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「月刊BOSS」と、日本最大のビジネスマッチングポータルサイト「WizBiz」との提携に伴い、 19万社を超えるWizBiz会員の中から伸び盛りの企業を毎月1社をピックアップ。トップの事業への情熱に迫る。

2018年7月号より

【BOSS×WizBiz】歴戦のコンサルタントが「美しい爪」のために奮闘する理由 山口 親太 ティエヌ社長
山口 親太 ティエヌ社長

山口 親太 ティエヌ社長

やまぐち・しんた 1976年生まれ。東京都出身。東証1部上場の経営コンサルティング会社にて、フランチャイズチェーンビジネスの新規事業開発に従事。外食、学習塾、美容室、女性専用フィットネスクラブなどの事業にゼロから携わり、そのうち2つの事業を全国1000店舗を超える大型チェーンへと成長させる。2017年3月より株式会社ティエヌの代表取締役社長CEOに就任。European University Business School MBA取得。

ネイルサロン業界は成長中

── ティエヌの事業についてお聞かせください。
「ネイルサロン」の運営を柱にしています。現在、全国で約80店舗、直営店14店舗とフランチャイズ約70店舗といった割合で展開しており、店舗数としては業界3位というところです。

扱うサービスは「ジェルネイル」と呼ばれるもの。ジェル状の樹脂を色やデザインを加えながら爪に塗り重ね、紫外線を当てると硬化して美しく飾られたネイルが完成します。マニキュアに比べて長持ちすることが利点で、3~4週間ほど状態を維持できることから、現在のネイルサロンの主流となっている手法です。施術には技術を要するため、当社では専門のトレーニング施設を持っています。

── 男性にはなじみの薄い世界ですね。ビジネスとして見ると、どのような市場なのでしょうか。
主な顧客層は20~40代の女性が圧倒的です。私もネイルをつけたことはありませんよ(笑)。

市場規模から説明しますと、理美容業界全体が約3兆1000億円。そのうちヘアサロン(美容院・理容院)がおよそ1兆5000億円、対してネイルサロンは2000億円ほどしかありません。

女性を対象にしたアンケート結果によると、ネイルサロンに「行ったことがある」方は8%程度です。残り92%のうち「行ったことはないが興味はある」と答えた方が25%います。

つまり、ヘアサロンのように一般的ではないのですが、まだユーザーが増えており市場形成中ともいえます。実際、理美容業界全体の市場規模はピークを過ぎて年々微減しているのですが、ネイルサロン業界は成長しています。

── 御社の強み、特徴は。
最大の特徴は「短時間・低価格」という点です。ネイルサロンの市場平均では、お客様1人あたりの滞在時間が60~90分、単価は6000~8000円ほどです。対して当社は約30分、3000円台後半がメイン。仕事の昼休みや隙間時間にネイルを楽しみたい方にも人気です。

さきほどのアンケートでは、ネイルサロンを「利用しない」または「利用していたが通わなくなった」理由の圧倒的1位は「行く時間がない」、次に「お金がかかる」が続きます。当社のサービスはその両方を解決できると考えています。

これからの成長戦略について

── 創業の経緯をお聞かせください。山口社長は2017年に就任されていますね。
ティエヌの創業は05年。札幌市のマンションの一室で開業しました。店舗数を増やしていくなかで、徐々に「短時間・低価格」のサービスが生み出されていきました。12年に株式会社化し、フランチャイズ展開を進めていきます。そして16年にPEファンド(投資先企業を成長させ企業価値を向上させた上で売却することを目的とした投資ファンド)から投資を受け、その一環で経営体制も刷新することになり、私はそのタイミングから参画しています。

私はこれまでコンサルティング会社でフランチャイズ展開を多数手がけました。特に、女性用フィットネスや学習塾など、働く女性やお母さんが活用するサービスを全国規模に成長させることができ、成功実績がありました。そして、私自身もこの事業に魅力と将来性を感じています。

── これからの成長目標は。
3年以内に200店舗を目標にしています。そのための課題も見えています。

まずは人材教育。商品を売るわけではない業態においてサービスそのものの価値を上げていくこと。すべての店舗で同じ水準のサービスを提供できるためには研修システムの精度がまだまだ足りません。未経験から1カ月で施術できるように育てる研修設備。店舗で働き始めた後も定期的なスキルアップを図れる集合型研修。個別のサポートを行うスーパーバイザーの部署などを設置し、本部機能を強化していきます。

もうひとつはマーケティング。ターゲットはネイルサロンを訪れたことのない92%の方です。自社サイトを強化し、予約できる集客媒体を増やしています。あえて新聞にチラシを打つなど、シニア層や興味がない方の目に触れる宣伝も有効です。

店舗は、駅ナカ・繁華街・ターミナル駅には出しません。駅から割と近めの住宅街、2階部分などが最適です。ネイルサロンは外食などと異なり予約前提の業態であることから人通りがあり目立つ立地に開店する必要がなく、開業費用も安くスピード出店できます。

そうした取り組みの結果、この1年で客数は約1.5倍に伸ばすことができました。いずれは、ネイルサロンをヘアサロンのように「当たり前の存在」にしていきたいと考えています。

── 山口社長は、なぜ女性向けの事業に熱意を傾けるのでしょうか。
いままでのビジネスの経験から、社会を元気にするには女性が活躍して人生が豊かであることが欠かせないと考えるようになりました。

男性にはわかりにくいところですが、綺麗なネイルはほかの美容商品よりも女性をすごく明るくします。髪形やメイクや服装は鏡の前でしか見えない、いわば他者の視線に向けたものですが、爪は常に本人の目の前にあって喜びを与えるからです。そこに魅力を感じています。

そして、ネイルサロンでは働いてくれるスタッフもほとんどが女性。ティエヌで働くことを通して、女性が豊かさを知り、元気になれるような職場を目指して経営に取り組んでいます。

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WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

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