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2015年8月号より

近藤 繁 ココペリインキュベート社長 クラウドソーシングで中小企業の悩みを解決
近藤 繁 ココペリインキュベート社長

近藤 繁 ココペリインキュベート社長

こんどう・しげる 1978年生まれ。2002年慶應義塾大学理工学部情報工学科を卒業し、みずほ銀行入行。06年ITベンチャー企業に転職、上場準備に携わる。07年にココペリインキュベートを設立。中小企業支援サービスを手掛けている。

スタートは経理業務の代行業

―― 社名にある「ココペリ」とはどういう意味ですか。
ネイティブアメリカンたちの間で伝わる豊穣の神です。ココペリが町に来ると、にぎやかになり豊かになる。それにあやかりました。

―― 起業は2007年ですが、その前は銀行員だったそうですね。
02年に慶応大学を卒業し、みずほ銀行に入行しました。そこで中小企業への融資業務を行っていたのですが、27歳の時に知り合いのIT企業の社長から、上場するから手伝ってほしいと言われ、転職しました。ところが、1年半後、その会社は倒産してしまった。

メンタル的には大変でした。半年ほど、知人との連絡を絶ったほどです。でもずっと引きこもっているわけにはいきませんから、この会社を立ち上げました。当初は、財務や資金調達、企業再生のコンサルティングが主な業務でした。

―― 再就職しようとは思わなかったんですか。
思わなかったですね。いま考えても、なぜ起業するしかないと思ったのか、よくわかりません。でもいろんな人が紹介してくれたこともあり、滑り出しは順調でした。

2年目には、「東京経理・給与計算代行センター」を立ち上げ、これが主たる業務となりました。このセンターは、名前のとおり、企業の経理業務をアウトソーシングするというものです。中小・ベンチャー企業では、経理作業に人手を割くことができない会社がたくさんあります。このお手伝いをしようと考えたのです。

いまでは「給与計算代行」で検索すると、東京経理・給与代行センターのホームページがいちばん上にくるようになりましたし、クライアントも増えています。

―― 経理業務のアウトソーシング会社はほかにいくらでもあります。その中で選ばれるのは、やはり価格ですか。
最初はそうでした。このビジネスを始めた時、当社の料金はダントツに安かった。でもいまでは他社も追随したため、それほど差はありません。

そこでいま、安さから質への転換を図っています。このビジネスは安定性はあるけれど利益率が低いという欠点があります。しかも労働集約型なので、仮にクライアントが急激に増えても対応できない。そこで量を追うのではなく質を上げてクライアントの満足度を上げていく。

まず手始めにプライバシーマーク(Pマーク=個人情報保護に関して一定の要件を満たした事業者だけが使用を認められる商標)の取得を目指しています。情報漏洩問題がよくニュースになりますが、マイナンバー制度が始まることもあり、個人情報を守ることが今後ますます重要になってきます。そこでPマークを取得して、委託する側にも安心してこのサービスを利用していただきたいと考えています。

―― 最近「SHARES」(シェアーズ)というサービスを始めたそうですね。
ええ。これは、昨年1月に始めた「シェアde顧問」というサービスがベースになっています。

銀行員時代からずっと思っていたのですが、中小企業の経営者はいろんなことで悩んでいます。でも相談に乗ってくれるのは契約している税理士ぐらいのものです。本当は弁護士や社会保険労務士にも相談したいけれど、顧問契約する余裕は中小企業にはありません。そのため相談したくてもできないというのが実際です。

一方、いわゆる「士業」と呼ばれる人たちも、中小企業やベンチャー企業に興味がある。だけど、本当にお金を払ってもらえるのか不安を感じていた。そのミスマッチを、当社が間に入ることで埋めていく。

仕組みは加入者がウェブ上で士業の顧問をシェアするというものです。ウェブ上で悩みを相談し、ウェブ上でそれに答える。こうすることによって、低料金で顧問同様のサービスを受けることができる。

このサービスも多くの企業から喜んでいただいたのですが、今年3月に、試しにスポット相談というのをやってみたところ、すごく反応がよかった。そこで事業そのものをスポット相談に切り替えることにして6月に名前もシェアーズへと変更しました。

まずは無料でサービス開始

―― 利用者はどのような手続きを踏むのですか。
何か相談したいことがあったら、シェアーズのHPから見積もりを無料で依頼することができます。

たとえば本社を移転したなら、HPから「経営管理・財務会計」→「会社を移転する」と進むと、その際に必要な手続きのメニューが出てきます。その中の相談したい項目にチェックを入れて依頼する。すると、それに対して登録している専門家の方たちが解決策を提案してきます。その中からもっとも適した提案を選んで発注。クレジットカードか銀行振り込みで支払いが完了すると、詳細な相談が可能になります。それで問題を解決する、という手順です。

―― クラウドソーシングの一種ですね。発注金額に応じた手数料がココペリの収入となるわけですか。
いいえ。いまは紹介料や手数料は取らずに無料でサービスしています。なぜなら、いまはできるだけ多くの人に利用してほしいし、多くの専門家に登録していただいて、中小企業経営者の悩み相談のプラットフォームを構築したい。そうなればマネタイズの方法はいくらでもあると思っています。

―― どのくらいの利用者を見込んでいるのですか。
2年後の、10万社、登録士業1000人が目標です。しかもその先にはいろんな可能性がある。クラウドサービスの普及により、さまざまなデータと連携できるようになりました。たとえばシェアーズと会計データが連携すれば、その会計データに基づき、こちらから経営上の問題を指摘し、相談に乗ることも可能です。これによって経営上のリスクを未然に防ぐことができる。そうなれば、いま以上に中小企業のお役に立てるようになるはずです。

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