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2014年6月号より

パネルの状況を瞬時に把握 メガソーラー発電の監視役
マウンテンフィールズ社長 山田 芳幸

マウンテンフィールズ社長 山田 芳幸

やまだ・よしゆき 1961年生まれ。84年神奈川大学法学部を卒業し、日本ソフトバンク(現ソフトバンク)入社。95年に退社、ケイネット常務に就任。その後、IT関連企業を数社立ち上げ、08年にクレイントータスを設立。11年にマウンテンフィールズに社名変更し、電力事業へ参入した。また、多くの企業の再建に参加している。

東日本大震災が契機

―― 山田さんが率いるマウンテンフィールズという会社は、太陽光発電の監視システムを販売しているそうですが、いま、全国で膨大な数のメガソーラーができているだけに、業績好調なんじゃないですか。
山田 メガソーラーとは、発電量が1メガワット以上のものを言うわけですが、現在われわれは、全国4カ所のメガソーラーで、どれだけ発電しているか、不具合なパネルはないかといった監視を行っています。もしおかしなところがあれば、すぐにメンテナンスすることが可能です。いまはまだ数は少ないですが、将来的に200メガまで監視する予定です。その意味で、成長の余地はいくらでもあるといえるでしょうね。

―― なぜメガソーラーの監視を行うことになったのですか。
山田 マウンテンフィールズは、もともと人材派遣会社として立ち上げた会社です。というのも、私は長らくIT業界に携わってきましたが、その現場を支えている多くが派遣社員です。それで自分でもやってみようかと思ったのですが、よその会社を手伝うことになって、一時休眠していました。

2年半前に再スタートしたのですが、その時は東日本大震災もあり、電力問題が日本の重要なテーマになっていました。それならこれをビジネスにしようと決めたのです。

―― 震災のあと、日本国中で原発不要論がわき起こり、多くの会社がメガソーラーに手を挙げました。その機を捉えたわけですね。
山田 最初からメガソーラーの監視をやろうとは考えていませんでした。まず最初に、家庭や事業所でも電力監視を始めました。震災の年、経済産業省は15%の節電を家庭および法人に呼びかけましたが、自分たちがどのくらい電力を使っているか、あるいはどれだけ節電できたか、チェックしなければなりません。そのためには電力の見える化が必要だと考え、コンセントにタップを差すだけで、電力使用量をモニタリングするシステムを開発し、販売を開始しました。つまりHEMS(ホーム・エレクトロニクス・マネジメント・システム)です。

続いてMEMS(マンション)、BEMS(ビル)へと拡大していきました。その過程で、東京電力系列の東京エネシスと提携、設置工事保守を委託することになり、これが転機となりました。

―― 東京エネシスは、発電所の保守管理を行っている会社ですよね。
山田 そうです。原子力、火力、水力など、ほとんどすべての種類の発電所の保守管理をやっています。ここから、当社のHEMSのシステムを応用することで、メガソーラーの監視ができないか、という話が進んだのです。これが2年ほど前のことでした。

―― その意味では、本当に誕生して間もないサービスですね。でも、市場拡大が間違いない事業ですから、競争も激しいのではないですか。
山田 競合相手がいないわけではないですが、それほど競争が激しいわけではありません。というのも、メガソーラー事業者が、監視システムにこれまではそれほど関心を示してこなかった。多くのメガソーラー事業者が、短期的な利益ばかりを考えているからです。

代表的なのが、外資ファンドが入ったメガソーラーで、現在の電力買い取り水準からいけば、8年ほどで回収できる。外資ファンドの場合なら、もっと早い段階で売却するなどのエグジットを考えるはずです。彼らにしてみれば、メガソーラーはいかに安く構築できるかが最大のテーマであって、将来的な運用は考えていません。メガソーラーの監視システムの導入率は20%以下というのが実態です。

―― ハゲタカ流に考えれば監視システムなど不要だと。
山田 でもメガソーラーというのは、10年、20年と使用できるものです。そのためには、日ごろからのメンテナンスが重要です。メンテナンスをしなければ発電効率も下がり、メガソーラー自体の価値も下がってしまうわけですから、監視システムは絶対に必要なものです。

さらに言えば、外資系ファンドがエグジットする際にはデューデリジェンスが必要になりますが、財務のデューデリだけでなく、施設のデューデリもするべきです。当社の監視システムがあれば、それも可能になります。

震災によって日本中が電力不足に悩んだ時は、まずは新しい電力を確保することが重要だったかもしれません。でもそろそろ将来のことを考える時期にきていると思います。

3年後の上場目指す

―― ソーラー事業者の意識が変われば、さらに市場が膨らむわけですね。当面、この監視システムに注力していく考えですか。
山田 メガソーラーだけではありません。小規模なソーラー発電や、風力、小規模水力発電など、再生可能エネルギー全般の監視も視野に入れています。

そのうえで、電力のマッチングサービスを行っていこうと考えています。私たちはHEMSやMEMS、BEMSなどにより、使う側のマネジメントに関与している一方で、発電監視システムによって、発電側にも関与しています。その2つを結びつけることで、クリーンなエネルギーをより安い価格で提供することができるはずです。

そのための技術開発にいま取り組んでいるところですし、監視システムにしてももっと精度を上げていく。たとえばいまは、ソーラーパネルがある程度まとまったストリング単位での監視を行っていますが、これをパネル1枚ごとに監視するように進化させていきます。実現すれば、パネル1枚ごとの劣化度合いが確認できるため、発電効率をいっそう安定させることができるのです。

このような技術開発を進め、アジア一のエネルギーマネジメントサービスプロバイダーをめざし、3年後の上場も視野に入れています。

―― ところで、山田さんはソフトバンク出身だそうですね。どういう経緯で、現在に至ったのですか。
山田 学生時代に雑誌フォーカスで孫正義さんとアスキー創業者の西正彦さんを取り上げた記事を読んだのがきっかけでした。「神童・孫、天才・西」というタイトルがついていて、どちらかの会社に入ろうと決めました。入社した時は、まだ日本ソフトバンクという社名で、社員は100名前後。ソフト卸と出版事業の会社でしたから、いまとはまるで姿は違います。

そこでソフトバンク・テクノロジーなどの立ち上げに関わったのですが、一時、ソフトバンク社長だった大森康彦さんが再建を引き受けた第3セクターのプロバイダー、ケイネットの役員となり、その後いくつかのIT企業の立ち上げや事業再生に関わり、いまにいたっています。

大学時代は法学部で、ITのことなど何も知らなかったのに、いまはITの最前線で仕事をしているわけですから、人生というのはわからないものですね。

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