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2014年1月号より

亡父が遺したタレント養成所を継承した姉弟の二人三脚経営
池本克之 パジャ・ポス社長

ネオモデルタレントスクール社長 長縄将太

ながなわ・しょうた  1977年生まれ。制作会社やレストラン経営などを経て7年前からネオモデルタレントスクール社長。ギャラクシーオーシャン取締役を兼務する。

ネオモデルタレントスクール取締役 長縄未歩

ながなわ・みほ  1972年生まれ。父の仕事の手伝いを経て、カメラマンとして独立。現在はネオモデルタレントスクール取締役、ギャラクシーオーシャンの社長を務めている。

主婦が通う養成講座

―― おふたりは、姉弟でネオモデルタレントスクールを運営されていて、弟の長縄将太さんが社長、姉の未歩さんが取締役を務めています。どういう経緯で姉弟経営を行うことになったのですか。
未歩 会社の名前こそ違いますが、もともと私たちの父が、モデル事務所と養成所を経営していました。父としては、私たちに後を継いでもらいたいという気持ちはあったようですが、私自身は父とは違う道を進みたくて、プロフィール写真のカメラマンとして独立。ところが、7年前、父が突然亡くなってしまった。

将太 私は曲折あって、父が亡くなる1年前から会社を手伝っていましたが、後を継ぐ気持ちはそれほど強くなかった。

未歩 生徒さんたちのこともあるため、簡単に会社を閉めてしまうわけにはいけません。それで姉弟力を合わせて運営していくことになったのです。

―― それではさぞかし苦労したのではないですか。
未歩 最初は大変でした。営業の仕方から何からまるでわかりませんでしたから。周りの方々に助けられてここまできたようなものです。

でも父のやり方をそのまま踏襲したわけではありません。父の時代は、たくさん生徒さんを集めて、少人数の講師で教えるという、ある意味で利益追求型の部分もありました。でも私たちは、そうではなく、通った生徒さんたちが、満足してくれるレッスン内容にしようと考えました。そこで、講師方は全員、現役の俳優やモデル、スタイリスト、映画監督にお願いしています。テレビで活躍されている坂上忍さんも講師です。OBの講師でも優れた方はたくさんいらっしゃいますが、いまの現場に即していないこともあります。ここでレッスンを受けた生徒さんたちには、全員、現場に出てほしいですから、その時に役立つことを教えるようにしています。

―― 具体的にどのようなカリキュラムになっているのですか。
将太 3カ月でひと通りのことを教えるのがベースとしてあって、ここではポージングやウォーキング、発声、演技指導から、業界のルールやマナー、オーディション戦略などが必修科目です。さらに、モデル、タレント、俳優・女優、声優といった志望ごとの選択レッスンがあります。また3カ月のレッスン後も、希望者には引き続きレッスンを行っていきます。

―― 生徒数はどのくらいですか。
将太 だいたい、3カ月のカリキュラムを常時50~60人が受講しています。

―― ところで、このようなタレント養成スクールというのは都内にどのくらいあるものなんでしょう。
将太 100社はありますね。それ以外にもプロダクションがスクールを併設しているところもあります。芸能プロダクションとなると、都内に1000以上と言われています。

―― それだけ競争が激しい中で、生徒を確保するのは大変ですね。
未歩 ですから私たちは大手のプロダクションと提携して、そこに所属するタレントさんたちにレッスンするというケースが多いです。フジテレビの『めざまし土曜日』のレポーター役で人気の鈴木ちなみちゃんも、売れる前にはここでポージングなどのレッスンを受けていました。

でも最近では、独力での募集にも力を入れ始めていますし、徐々に実績も上がっています。

―― どういう人がレッスンにくるんですか。やはり子役希望の子供たちですか。
将太 ここでは子役志望の生徒さんは受け入れていません。10代以上の方に限っています。年齢層や目的などはさまざまですが、最近多いのは30歳以上の主婦の方たちですね。もともと芸能界に興味はあったけれど、一度はあきらめた。でも子供から手が離れたので、自分の夢を叶えたい。お母さん役でテレビに出たい、チラシモデルや和服モデルになりたいという生徒さんたちが増えています。

姉が戦略、弟は営業

―― 経営的には順調ですか。
未歩 養成所は、父から引き継いで2年目には黒字が出るようになりました。ところが同時にギャラクシーオーシャン(こちらは未歩氏が社長、将太氏が取締役)というプロダクションも引き継いだのですが、こちらは赤字続き。ネオの利益でギャラクシーの赤字を補填していました。利益がでるようになったのはここ2年ぐらいのものです。

将太 とにかく最初の1年間は、仕事を依頼するFAXが一度も受信しなかったですからね。当時は何も知らなくて、テレビ局などに行って挨拶すれば、資料を置いてくれば、それで仕事がくるものだと思っていました。でも現実はそんなものではありません。毎日のようにテレビ局などに通ってもまだ足りない。資料の作り方にも工夫が必要だし私の営業トークも足りないところがいっぱいありました。

未歩 オーディションの連絡くらい絶対くるはずだと思っていたのに、それさえこない。それだけ考え方が甘かったんです。24時間365日体制で営業しなければならないのに、そこまでやる覚悟がありませんでした。

将太 結局最初に来たのはエキストラの仕事でした。

―― やめようと思うことはなかったですか。
将太 やっぱりありました。でも姉がいたので、話し合って、続けていこうとここまできました。

―― ふたりの役割分担はどうなっているのでしょう。
将太 姉が戦略を考え、私が営業と、レッスンも一部担当しています。

未歩 実は私も、カメラマンとして独立する前は、父の仕事を手伝っていました。その時はけっこう、経営について厳しく言われていました。それがあったから、父と一緒に仕事をするのをやめたということもあるのですが、その経験と、自分でも会社を経営したことがいまでは役にたっています。

―― 喧嘩はよくします?
未歩 しょっちゅう(笑)。といっても弟は私に頭は上がりませんが。喧嘩になるのは意思疎通がはかれない時ですね。ふたりとも、向いている方向は同じです。でも、やはりそれでも方法論などでぶつかる時があります。ですからできるだけ、弟とは話をするようにしています。

―― 今後の夢はなんですか。
未歩 夢を持った生徒さんたちをたくさん集めたいと思います。そしてこのスクールに入った人たちには、全員、テレビなどに出演させたい。現実的にはとてもむずかしいと思います。でもそれが私たちの使命だと考えています。

生徒の夢はテレビなどへの出演。その夢を叶えるためのレッスンが続く。

生徒さんたちがなぜここに通ってくるかというと、芸能界の仕事をしたいからです。その期待に応えたい。その仕事というのは、小さな仕事でもかまわない。とにかく関わっていたいというのが生徒さんたちの希望です。

そこを昔は少し勘違いしていたことがあって、生徒さんたちは主役級の仕事が欲しいに違いないし、その期待に応えることが自分たちの仕事だと考えていました。

ですので、ギャラクシーでも最初の頃は、エキストラの仕事などは断っていたことがあります。ギャラも安く、営業費用さえ出ないケースもありますから。でもそれはとんでもないことで、生徒さんたちにしてみれば、なんでもいいから仕事をしたい。一方、仕事の発注側にしてみれば、せっかく仕事を回してやったのに、という気持ちになります。何より、私たちのような新参者がこの世界で生きていくには、相手がいちばん困っていることからやってあげる必要があるのに、それを忘れていました。

―― 大きく方向転換をしたわけですね。
未歩 3~4年前にすべての仕事を断らないことに決めました。最近では、以前なら大手経由でしかこなかったオーデションなどの誘いが直接入ってくるケースも増えています。

近未来の夢は映画製作

―― 出演実績が増えれば、生徒募集にもはずみがつきますしね。さらにその先の夢はありますか。
未歩 出演機会を増やすという目的も兼ねて、映画製作に携わりたいと考えています。これまでにも舞台公演などは何度か手がけたことがあります。その時は生徒さんに全員出演してもらいましたが、それを映画でやりたいですね。

ただし映画となると、資金調達にしても小屋にかけるにしても舞台よりハードルははるかに高いです。でも5年から10年の間には実現したいと考えています。

将太 僕は昔から映画やドラマが好きで、その制作をしたいとずっと思っていましたし、社会に出てからはそういう仕事に就き、自分でも一時制作会社を立ち上げたこともあります。芸能界の仕事をしたいというよりは、制作がしたいというのが僕の夢でした。

―― だったらその夢が叶うかもしれませんね。
将太 ところが、スクールを運営しているうちに、制作したいという夢よりも、このスクールから、そしてギャラクシーから売れっ子を出したいという思いのほうが強くなってきました。1人でもそういうタレントが育つと、環境は大きく変わるのではないかと思います。

未歩 私はいまでは、生徒さんや所属している人たちの出演が増えることを考えて動いています。そこで最近、WizBizさんと組んで、モデルの派遣ビジネス(参照)を始めたばかりです。

―― モデルの派遣は昔からありますが、それとは違うのですか。
未歩 料金体系がまったく違います。
パンフレットやチラシやホームページを作成する時に、モデルを使いたいと考えている会社は多いと思います。ところがモデルを使うと高くつく、と多くの方がそう思っています。

でもこのプランの場合、モデル1人を派遣するだけなら3万円で引き受けています。また、カメラやヘアメークをつけても9万8000円から可能です。

この値段なら、ほとんど負担なくモデルを使うことができますし、私の知り合いの会社でモデルを使ったパンフレットを作ったら、売り上げが大きく伸びたという実績もあります。そして利用する会社が増えれば増えるほど、私たちの生徒さんたちの活躍する場も増えることになります。

これまで、モデル利用は高過ぎると思い込み、二の足を踏んでいた方は、このプランをぜひ検討していただきたいですね。

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