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2013年6月号より

ド中国40万店の販路が強み 日中貿易のエキスパート
福家 貴 JCAホールディングス社長

福家 貴 JCAホールディングス社長

ふくいえ・たかし 1960年北海道生まれ。駒大苫小牧、ノンプロ、クラブチームと野球を続け、プロテストに合格したことも。1994年に初めて中国に渡り2004年に移住して本格的にビジネスを始める。11年に日翔貿易を立ち上げ、その後持ち株会社のJCAホールディングスを設立した。

中国進出日本企業の勘違い

―― JCAホールディングスは、傘下の日翔貿易や上海招翔国際貿易などを通じて中国市場進出を目指す日本企業のサポートを行っているそうですが、いつから中国ビジネスに携わるようになったのですか。
福家 もともと私は北海道で駐車場などのビジネスを行っていました。でも将来を考えたら、もう一つ事業の柱を育てる必要があるとは感じていました。そんなことを考えていた1994年、初めて中国に遊びに行って以来、何度か訪れるうちに、中国の可能性を感じるようになったのです。

―― 94年というと改革開放政策が本格化し始めた頃ですね。
福家 ええ。最初は本当に何もなかった。それがどんどん変わっていく。ちょうど自分の小学校時代の日本を見ているようなもので、その姿を見て興味を持つようになったのです。それにとにかく人口が多い。ここでなら何か仕事になるのではないか、そう思いました
でも問題は何をやるかでした。マーケットは大きい。あまりに大き過ぎて仕事を絞りきれない時期が続きました。いろんなことをやったけれど、うまくいかない。

その経験を踏まえて中国市場のマーケティングに本格的に取り組むようになったのは、2004年に上海に住んでからです。

中国経済が発展するにつれ、多くの日本企業が中国に進出するようになりました。その一方で、撤退した企業もものすごく多い。その理由がどこにあるかというと、日本企業はマーケティングにお金をかけない。その点、ヨーロッパ企業や韓国企業は、時間とお金をかけてマーケティングをするから、進出したらうまくいくケースが多い。そこで私は日本企業のマーケティングのサポートをすることにしました。

―― 日本人は、日本のすぐれた商品が中国に受け入れられないわけがないと思っているところがありますね。
福家 日本ブランドに対する驕りがあるんですよ。日本企業でよくあるのが、日本での価格より高くても当たり前という考え方です。でもいまやインターネットで日本の価格を調べることができる。それなのに日本で1万円のものを1万5000円で売ったって売れるわけがない。1万円のものは1万円に近い値段で売らなければいけません。

もう一つ間違えているのが、日本人は中身がよければいいと考えていますが、中国の場合、中身より見た目のほうが大事というのもよくあります。何が高級なのか、その概念が違うというのも、よくある話です。

―― 福家さんはどのような方法で日本企業のマーケティングのサポートをしたんですか。
福家 リアルの店舗で日本の商品をサンプルとして配布しました。あくまでマーケティングですから、消費者情報が何より欲しかった。そこでサンプルを店頭に並べるというビジネスモデルを考えつきました。最後は中国各地に4店舗にまで広げたのですが、消費者情報がある程度つかめたことに加え、地方の実情もわかったため、一定の役割を終えたと判断して2年前に閉鎖しました。ほぼ同時に日翔貿易を設立して、貿易サポートを開始しています。

中国市場に進出する日本企業がいちばん悩むのが、どうやって販路を開拓するかです。大企業はともかく、中小企業の多くがこの問題に直面します。そのお手伝いをしようと考えたのです。私どもを通じることで、中国の百貨店やスーパーで商品を販売できる。それが私たちの最大のセールスポイントです。

―― どうやってそのルートを開拓できたのですか。
福家 中国に中国百華商業協会という組織があります。これは中国商務部が直轄している組織で、傘下に百貨店や小売業など1万5000社が加盟していて、総店舗数は40万店に達します。ここと私たちが立ち上げた一般社団法人日中経済交流協会がパートナーシップを結んでいます。そこで、私たちのところに相談にきた企業を日中経済交流協会を通じて中国百華商業協会に紹介することで、その商品に最適の販売ルートを開拓することができるのです。

コンサル料はもらわない

―― よく提携することができましたね。
福家 中国百華商業協会とは、人の紹介で付き合いが始まりましたが、パートナーシップを結ぶまでには2年ほど時間が必要でした。その間、私の行動や仕事ぶりをずっと見ていたようです。そのうえで「あなたがやるなら販売ルートを紹介しよう」と言ってもらうことができたのです。

もう一つ、力を入れているのが展示会の開催です。2年前から上海で「日本精品展in上海」という大規模な展示会を開いていますが、毎回、多くの中国人バイヤーが来てくれます。この展示会を通じて中国市場へ進出した企業も多いですよ。

―― JETROなども展示会をよく開いていますが、商談につながらない、という声をよく聞きます。
福家 公的機関の場合、その後のフォローがむずかしいところがあるため、そうした声が出てくるのかもしれません。

でも私たちは民間企業ですから、きめ細やかなサービスが可能です。まず展示会に参加する企業に対しては「HOW to 展示会」という書類を渡して、ビジネスに結びつけるには展示会をどのように活用すればいいのかアドバイスします。そして商談会後もきちんとフォローする。だから成果があがるのです。

また、優れたビジネスプラン・製品・サービスを持つ企業に対しては、ベンチャーキャピタルや金融機関を紹介するなど金融支援も行っています。こうしたことも、公的機関ではできないサービスです。

―― JCAホールディングスとしての売り上げはどこで発生するのですか。コンサル料ということになるのでしょうか。
福家 そうではありません。私たちは中国進出したい企業の相談には乗りますが、そこでのフィーは一切発生しません。

私自身、中国に来た当初はずいぶんと苦労したし、騙されたこともありました。中国人にならまだしも、日本人にだまされたこともあります。そういう人はコンサルタントを名乗っていて、相談するだけでお金がかかる。それでいてビジネスは前に進まない。中国を目指した人の中には同じ目にあった人も多いと思います。私が貿易サポートビジネスを始めたのは、こういう被害をなくしたいという思いもあったのです。

ですから私たちが販売ルートの紹介や金融支援を行うのも、実際に貿易を行うことを目的としています。その貿易実務に対してわれわれは手数料をいただきます。つまりビジネスが具体的に動いて初めてわれわれの売り上げが立つのです。

―― 最近では中国ビジネスコンテストも始めたそうですね。グランプリの賞金は1000万円だとか。(写真参照)
福家 これは中国で展開させる新事業プランや新製品を発掘し、その事業化を支援するものです。現在地方を回って説明会を開いていますが、反応は非常にいいですね。

賞金も思い切って1000万円にしましたが、この賞金をマーケティングに使ってほしいという思いが込められています。マーケティングをしっかりやって中国市場を開拓する。日中間にはさまざまな問題がありますが、中国市場のポテンシャルはまだまだ高いと思っています。

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