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2016年7月号より

【BOSS × Wiz Biz】中小企業に特化した 元特許庁審査官による 知財コンサルティング
植村貴昭 ポラリス知財コンサルティング代表

植村貴昭 ポラリス知財コンサルティング代表

うえむら・たかあき 東京工業大学機械工学科を卒業したのち、同大学院原子炉工学科修了。特許庁に入り審査官を6年間勤める傍ら大宮法科大学院(夜間)卒業。大手弁理士事務所を経て、ポラリス知財コンサルティングを設立した。

原子炉工学で修士号

―― 植村さんは弁理士の資格を持っていますが、もともとは東京工業大学大学院で原子炉工学を学んでいます。どういう経緯でいまにいたっているのですか。
原子力の将来に魅力を感じていたのですが、在学中に東海村の臨界事故が起きたために、就職先がなくなってしまったのです。そこで国家公務員を目指し、国家公務員一種試験に合格しました。経産省や会計検査院なども選択肢にありましたが、理系はなかなか出世できない。そこで特許庁に決めました。というのも、弁理士という仕事に興味があったからです。ただし当時は、弁理士試験は合格率1%という狭き門。でも、特許庁で12年間働けば資格が取れる。この資格を取れば独立できる。そう考えたのです。

―― 実際には6年間で退官しています。
というのも、入局したのと同じ時期、国が弁理士の数を増やしていくことになったのです。その状況で12年間も待っていたら開業できなくなる。そう考えて、2年目から試験を受けると同時に夜間のロースクールにも通い、弁護士資格取得も目指しました。でもそんな簡単に受かるはずもなく、結局、特許庁を辞め、弁理士事務所に入社して勉強を続け、弁理士資格を取得することができました。

勤めていた弁理士事務所での仕事はほとんどが、大手企業の特許申請でした。充実した仕事でしたが、そのうちに、知的財産を本当に必要としているのは中小企業であることに気づいたのです。そこで、ポラリス知財コンサルティングを設立し、中小企業を知財の側面から支援することに決めたのです。

―― なぜ、大手より中小企業のほうが知財が重要なのですか。
もちろん大手企業にとっても知財戦略は非常に重要です。でも大手なら、担当部署もあれば専門知識を持ったスタッフもいる。予算も潤沢にあります。ところが中小企業にはそのすべてがありません。

ひとつの特許を取得するには、70万~80万円のコストが必要です。大手にとってはなんともない金額ですが、中小企業にとっては無視できる金額ではない。ですから特許を申請するに際しては、単に取得するだけでなく、その特許をどう行使し、どうビジネスにつなげるかという戦略が重要になってきます。

私は特許庁時代、審査官を務めていましたから、どうやったら審査に通るかは熟知しています。でもその特許に関する戦略が描けないようなら、特許申請自体を見送ることもアドバイスします。そこが、大手を対象とした弁理士事務所との違いです。ポラリス知財コンサルティングは、植村国際特許事務所と植村行政事務所からなりますが、まずコンサルティングありきという考えで運営しています。

会社の面倒、引き受けます

―― 商標権ビジネスにも力を入れていますね。
商標を取るだけなら、いまではインターネット上でいろんなサービスがあります。そこを利用しても商標を取ることは可能です。しかし、商標取得で最も重要な事は、それをいかにしてビジネスの発展に結び付けるかです。その観点がないと、まったく意味のない商標になってしまいかねません。

たとえば、いま自分が提供している商品やサービスだけで商標を取るのは比較的簡単です。でもそのビジネスをいずれもっと発展させて違う分野にも進出しようと考えているのなら、その分野でも同じ商標を取得しておく必要があります。そうでないと、いざ進出しようとしても、その商標が使えないかもしれない。

私に依頼していただければ、まずコンサルを行って会社の将来ビジョンをきちんと踏まえ、どの範囲まで商標を取るべきかといったアドバイスができます。そこが最大の特徴です。

―― でもそこまでやってもらうとなるとかなり経費が必要なのではないですか。
おおよそ20万円程度です。インターネットで受け付けているところの中には、格安の料金を提示しているところもあります。ところが商標は申請したあと、突き返されるケースがよくあります。その場合、新たな条件を出して再度申請します。格安のところでは、そのたびに料金が発生するようになって、結果的に高くつくこともある。その点、我々は定額でのサービスですから、安心して依頼していただけます。

―― 手間ばかりがかかって、なかなか収益があがらないのではないですか。
開業した当初は持ち出しでしたが、最近は少しずつ利益が出るようになりました。たしかに単なる申請業務をしていた方が効率がいいかもしれませんが、それでは本当に人から必要とされている実感は得られないように思います。

弁理士になったのも、官僚になり一時法曹界を目指したのも、その根底には人の役に立ちたいという思いがあったからです。そのためには人に尽くすしかないと考えていますし、それがいちばんの営業手段だと信じています。人のために尽くす。そうすることが次の依頼につながります。

―― 今後のビジョンを教えてください。
知的財産だけでなく、中小企業のあらゆる面倒を引き受ける会社をつくりたいと思っています。すでに外部のパートナーの力を借りて、会社設立・運営サポートや記帳代行・確定申告・税務相談、法務・契約書作成などの代行サービスを始めていますが、これをさらに拡大していき、コンサルを中心に人と人、事業と事業を繋ぐサービスを提供していこうと考えています。

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WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

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