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経営者インタビュー

2017年5月号より

SNS炎上からテロリストまでテクノロジーで社会問題を解決
小郷三朗 サントリー食品インターナショナル社長

菅原 貴弘 エルテス社長

すがわら・たかひろ 1979年生まれ。東京大学経済学部経営学科在学中の2004年にエルテスを創業。社長に就任。ソーシャルリスクマネジメントの領域に着目し、リスク解決を手掛ける。昨年11月東証マザーズに上場。デジタルリスクマネジメント専業の企業として初めて上場(東証マザーズ)を果たしたエルテス。創業以来、サイバー攻撃や風評被害など、テクノロジーの発展とともに顕在化したデジタルリスクの問題解決を図ってきた。昨今では官民連携して社会問題にあたるなど、注目企業に成長している。そのエルテス社長の菅原貴弘氏に話を聞いた。

デジタルリスクで初の上場

── インターネットでの炎上や風評被害がよく報道されるようになりましたから、企業として認知されやすくなったのではないですか。
そうですね。しかし、SNSの炎上やフェイクニュースは、昔からあった問題です。何をいまさらと感じる人も多いでしょう。ネット上には間違った情報が氾濫しているという認識は、多くの人が持っていたと思います。それがようやく社会的、政治的な問題になってきました。

── 先日もDeNAがキュレーションメディアに関する謝罪会見を開きましたが、不正確な記事や著作権法、薬機法に違反する記事があったことで問題が広がりました。
今回のメイントピックの1つである著作権は、管轄が文化庁になります。文化庁は行政のなかでも民間に介入してこない、民間と民間で決着してくださいというスタンスのところです。なぜなら、特許庁のように申し込みや登録がされる場合は権利が侵害されているかどうかの判断ができますが、著作権は書いた瞬間に生じるものなので、引用された側が言わなければわからないからです。

引用された側もネット上のすべての書き込みのなかから見つけるのは不可能ですし、効率も悪いです。見つけて訴えるとしても、自分の著作権料よりも裁判コストのほうが高くなる。取り締まりが非常に難しく、健全化も難しいと言えます。その意味で、業界全体できちんと自主規制をして、権利を侵害しないようにするしかできないでしょう。

── こういった問題でも、エルテスの出番はあるわけですか。
たとえば、発信する側の企業から、著作権がきちんと管理されるようなフローを作ってほしいといった依頼ですかね。健全化するためのフロー、または健全化したのちの文言をコンサルティングしてほしいという話はあります。特にBtoCのネットビジネスでは、行政対応の作業が非常に多いです。たとえばネット上のコミュニティの場合、児童買春や児童ポルノといったトラブルが起こらないようにすることも健全化にあたります。こうした行政の要望にも応えられるサイトにする手伝いをコンサルティングする場合もあります。

特に弊社の場合、行政対応までコンサルティングしますので、上場したことで企業の側から問い合わせをいただくことが増えている。ビジネスとしては追い風になっていると感じますね。

── SNSなどで、企業の発信の仕方に関するリスクもありますね。
現在、どういった面での批判が集中しているのか、論点を掴んでおかなければいけないですね。たとえば女性蔑視といったパターンで炎上しやすい時は、似たようなことをしていると炎上してしまいます。ある自治体での話ですが、うなぎを女の子に見立ててスクール水着を着せて泳いでいるPR動画があったところ、うなぎ養殖を、女の子を監禁しているように思わせると大炎上になってしまいました。似たようなことをしていると、炎上が飛び火して連鎖していくことになります。

── 単発で事故やトラブルが起こることは仕方ないとしても、飛び火するのは怖いですね。
食品の異物混入も大きな騒ぎになりましたが、マスコミの方も炎上させる側になってきています。食品メーカーの場合、1件の異物混入については、お客さんの間違いの可能性もあるので、公表しないんです。食品メーカーと接しているぶんには、メーカーの言い分のほうが正しいと思います。購入した方の勘違いの可能性もあるなかで、1件だけで公表して自主回収するのはやりすぎです。それを隠蔽だと責めてくる人が増えている。マスコミの方もスクープを取りに来て変質しているように思います。

日本の炎上は「妬み」から

── 仮に何か不祥事があったとして、企業としては炎上を大きくしないために、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。
人のせいにしないのが重要ですね。現場が暴走しましたというような発信は二次炎上するケースが多いです。現場の暴走と言っておきながら、実はマニュアル通りだったことが情報として出てくると、大変なことになります。基本的には、情報収集をしっかりやって、経験ある業者の力を借りて、きちんと対応すること。企業の広報の方で炎上を何度も経験している人は、そうはいません。初めての場合は動揺して、火に油を注ぐことになる可能性もありますから。

── 企業からエルテスに依頼がある場合、広報担当の部署が多いわけですか。
そうですね。ツイッターを始めるのに、経営陣が炎上を気にするからルール作りをしてほしいとか。実は、炎上してから相談されても、できることは限定されているんです。なかったことにはできません。欧州では、言ってみれば「忘れられる権利」のような権利が認められていますが、日本は「知る権利」のほうが重要だという判例が出ています。

── 海外と日本で炎上の仕方に違いはありますか。
欧米だと、炎上は組織立っていて、匿名ではない。グリーンピースなどのように、名前や組織名を出して責めてくる。日本は陰湿で、匿名の個人が刺してくる感じです。

── その違いはどこから出てくるのでしょう。
日本は妬みのようなものが多い。個人のSNSでも、高学歴の人や大企業勤めだと、より炎上しやすい。内定を取り消してやろうとか、クビにさせてやろうとかが多いですね。企業の従業員や従業員の家族から炎上することもあります。例えばタレントが来店したとか、誰と誰がカップルで来ていたとSNSで上げる。ちなみに、女子高生のツイートで、その父親の企業が特定され、会社を辞めざるを得なかったような話も聞きます。

※エルテスが設立したデジタルリスク総研のレポート記事のアクセスランキング。ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を進めている。

── 企業としてはどう対処したらいいのでしょう。
従業員については、ネットリテラシーに対する教育です。アルバイトの場合、一般人と従業員の境が難しいのですが、そこを教育するしかない。昔は法人と個人は別のものとして分かれて考えられていました。でも、個人は必ず学校や会社などの組織に属しているので、現代のような炎上時代だと、どこから燃え出すのかわかりません。

── 経営者が考えなければいけないデジタルリスクはありますか。
ほとんどの中小企業の経営者の方は、ウチはリアルの業務だから関係ないと言っていたりします。実際にあった話なのですが、ある飲食店で、なぜか火曜日に客が来ないと思ったら、ネットで火曜日が定休日にされていたという話があります。ネットの風評を多面的に見ておかないと、実は機会損失を起こしている可能性があるのです。

── エルテスは人工知能(AI)やビッグデータといった新しいテクノロジーにも注力していますね。将来的な展望を聞かせてください。
いまビッグデータでテロリストを見つけるということに取り組んでいます。2020年の東京五輪に向けて、それを完成させる。我々はフィンテックならぬ国防テックと呼んでいるんですが、いまや国防は日本国内で完結していけるようにしなければいけません。こういう分野にビッグデータやAIを使って貢献していくのが目標です。

ビッグデータでは、サンプルではなく全量調査を行うので、リスクは下がります。欧米ではすでに実現してますので、日本も早く整備したほうがいい。最近のテロリストはネットで犯行予告をするケースもあり、事前にリスクの高い動きをデータとして蓄積することで対応が可能になります。政府行政とも連携し、社会的リスクをテクノロジーで解決していく企業に成長したいですね。

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