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トップインタビュー

「月刊BOSS」と、日本最大のビジネスマッチングポータルサイト「WizBiz」との提携に伴い、 19万社を超えるWizBiz会員の中から伸び盛りの企業を毎月1社をピックアップ。トップの事業への情熱に迫る。

2016年11月号より

【BOSS×WizBiz】企業のトップを惚れさせる“採用動画”で人材不足を解消
和久井 海十 セルフメディアエイジェント社長

和久井 海十 セルフメディアエイジェント社長

わくい・かいと 1964年生まれ。北海道出身。自動車メーカーのセールスマンとして営業しながら夜間大学で学ぶ。大学卒業後、日本電子計算に入社。2000年伊藤忠テクノソリューションズ入社。外資系企業を経て10年セルフメディアエイジェントを設立。著書に『iPad ノマド仕事術』(サンマーク出版)、『Amebaブログで売上を10倍にする技術』(秀和システム)、『人を動かす技術』(ごきげんビジネス出版)等がある。

中小企業を支援

―― 2010年に起業したわけですが、もともと起業ありきというわけではなかったようですね。どういった経緯で起業しようと考えたのですか。
ある外資系企業に勤めていたのですが、リーマン・ショックで、その企業がアジア部門を撤退することになったのです。通常、外資系企業の場合、現地法人を閉める際には何らかの退職プログラムがあるものですけど、リーマン・ショックで本国も危ないとなって、何も支援がないままリストラされた形です。

その企業に入るまで3社ほどヘッドハンティングされてキャリアアップをしてきたこともあり、職はすぐに見つかるだろうと思っていたのですが、当時は不景気でほとんどの企業が人員を増やすこともなく、採用してくれるところがなかった。フリーターまがいの生活を2年ほど過ごし、どうせなら自分で会社をつくろうと思い立ったのがきっかけになります。

―― 現在は「採用動画」の映像制作に事業の主軸を置いているそうですが、どういったビジネスを考えていたのでしょうか。
私はもともと、ITの商社に勤めていまして、なかでもITのインフラの分野を手掛けていました。そのなかには動画はもちろんeラーニングやストリーミング配信、動画CMの制作などもありましたから、それなりの知識はありました。しかし、このようなビジネスをするには、ある程度資本が必要です。起業時には資本がなかったので、はじめはコンサルティングをメインにしたビジネスをしていました。当時はまだ、大手を除いて企業側にソーシャルメディアを活用することが一般的ではなく、企業は自らのメディアを持って情報発信をしていくことを啓蒙したわけです。特に中小企業はノウハウがありませんでしたから、そのお手伝いをしていました。

最初はツイッター、フェイスブックといったメディアの活用法の1つとして、動画も扱っていました。いまでこそ誰でも気軽にスマートフォンで動画を撮影してSNSにアップする時代ですが、10年ごろは企業で動画を制作するのはテレビCMを打っているような会社がほとんどで、中小企業は予算もなく、積極的に動画を制作しようという会社はなかったのです。

社長を前面に押し出す

―― 14年に東京証券取引所が上場企業の会社紹介や社長メッセージを動画で流すようになったことで、企業側が動画を積極的に活用するようになりましたね。
そうは言っても、中小企業は予算が少なく、社長が自ら広報の役割をするケースが多いです。ですから、弊社が入って広告宣伝の部署の代行サービスのような形で社長や社員のインタビューをして、情報配信をするようなことはやっていました。

そのなかに動画を使っていたのですが、競合大手さんが同じようなサービスを始めて、企業紹介の動画を制作するようになってしまいました。私自身、起業間もなかったために、特許や契約書の面で知らないことが多すぎて、簡単にマネされてしまいましたね。だからこそコンサル的な面を強めることで差別化を図ってきました。

―― 具体的に「採用動画」とはどのようなものですか。
やはり中小企業は、会社=社長です。私どもの方針として、社長が好きだ、社長に惚れたからこの会社に入りたいと言ってもらえるような動画を作るようにしています。せっかく採用しても、なぜ辞めてしまうのか。いろんな理由はありますが、多くがお互いの思っていたことと違うというミスマッチがあるからです。よく企業側は「企業理念」を伝えようとしますが、会社を選ぶ側から見ると、どの会社の理念も同じように見えてしまいます。そうなると選ぶ基準は雇用形態や給与、福利厚生といったものになります。

しかし、そもそも社長が好きで入社を志望するとどうか。職種や勤務地ではなく、この仲間と仕事がしたいと思えれば、どんな仕事でも積極的になれる。社長を前面に出した採用をして、共感してくれる人が入社してくれたら、ミスマッチは簡単に起きません。突発的な理由こそあれ、離職率自体は下がります。

―― 確かに近年は人手不足が言われていて、新卒・中途にかかわらず採用に苦労する中小企業は多いですね。
仮に通常の採用で100人のうち30人が志望してくれたとしても、内定辞退などで苦労する企業は多いです。私たちの映像を見て社長についていきたいと思ってくれたならば、志望が100人のうち10人に減ったとしても、この10人は共感して入ってくれる方々ですから、戦力になり、離職率も下がります。

実際、ある著名な女性社長の会社から、内定辞退が多くて困っているという相談を受けました。弊社がコンサルティングして優秀な女性をターゲットにした採用動画を作ったところ、内定辞退がゼロになった事例もあります。ターゲットを明確にした映像を作ることで、本当にこの企業に入りたいと思ってくれる人が入社してくれるわけです。

―― 将来的にはこの分野をさらに伸ばしていくと。
いえ、私どもはあえて少数精鋭でいきたいので、事業規模をあまり大きくしようとは考えていません。私は大企業も経験していますが、スピードや動きやすさという面で苦労しました。クライアントにとって本当にいいもの、感謝や感動を提供するためには少数精鋭でお客様と密接に付き合っていきたい。大手さんとは価格勝負では勝てませんから、ニッチの限られた世界でも自分たちの強みを最大限生かせる企業として成長していきたいですね。

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WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

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