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「月刊BOSS」と、日本最大のビジネスマッチングポータルサイト「WizBiz」との提携に伴い、 19万社を超えるWizBiz会員の中から伸び盛りの企業を毎月1社をピックアップ。トップの事業への情熱に迫る。

2017年5月号より

【BOSS×WizBiz】日本の匠をコンテンツ化 ユーチューブを活用し 企業の世界進出を支援
幸尾 辰馬 グラソナ・インターナショナル社長

幸尾 辰馬 グラソナ・インターナショナル社長

こうお・たつま 1951年佐賀県生まれ。1976年広告制作会社などを経て、総合プロデューサーとして、幸尾辰馬デザイン事務所を創業。85年ソフトバンク出版の「OH!PC」などコンピュータ雑誌の企画・ディレクションや年間広告戦略などデジタル業界分野においての総合プロデュースを手がけると同時にデザインにおけるデジタル化に向けた組織づくりを開始する。2000年香港のチャイナドットコムと事業合併し日本の代表取締役社長に就任。その後もマーケティング、PR会社などの社長を務め、現在に至る。

映像と翻訳の2本柱

── 映像を使って企業をPRしていくということですが、具体的にはどういった事業なのでしょうか。
当社は、もともとは私も役員を務めていたプレスリリースやホームページなど企業PRの商材を翻訳する会社が行っていたものを切り離して独立したのが当社です。

具体的な事業の内容は、日本企業の技術や製品の動画を作成してユーチューブにアップするものです。サービスそのものは2007年から展開しています。単に動画制作だけであれば珍しいビジネスではありませんが、当社の特徴はコンテンツをすべて英語に翻訳してナレーションを入れているところなんです。動画制作と翻訳の両方ができるのが当社の強みです。

── これまで制作されたコンテンツはどのくらいあるのですか。
この10年間でユーチューブにアップした動画コンテンツは4600あまり、登録企業は2500社を超えています。また、アップした動画の総再生回数は1億7000万回以上で、ユーチューブのチャンネル登録者数は14万人を突破しています。10万人を超えるとユーチューブ社から送られてくる「銀の再生ボタン」のアワードプレイトをもらいました。企業が企業向けにPRする、いわゆるBtoBのコンテンツとして10万人以上の登録者がいるのは非常に珍しいことだそうです。

現在はそのコンテンツを引き継いで「ikinamo」というブランド名のチャンネルを立ち上げ、ユーチューブで展開しています。

── 切り離して独立した理由は。
サービスそのものはこれまで無料だったのですが、個別のビジネスとして展開できると考え、この部門を切り離し、私が引き継ぎました。

グラソナそのものの会社としての立ち上げは16年6月、登記は9月になります。本格的な事業のスタートは9月です。

── これまで無料で行ってきたサービスを切り離したわけですが、どういったビジネスモデルを考えているのですか。
これまで無料でコンテンツをアップしてきましたが、これを有料化します。具体的には月々5万円の登録料をクライアントか企業からいただくというものです。

これまでアップしたコンテンツの視聴傾向を見ると、再生しているのは80%が海外、20%が日本国内で、海外で見られているほうが多いんですね。言い換えれば、月々5万円で世界中にPRできるというのが、当社のサービスです。

また、当社の翻訳は、もともと翻訳会社から切り離した経緯から、単に言葉の置き換えではなく、言葉の背景にある文化や歴史、特有の言い回しなど、生きた翻訳を行っています。

とにかく匠を見せる

── どういった企業をメーンのクライアントに考えているのですか。
技術力のある中小企業です。日本の中小企業は本当にすばらしい技術を持っていて、世界からの評価が非常に高い。そうした中小企業が世界に飛び出すきっかけの力になれればと思っています。

正直、日本の市場は数年前から先細りといわれています。大企業はすでに世界に目を向けてビジネス展開しています。

しかし、中小企業が自力で世界に出て行くのは難しい。そこでコンサルタントなどに頼んで、事業モデルの再構築やマーケティングなどを行っている企業もあります。その費用は数百万円から1千万円ぐらいかかります。しかし、多くの中小企業ではそんなに費用はかけられません。そこであまり難しいことは考えず、とにかく自社の製品や技術をユーチューブで見せることでPRしていこうということなんですね。

また、見られている地域、時間帯などのデータの提供や、問い合わせなどへの対応のアドバイスや事業提携などの話があった場合は、国際関係の弁護士事務所や特許事務所などと提携しているので、そうしたサポートも行っていきます。

── こうしたコンテンツサービスでは、クライアント、視聴者は無料の広告モデルが多いですが。
本音を言えば広告収益だけで、無料で運営したいと思っています。しかしながら、広告収入だけでは展開するのはまだ厳しい状態です。

これはニワトリが先かタマゴが先かの話になってしまうのですが、常に新しいコンテンツをアップすることで、視聴回数が増えていきます。そのためまずはコンテンツ数を増やすために、有料化のモデルになりました。

── 公開されているコンテンツを見ると、特徴的な映像という印象があります。
カメラマンが外国人なので、日本人とは視点や映像の撮り方に違いがあります。狙いは世界に向けて紹介することなので、外国人視点はポイントだと思っています。

1本のコンテンツの長さは、90秒~3分にまとめています。ユーチューブでは3分以上のものは見てもらえないんですね。また、英語だけでなく、中国語、アラビア語にすることで視聴回数が増えるので、いまある4600のコンテンツも含め多言語化を進めています。

── これからの事業展開、将来の目標はどういったところにおいていますか。
コンテンツについては、最低でも月4~5本、年間では60本はアップしていきたいと思っています。将来的にはもっとできればと思っていますが。

収益的には、5年で37億円が目標です。また、19年のIPOを目指しています。

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