、営業マンは人にしかできないクリエイティビティの高い仕事にフォーカスしていく。こんな時代が来るでしょう。

── B2Bでもサイトの行動履歴からわかるものがありますか。
おもしろい事例があります。既存顧客がすぐに他社に取られたり、取り返したりを繰り返すコンペティティブな業界があるのですが、例えば料金表や特許のページを何度も同じ会社の人が見ている場合があります。それはだいたい乗り換えの検討をしているんですね。営業マンが行ってみると「やっぱり」ということがあったんです。これはセールステックというよりも我々のサービスを使ってわかったことなのですが、こうした部分をもっと誰でも使えるように突き詰めれば、より効率化が進んで効果が出やすいと思います。

営業マンの採用が難しくなっているなかで、セールステックは社会的にも求められている領域ですので、スピード感を持ってサービスを提供することをしていかなければいけない、早いタイミングでサービスを作っていかなければいけないという危機感を持って事業を進めています。

(聞き手=本誌編集長・児玉智浩)

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経営者インタビュー

EC時代の小売業と無印良品の強みを語ろう

金井 政明 良品計画会長

金井 政明 良品計画会長
かない・まさあき 1957年10月13日生まれ。76年西友ストアー長野(現・西友)に入社。93年良品計画に転じ、生活雑貨部長として同社中核部門を牽引。2001年常務営業本部長、03年代表取締役専務に就き、商品本部長のほか、販売本部、宣伝販促室を管掌、08年2月社長、15年5月より現職。

前号の特集で、アマゾンが日本の小売業を駆逐し始めていることに触れ、食材宅配事業におけるセブン&アイ・ホールディングスとアスクルの提携も取り上げた。その後、楽天がウォルマート(実質は傘下の西友)と、さらにイオンもソフトバンク、ヤフーと組んでインターネット通販に乗り出すことが明らかになるなど、束になってアマゾンに挑む様相を呈している。

だが、その巨象のアマゾンでも容易には切り崩せない小売業がある。それが無印良品を展開する良品計画だ。そこで同社の金井政明会長に、EC(電子商取引)時代の小売業から、他社には真似のできない無印良品の事業モデルや強み、世界観などを改めて聞いた。

情報解析でできないこと

── デス・バイ・アマゾンなど、あまり穏やかでない表現でアマゾンの脅威が喧伝される昨今ですが、まず、EC時代の小売業についての見解から聞かせてください。
これからやってくる5G(第5世代移動通信規格)も含めた情報処理能力、あるいはビッグデータといった新しいデジタル技術が、流通の世界も消費者の生活も変えていくことは間違いないですよね。そこに向けて企業がどんどん進化をしないと生き残っていけないという、大きな転換期には来ていると思います。

確かに今後、ビッグデータを解析することで、何が消費者にいま支持されていて、これからどんなものが支持されていくだろうということは、ある程度、容易につかめるでしょう。ただ、その情報解析の中には、僕たちがどういう生活をしていくことが幸せを感じるかとか、社会や自然、あるいは人と人との関係性みたいなことに対して、どうしたらいいバランスを取れるかといった解はないと思います。

いま彼ら(=アマゾン)がデジタルを活用して作り上げてきている利便性に関しては、そこでの同質化競争もどんどん起きていくでしょうから、その競争に企業として勝つのは、そう簡単ではないなと。ですが、その情報解析力の優劣で企業に独自性、あるいは独創性のあるものが生まれるかというと疑問です。結局、ビッグデータ頼りだとみんな同質化競争に明け暮れ、そこに企業としての思想なり哲学が何か生まれるかというと難しいでしょう。

── 同質化競争では、価格軸での戦いでウイナー・テイクス・オールに収斂してしまうと。最近、セブン&アイHDとアスクル、あるいは楽天とウォルマート、イオンとソフトバンクやヤフーといった連合体が次々と報道されているのも、もはや1社で戦っている場合ではない、あるいは1社では戦っていけないという危機感の表れかと思いますが。
(アマゾンは)大きな戦略を持ちながら、米国の資本主義的な発想もあって、利益が取れなくてもマーケットを作って市場を席捲してしまおうという考え方。また、そういうサービスは消費者にとっては魅力であることも間違いないので、既存の流通企業がそっぽを向いているわけにはいかないのも事実です。

── 日本の小売業がアマゾンに対抗していくための条件は何でしょう。
グローバル化が進んでいる一方で、すごくいろいろなものが分断されちゃっているでしょう。人と人、人と自然、人と社会、みんなそうですよ。モノを作る人と売る人も分断されていて、買うほうも、いかに安いものを買うかで作り手のことは考えてないですよね。一言で言えば、江戸時代から連綿と作ってきた暮らしの共同体システムを、ある意味壊してきたのだと思います。

ただ、大都市部とは違って地方に行くとまだ、その古き良き共同体が残っている。小売業は、その共同体をもう1回つないでいくのが使命になるんじゃないでしょうか。そういうことは、たとえば製造業の日立さんやトヨタさんではできない仕事で、生活者とダイレクトにつながっている我々小売業の新たな使命ではないかと。誰とも話さず、ワンクリックで注文して家にモノが届いてという便利さの一方で、人間はロボットではありませんから、便利さの代償として失ってきたものを補わないといけない時代に、今後ますますなると思っています。

「単品」では語れない世界

── では、無印良品のEC時代の立ち位置や考え方、リアルとバーチャルの考え方はどうでしょうか。
物販だけでなく、人と人や人と社会をつないでいく場、あるいはコトも作っていかなきゃいけないでしょうし、僕たちは僕たちなりの理想を持っているので、そこに向けたコンテンツを作りながらも、あくまでリアル店舗がベースです。

もちろん、消費者からすればスマホからも商品を注文したいし、スマホで買ったほうが合理的な商品もあるわけです。我々が持っている6000アイテムから7000アイテムぐらいの商品群の中で、スマホ、あるいはAIスピーカーに話しかけて注文できる商品群はそうすればいい。で、それでは補えないものをリアル店舗の中で価値として提供していくのです。

要は価値の創造を、商品で行うのはもちろん、流通段階の買いやすさ、あるいは利便性みたいなものでも行い、複数の価値を、より磨いていかなければいけない。その価値を作る時、一般的には情報が重要視されるので、情報を集めて解析して価値が何であるかを考えることに、アマゾンさんのようなデジタルの会社がフォーカスしてやっていらっしゃる。ですが、すべての価値がそこから生まれてくるわけではありません。

── アマゾンはともかく、日本の小売業のSPA(製造小売り)との比較で考えても、たとえばユニクロやニトリと無印良品が違うのは、以前もお話しいただきましたが、“無印良品は単品で語っても意味がない”という点に凝縮されています。
無印良品は、鉛筆1本から食品、雑貨、衣料品、住宅、さらに最近はホテル(2018年1月18日にオープンした中国・深圳のMUJI HOTEL。3月20日には北京で、来春は東京・銀座でも開業予定)まで手がけていて、ライフスタイルの提供そのものが無印良品であり、唯一無二の真似できないところです。これは、膨大な数の単品で勝負するアマゾンとて真似できません。

去る2018年1月18日に開業した中国・深圳のMUJI HOTEL。

ホテルに関して言えば、ラグジュアリーホテルで大きな部屋にお金持ちが泊まって、ということに対してはアンチテーゼです。ただ、安っぽいビジネスホテルみたいな居心地のよくないホテルも僕たちは嫌です。そうでないものを作る。それにはある種のクリエーションと思想が必要ですし、僕たちはホテルを外部の地域コミュニティにも開いていきたいと思っています。

ですから、ホテルがある街の美味いラーメン屋や焼き鳥屋の情報なども出しますし、ホテル自体も、無印良品のお店があって、MUJIダイナーというレストランも併設し、さらに上層階ではMUJI HOTELに泊まれてしまう。こういうフォーマットって、1つのブランドで展開する企業は我々以外にないでしょう。

── ホテルで言えば、かつて同じ小売業ではダイエーがオリエンタルホテルを、セゾングループがホテル西洋銀座やインターコンチネンタルホテルチェーンを手がけましたが、本業とは離れた事業拡大や野心がベースにありました。そこが無印良品とは決定的に違いますね。住宅もそうかもしれませんが、ホテルは、いわば無印良品の世界観の集大成といえるものでしょうから。
たとえば大手百貨店もホテル事業に乗り出すという。でも、それはお金を使って単純にホテルという事業をやるという話だけであって、ほかの百貨店がホテルをやっても差がないですよね。その点、当社がやるホテルは価値観っていうか、ホテルってそうじゃないよね、自分たちのような庶民から見ればこういうホテルが欲しいよねというものを作るわけですから、確かに全然違います。

NPOで外部も巻き込む

── そこで改めて、無印良品のらしさやDNAですが、時代の変遷とともに変えていいものと変えてはいけない、普遍的なものがあると思います。
経営技術がどうだとか、どうやったらROE(株主資本利益率)や総資産回転率を高められるかとか、それはそれで経営には大事ですけど、我々には枝葉でしかありません。そうではなくて、どう暮らすべきか、感じいい暮らしとは何か、あるいは生活が美しくなれば社会はもっとよくなる、なんていうことから考えるのが当社です。日本の、簡素だけどきちんとした共同体があってというのが幸せじゃないかと。

── 最後に、良品計画が目指す近未来像は。
生活に困っているエリア、たとえば空気が薄いような高地の国まで我々が出ていって役に立っているようなイメージですかね。

一方で、世界の主要な都市では、当社の店舗もレストランもホテルもワンストップで入っているような形を広げていきたい。我々は多角化はやっているつもりはないんですけど、クリエイティブ力を持ちつつ、圧倒的に組織力を高めることができれば、さきほど言ったような普遍的な価値観や思想を持っているので、まだまだ、いろいろなことができると思っています。世界の小売業を見渡しても、当社のようなところはいまだにないですから。

今後は、さらにNPOを推進し、当社をリタイアした人だけでなく、外部の人もどんどん巻き込んでいき、“LOCAL GOOD MUJI”といったNPOの展開なども考えていくつもりです。

(聞き手=本誌編集委員・河野圭祐)

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経営戦記



加留部 淳 豊田通商社長
かるべ・じゅん 1953年7月1日生まれ。神奈川県出身。76年横浜国立大学工学部電気工学科卒。同年豊田通商に入社。99年物流部長、2004年取締役入り。06年執行役員、08年常務執行役員、11年6月末より現職。学生時代はバスケットボール部に所属。座右の銘は着眼大局、着手小局。

近大とマグロ養殖でタッグ

〔昨年、豊田通商が近畿大学と提携して卵から育てるマグロの“完全養殖”事業に参入(養殖事業そのものは2010年に業務提携)するというニュースが大きな話題になった。11年に同社の社長に就いた加留部淳氏は、就任後初めての出張が近大水産研究所で、同研究所の宮下盛所長と意気投合。今後は豊通と近大のタッグで完全養殖マグロの生産を順次拡大し、海外へも輸出していく計画だ〕

もともと当社は人材育成には力を入れ、いろいろな研修プログラムを用意していますが、その中に若い社員の事業創造チャレンジのプログラムがあるんです。自分たちでまず研究し、社内外の先輩や識者の意見も聞いて新事業案を作らせるものですが、その過程で「ぜひ、近大さんの販売や養殖のお手伝いをしたい」と提案してきた社員がいましてね。

面白い事業プログラムだったので、当時の経営陣が「やってみろよ」と。で、動き始めて実際に予算もつけ、近大さんにもお話をしに行ってというのがスタートでした。こういう社内提案制度は、起業家精神の醸成にすごく必要だと思います。もう1つ、マグロの漁獲量が減る一方で、需要は日本や東南アジアを中心に増えているわけですから、商社のビジネスとして意義がある。会社としてもやる意味があるし、若い社員を育てる点でも有効、その2つの観点から全面的にバックアップしています。

もちろん、ほかの商社でも水産系ビジネスには力を入れています。その中で、我々は違う土俵で戦うケースもありますし、どうしても同じ土俵の時は、真っ向勝負だと当社の企業体力では勝てないわけですから、戦い方を考えないといけない。そこは全社員と共有しています。そういう意味でも、他社が手がけていないマグロの完全養殖事業は非常に面白いビジネスですね。

近大とマグロの完全養殖事業で提携。左端が宮下盛・近大水産研究所長、右から2人目が加留部社長(2014年7月の会見)。

〔近大とのタッグは話題性が大きかったが、豊通という会社全体として見れば1事業の域は出ていない。これに対し、加留部氏が12年末に決断した買収案件は全社横断的な規模だ。当時の為替レートで同社では過去最大となる、2340億円を投じて買収したフランスの商社、CFAO(セーファーオー)がそれ。CFAOは、30年には中国を上回る巨大市場になると目されるアフリカ市場で強固な事業基盤を持ち、とりわけフランス語圏の多いアフリカ西側地域で圧倒的な商権を持っている〕

過去最大の投資ですから、我々もものすごく慎重に考えましたし、私も実際に現場を見に行きましたが、先方も傘下の自動車販売会社の修理工場とか、結構オープンに見せてくれましてね。当社とはDNAが合いそうだなと。

もう1つ、彼らは自動車関連事業以外もたとえば医薬関係、あるいはオランダのハイネケンと一緒に合弁工場を手がけるほか、BICブランドのボールペンなど、プラスチック成型品の生産なども手がけていて当社と親和性が高かったのです。

海外に商社という業態はあまりないですが、彼らは自分たちのことをはっきり「商社だ」と言いますから。ですから豊通がやっている事業はすぐに理解してもらえましたし、右から左のトレーディングだけでなく、彼らは工場を持ってモノづくりまで踏み込んでいるので、(トヨタグループの豊通と)お互いの理解はすごく早かったですね。

唯一、気になったのは若手社員の意識でした。若い社員が果たしてアフリカの地でビジネスをやってくれるのかどうか。そこで数人の若手に聞いてみたところ「この買収案件はいいし、アフリカは将来、伸びる市場だからやりましょうよ」と。そういう声に最後、後押しをしてもらえたようなところもあるんです。“一人称”という言葉を当社ではよく使うんですが、一人称、つまり当事者意識をもってやっていく気持ちがあるかどうかが大事ですから。

独自戦略を掲げる加留部氏。

フランス商社買収で攻勢

〔前述したように、CFAOは歴史的にアフリカ西海岸エリアの市場を得意とし、豊通は東海岸に強みを持っていたため、エリア補完も綺麗に成立した〕

地域的、事業的な割り振りで言えば、自動車関係はお互いの強みなのでしっかりやっていこうと。アフリカ西海岸で当社が細々とやっていたテリトリーは全部、CFAOに渡しています。物流の共通化なども進めて、お互いの事業効率を高めてきていますし、トヨタ車の販売や物流もCFAOと一緒にやっています。

当社としてはマルチブランドを扱うつもりはあまりなくて、トヨタと日野自動車、スバル(=富士重工)の商品を扱うわけですが、CFAOはマルチブランドなので、たとえば今年、アフリカでフォルクスワーゲンとのビジネスも決めました。

当社はケニアでトヨタ車を扱っていますが、CFAOはケニアにVW車を持ってくるわけです。CFAOは豊通の子会社なのにと一瞬、矛盾するような印象を持たれるかもしれません。我々はトヨタ車で現地シェアナンバー1を取りたいけれども、彼らもVW車でナンバー2を取ればいい。そういう組み合わせみたいなものができてくると思うんです。

いずれにしても、自動車関係のビジネスはお互いに共通しているので、この分野はオーガニックな成長で伸ばしていけるでしょう。一方、医薬品関係はいま、彼らもどんどん伸ばしていて、我々も日本の製薬メーカーを紹介したりといったサポートをしています。

〔豊通がCFAOを買収したことで、新たな効果も表れてきている。たとえば、前述したCFAOが合弁で手がけるハイネケンの工場運営会社。豊通の傘下に入る前は、CFAOの株主が収益はすべて配当で還元してほしいと要請していたため、新しい投資ができなかったのだが、豊通が入ったことでロングタームで事業を見るようになってくれたのだ〕

私もハイネケンの合弁会社社長に会って話をしました。先方も理解してくれて、生産国もコンゴだけだったのを別の国でも展開しようという話に発展しましたしね。さらに、フランス大手スーパーのカルフール。CFAOがカルフールとの合弁でコートジボアールで店舗を出しますけど、これも私がカルフールの社長とお会いし、アフリカ8カ国で展開することを決めました。

日系メーカーとではこんな事例もあります。ヤマハ発動機のオートバイを生産する合弁会社をCFAOがナイジェリアで作るのですが、彼らもヤマハとのお付き合いは従前からあったものの、それほど深かったわけではありません。

一方で、我々は日本でも(ヤマハと)いろいろなビジネスをやらせていただいているので、この合弁話を提案したら了承してくださり、出資比率も50%ずつでOKしてくれたんです。CFAOは豊通の資本が入っている会社だからと、全幅の信頼を置いていただけた。普通は、日本のメーカーが現地へ出るのに50%ずつというのはあまりなく、イニシアチブは日本のメーカー側が取るものだからです。

そういうCFAOとの協業ロードマップは10年スパンで立てていまして、私もCFAOの首脳もお互いに行き来しています。フェース・トゥー・フェースで、年に4回ぐらいは顔を合わせているでしょうか。それ以外にも毎月、テレビ電話での会議も1時間半ぐらいかけて実施し、いまの経営課題や将来の絵図などをお互い共有化するようにしています。

〔豊通には、TRY1という経営ビジョンがある。これは収益比率として自動車と非自動車の割合を均等にしていき、さらに20年にはライフ&コミュニティ、アース&リソース、モビリティの3分野の収益比率を1対1対1にするというものだ。CFAOをテコにしたアフリカビジネスの拡大も、TRY1計画達成に寄与する部分は大きいだろう〕

いまでもCFAOは1億ユーロぐらいの純利益を上げていますから、それだけでも我々は彼らのプロフィットを(連結決算で)取り込むことができますし、プラス、将来的な絵図という意味でも、お互いにステップ・バイ・ステップで各事業を伸ばしていくことで、TRY1の実現にすごく貢献するはずです。

〔総合商社といえば近年、資源ビジネスで荒稼ぎしてきたイメージが強かったが、資源価格の市況に大きく左右されるリスクがあることは、住友商事や丸紅が資源価格の大幅な下落などで多額の減損を強いられたことでも明らか。とはいえ、こうしたリスクテイクは、総合商社にとってはいわばレーゾンデートルでもあり、投資するしないの判断は難しい〕

資源といってもいろいろあると思います。いまさら石炭や鉄鉱石の採掘ビジネスにお金をガンガンつぎこんでもダメ。また、シェールガスやシェールオイルも私が社長になった頃に他社がみんなやり出して、社内でも「やりたい」という声が多かったのは事実です。でも、よく調べてみたら、当社はすでに周回遅れ、しかも1周でなく2周も3周も遅れている。「これでは高値掴みしてしまう可能性があるし、投資金額も大きいのでやめておきなさい」と、社内でかなり明確に言いました。

ですから、我々はもっとニッチで別な土俵で勝負していこうと。たとえば、チリで開発しているヨード。これはイソジンのうがい薬、レントゲンを撮る時の造影剤でも使うんですが、ヨード産地は日本、米国、チリと世界で3カ国しかありません。当社はその全部の産地で開発拠点を持っているので、将来的には取り扱いシェアを15%まで高めたいと考えています。

ほかにも、アルゼンチンではこれからの自動車ビジネスに直結する、リチウム関連の鉱山事業を昨年から始めましたし、豊通らしさというんでしょうか、ニッチキラーでもいいからウチらしさが出て、かつ上位の商社とも十分に戦えるビジネス分野でやっていこう、というのが当社の基本ポリシーです。

〔目下、前述したTRY1達成に向けて歩を進める豊通だが、現在の非自動車ビジネス拡大の基盤を整えたともいえるのが、06年に旧トーメンと合併したこと。トーメンが持っていた化学品や食料といった主力事業分野を得たことで、総合商社としての幅が各段に広がったのだ〕

実際、事業ポートフォリオが広がって、合併は結果として大正解でした。エネルギーや電力関係のビジネスはいま、一部を除いてすごくうまくいっているんですが、こうしたジャンルは豊通のままだったら絶対に出てきていないビジネスですね。

豊通はもともとが自動車関連ビジネスメインでしたから、農耕民族なんです。畑を耕して種をまいて、雑草をとって肥料や水をやってと。それが狩猟民族(=トーメン)と見事に化学反応したという感じ。狩猟民族の人も農耕民族から学んでもらえたし、お互いの良さを認め合ってすごくいい合併だったと思います。

業界ランクには興味なし

〔加留部氏は横浜国立大学工学部出身だが、就職活動では「とにかく商売がやりたくてしかたがなかった」と述懐するように、入社試験は商社しか受けなかったという〕

私は1976年の入社ですが、当時は就職が全般的に厳しくなり始めた頃で、「商社冬の時代」になりかけていた難しい時期。各商社とも採用人数を絞り、狭き門になっていました。それでも私はとにかく商社に行きたくて、最初に内定をくれたのが豊通だったんです。商社としては規模は小さいけれど、その分、若手にも仕事を任せてくれるんじゃないかと。トヨタグループだから財務基盤もしっかりしていましたしね。

〔豊通入社後は3年目に米国駐在となり、米国でのビジネスで5年間揉まれて逞しくなった後に帰国。国内で6年過ごして結婚後、再び渡米して9年間駐在した。こうした国際経験豊富な加留部氏だけに、昨年からは入社7年目までの社員を対象に、駐在でも長期の研修でも語学留学でもいいから、とにかく一度、海外へ出ることを奨励している。

ただし、加留部氏はほかの商社との戦いにおいては、純利益で何位といった相対的な物差しでなく、あくまで豊通としてどうなのかという基準で考えると強調する〕

2年か3年前、社員みんなにメールを打った時に触れましたが、何大商社とか何位であるとかは、私はまったく関心がないんです。自分たちが目指す方向に向かえているかが大事ですから。たとえば敵失があって他社の順位が下がったとします。仮に順位を純利益で測ったとして、「他社が失敗してウチが5位になったところで君たちは嬉しいか? 私は嬉しくないよ」と。

社員向けのメッセージメールは年に8回か9回出していますが、ある時、新入社員から「何位を目指しますか?」という質問を受けた時も同じことを言いました。各社ごと、事業ポートフォリオがかなり違いますし、順位は関係ない。自分たちのビジネスがどうなのか、常にそこを自問自答し検証することが正しい道だと考えます。

(構成=本誌編集委員・河野圭祐)

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「働き方改革」で脚光浴びるHRテック 経営課題を解決する人材の最適化

総合人材サービスのパーソルグループが注力し始めたHR Tech Services。政府方針の「働き方改革」とAIやビッグデータをはじめとしたテクノロジーの進化で広く普及が期待される。その必要性を訴えるのが啓蒙役でもある加藤丈幸氏だ。

アメリカでは数年前から注目

近年、「〇〇×テクノロジー」という言葉が増えてきたが、昨年あたりから急速に認知度を高めているのは「HRテック」だ。パーソルイノベーションファンド代表パートナーの加藤丈幸氏は次のように解説する。

「HRテックは、文字通り『Human Resources×Technology』のことで、人事の領域でテクノロジーを使って業務の改善にあたることです。人事は、会社にとって働いている社員全体を見る部門です。そこでパーソルでは、働き方改革に寄与していくような生産性の向上まで含むものとしてHRテックを考えています」

パーソルのHRテック関連のサービスは、大きく分けて採用支援、採用管理、タレントマネジメント、労務支援の4つの領域で展開されている。なかでも適材適所で人材配置を検討するうえで助けになるタレントマネジメントシステムや、働き方改革でも重視される勤怠管理や労務可視化のための労務支援システムは、HRテックの効果が大きく期待される分野だ。

日本では急に取り沙汰されるようになった感のあるHRテックだが、アメリカでは数年前から動向が注目されてきていた。

「米国でHRのクラウドシステム最大手のワークデイがニューヨーク証券取引所に上場したのが2012年でした。またSAPやオラクルがHRテック企業を買収したのも12年です。この年から、センシティブな情報を扱う人事のシステムのクラウド化が一気に進みはじめました。その後、クラウドで貯まってきた人事のデータを使って何かできないかと、ピープルアナリティクスと呼ばれるデータ分析が14~15年ごろから盛んになってきたのです。そのようななかで、社員がすぐに辞めないよう、社員のコンディションを整え、エンゲージメント(愛着)をしっかり高めようとする動きが盛んになりました。この3つの流れが昨年、日本にも一気にやってきて盛り上がってきました」

HRテックの重要性について語る加藤氏。

しかしながら、日本企業の多くが2000年代に導入した人事のシステムを使っていることが多いという。営業や商品開発といった売り上げに直結する部署には予算が出やすいが、企業の裏方にあたる人事部門のシステムは後回しにされがちだ。しかし昨今、働き方改革が声高に叫ばれるようになり、HRテック導入の好機と言える状況になってきた。

「HRテックのなかでも比較的収益に繋がりやすい分野には、導入が進んできています。たとえば、アパレル店舗などでは、カメラを活用した時間別の来店分析で、将来の来客予測をし、その予測に合わせたシフトを組む動きが進んでいます。誰がその時間帯にシフトに入ったほうが売上げが上がるかを予測するサービスもあります。こういった人材配置が売上に直結する分野は導入のスピードが速いです。

一方でシステム投資の優先順位が低かったのが、人事の運用面のシステムの領域です。特に全社員を巻き込むようなシステムの変更ほどなされてこなかった印象があります。しかし、働き方改革の流れや、AIの発展も後押しし、この領域にも徐々にメスが入ってきているように見受けられます。オンラインで出来る入退社申請や、人事評価等、領域特化のサービスも多く出てきています。

その他にも、テクノロジーの活用で注目されている働き方がオンデマンドワークです。誰もがスマートフォンを持つ時代なので、即時性の高い短時間の仕事のマッチングを可能にするプラットフォームがどんどん増えています。在宅の仕事だけでなく、工事現場の職人や、看護師のマッチング等様々な分野に広がり、人手不足の解消にHRテックが寄与しています」

HRテックで経営課題も解決

パーソルグループもHRテックの導入に積極的だという。自社の取り組みを活用することで、今後のサービス展開にも繋げていく構えだ。

「自社でも社員のデータを取り、適材適所でできているか、異動させるタイミングはいつか、退職しそうなアラームは出ていないかなどを分析し、人事の施策に活かしています。アメリカでは多くなっていますが、パーソルでも4年程前から人事にデータサイエンティストを配置して、分析することを始めました。データが多く蓄積されると、AIが人では気づかないような傾向やサインを見つけることができます。人事の記憶、勘、経験の3要素から脱却し、人事の説明責任という意味でも導入は大きいと思います。

パーソル総合研究所では、ピープルアナリティクスラボという組織を作りまして、データの分析に特化したコンサルティングも始めています。適材適所を進めるにしても、集めたデータをどう扱ってよいのか悩ましいケースもあると思いますから、うまく活用できるよう探っていかなければいけません」

一見、導入は高額になりそうなHRテックだが、実はスタートアップ企業が開発したテクノロジーも多く、サービスによっては導入コストが低いものも多い。企業にカスタマイズすればするほど高価だが、汎用性の高いサービスも多く、中小ベンチャー企業でも導入は進み始めている。

「人事の分野は、いいものを早く導入しなければという欲が少ないぶん、サービスに気づかない企業もたくさんあります。テクノロジーを使って人事を変えようと号令をかけられるのは経営者しかいません。優秀な人材を獲得して活躍してもらうのは経営者の課題です。いまは働き方改革やHRテックの文脈で、便利なツールがたくさんあることを知る機会も増えています。人事面でも効率化が進んでいるということを再認識してもらうことが一番重要ですね」

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【BOSS×WizBiz】日本の未来をナビゲート 人材派遣を核に事業拡大 求人メディアも立ち上げへ

斉藤 寛 ミライナビ代表取締役

斉藤 寛 ミライナビ代表取締役
さいとう・かん 1978年10月18日生まれ。東京都出身。2001年ビックスタッフ(現ヒト・コミュニケーションズ)入社。2005年フィールドサーブジャパン設立に参画、取締役に就任。16年ミライナビを設立し、代表取締役就任。総合人材サービス会社として人材派遣、職業紹介、メディア運営を行う傍ら、ほかの人材会社のアドバイザーや研修講師を務め、その知見を広く発信している。

人材業界一筋で16年強

── 人材派遣事業を核にされていますが、ミライナビの特徴や差別化ポイントは何でしょうか。
もっと言いますと人材情報サービス業という括りで、人材派遣、人材紹介、それにまだローンチ前ですが、半年後ぐらいを目途に求人メディアも立ち上げる予定です。

私自身、人材関係の仕事には16年以上携わってきていますが、この仕事は人と人をつなぐという、いわばどこまでいってもアナログな世界で、そのマッチングの情報に、いかに付加価値をつけるか。差別化としては、よりIT化を進めることですね。1つの事例として、「どこでも登録」というサービスで、求職者の方がご自宅にいながらにしてご登録いただけるようなサービスもしています。具体的な派遣先は、販売業と事務関係が多いですね。たとえば家電量販店の販売スタッフであったり、あるいは百貨店、さらにケータイショップでの接客スタッフなどです。

── ミライナビに込めた思いや設立の経緯を伺えますか。
日本の未来をナビゲートする、という大きな思いを込めています。もちろん、日常の仕事では目の前のお客様にご満足いただき、お役に立てることが大事。私がこの人材業界に入ったのは22歳の時でしたが、私自身、1人の派遣スタッフだったんです。いまは、ヒト・コミュニケーションズという社名(1部上場企業)になっていますけど、その会社にスタッフとして入社し、縁あって営業職に就き、その後、マネジャーになり事業部長にもなりました。

そして26歳の時に一度、会社設立に参画しています。それがフィールドサーブジャパンという会社で、取締役として11年、業務に従事していましたが将来、人材会社を自分の手で興したいという気持ちは、すでに24歳ぐらいの頃から持っていて、「自分も将来は会社を持ちたいので、ここで3年間勉強させてください」と言ってフィールドサーブジャパンに入社したのです。ただ、3年経過した後に結婚し、子供もできて住宅も購入してという中で、結局11年いることになってしまいましたが、それはそれで幸せでした。

とはいえ、前職ではIT化を進めるうえで必要な資金の投資ができませんでしたし、私も、ある程度は投資に回す蓄えもできたことから独立し、一昨年の16年5月にミライナビを立ち上げました。

── これからの新たな展開についてはどうですか。
現状、販売スタッフと事務の職種も広がっていまして、いわゆる一般事務から経理、資料作成などのスタッフも非常に増えてきていますので、今後も販売と事務の2本柱は増やしていきます。あとは、これから立ち上げる求人メディア事業の展開ですね。自社の求人情報を載せるのももちろんですが、そのメディアが外部にも出せるサービスになれば、外部の企業様にも掲載いただけるわけですから。当社は人材派遣事業以外に、人材紹介事業も一部、やっていますし、若年層に向けたサービス、具体的には進学関係で、学生向けの情報サービスなども展開していく考えです。

当社では、私も含めて社員がみんな現場上がりでして、お客様からのご要望であったり、あるいはクライアントのスタッフとの会話でも、現場を知っているというのは非常に強くて、必要があれば、我々も現場に入るスタンスで仕事をしていますので、そこが大手の派遣会社さんとの差別化にもなっているのかなと。また、ほかの派遣会社の研修をしたりコンサルをしたりということもやらせていただいています。

── 企業としての数値的な売り上げや収益の目標、さらに将来の株式公開の可能性などは。
当社にとって将来、株式を公開することが本当にいいことなのかどうか、まだわかりません。売り上げは前期決算で約1億円、今期は約2億円を見込んでいます。10年以内に10億円超えはできると思います。

── 人材派遣事業を長年やってこられて、難しいなと思われることなどは。
派遣という形態が、時代によっていい時とネガティブに捉えられる時があると思います。私が人材業を始めた時は、派遣がもてはやされていたといいますか、最先端の働き方みたいな感じで、派遣で働かれる方も実際多く、いい時代でした。逆に一時期、政権が変わっていた頃には派遣、イコール悪みたいなネガティブ要素に捉えられてもいましたね。

派遣は、基本的にはスペシャリストの方々が働く職種なんです。そうしたスペシャリストが100%の力を出して働けるよう、マッチングのサービスや働きやすい環境をサポートするのが我々の仕事で、そういう面では我々も、自分たちの仕事においてスペシャリストでなければなりません。

それに、派遣の方でも普通に年収が1000万円を超える方もいらっしゃるんですよ。ただ、1000人いたら3人ぐらいで、確率的には0.3%ぐらいですが。私の知る範囲でも、たとえば家電量販店でエアコンの販売スタッフをされている30代とか40代の方で、ものすごく営業成績が良いので、年収が1000万円を超える方が実際にいます。それは、派遣の方でもスペシャリストになるという高い意識や志があればできることですからね。

── 斉藤さんの人生訓、あるいは何か好きな言葉はありますか。
好きな言葉でよく言うのは、山本五十六の言葉で、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ」ですね。私自身、そういう姿を社員に見せていかないといけないですし、実際に社員にも言い続けています。

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