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経営者インタビュー

2016年9月号より

人口減の救世主は民泊? 空き室はインバウンド対応で活路
高橋 誠一

高橋 誠一

たかはし・せいいち 1945年生まれ。東京電機大学電気工学科卒業。75年三光不動産(現三光ソフラン)を設立し、社長に就任。2008年に三光ソフランホールディングスに商号変更。全国賃貸管理ビジネス協会会長、全国賃貸住宅経営者協会連合会副会長等を務める。

最近は不動産のアパート・マンション投資のテレビCMが非常に増えている。興味はあってもなかなか手は出しづらいもの。果たしてどのような投資なのか業界の状況を三光ソフランホールディングスの高橋誠一社長に聞いた。

不動産投資が急増?

―― 最近、テレビCMなどで不動産投資の企業を見ることが多くなりました。それだけ需要が高まっているのかもしれませんが、どういった経緯があるのでしょう。
ひとつは、年金の問題が大きいと思います。いま65歳でもらえる年金が平均で20万円くらい。なかには15万円、10万円という人もいます。もともと私の父親の世代は30万円くらいもらっていたんです。それが20年ほどで20万円に下がっているわけですから、どこまで落ちていくのか不安を抱いている人が多い。しかも支給年齢が60歳から65歳になり、今度は70歳になると言われています。自分の将来について、不安を持っている人がすごく増えています。

その不安を解消するためには、どこかで収入源をつくる必要がありますが、株や投資信託の配当をもらうというのも一つの方法です。しかし、それらは不確定で、毎月定期的に入る収入ではありません。結果的にアパート・マンションを購入して家賃収入を得ることが、毎月の安定収入を得ることに繋がります。

―― 高橋社長自らもセミナーを開いて「お金持ち大家さん」になることを推奨していますね。
私が提唱しているのは自己資金を2000万円用意し、3000万円借り入れして、5000万円くらいの土地付きアパートで6戸くらいのワンルームの物件を買うことです。我々がその6戸を1部屋5万円で借り上げると、大家さんには毎月30万円入ります、借り上げだから部屋が空いても30万円入ってきます。そこから返済の15万円を払っても、15万円残ります。これが個人年金です。非常に単純でわかりやすい図式です。

私が推奨しているのは、あくまで自己資金を2000万円用意できる方です。実際は、500万円用意して1000万円の収入があれば銀行は4500万円貸してくれます。家賃収入から返済しても4万~5万円は残りますから、この程度でも投資を勧誘する業者はたくさんあります。しかし、金利が上がる、家賃が下がるといったリスクはありますから、逆ザヤで払うほうが多くなる可能性もあります。4割の自己資金があると、5%の金利が10%に上がったとしても逆ザヤにならない返済金になるので、安心できる数字が2000万円ということになります。それ以下なら無理しないほうがいいでしょうね。

収入の15万円は使っても構わないのですが、この投資を検討している人の多くは40~50代です。可能であれば、15万円は使わずに生活していただいたほうがよい。もし2棟目を買うことができれば、その後の運用はさらに楽になります。4棟まで増やせれば、月60万円以上の収入になるので、年金と合わせてかなり楽な老後になるのではないでしょうか。仮に自分が亡くなっても奥さんに、奥さんが亡くなっても子供に相続していけますから、「金持ち大家さん」を継がすこともできるのです。

民泊で日本経済活性化を

―― 日本の人口減によるアパート・マンションの需要が減ることはリスクになりませんか。
比較的安心できるアパート・マンション投資ですが、場所は限定しないとダメです。立地で言えば、東京、神奈川、埼玉です。これらの地域はまだ1~2%ずつ人口が伸びています。千葉は人口の伸びが止まってしまいましたからやめたほうがいい。いま日本には3都県に加えて愛知、滋賀、沖縄、福岡の7つしか人口が伸びている県はありません。減っている地域では空き室が出るなど採算が合わなくなる可能性があります。

ただ、いま注目されているのが民泊です。大阪や京都、北海道ではインバウンドでの民泊が伸びてきています。昨年は約2000万人の段階で東京や大阪のホテルが取れなくなりました。アパホテルが1泊3万円になったり、帝国ホテルの3万円の部屋が6万円になったり、儲けているのはホテル業界だけです。2020年に4000万人のインバウンドが来たら、ホテルだけではとても間に合いません。だからアパートの空き室を民泊に使うことで対応していかなければいけません。

しかし、ホテル業界は自分たちのことしか考えていませんから、年間30日以内を主張しています。私たちはインバウンドの選択肢を増やすためにも365日やらなければ、ダメだと訴えています。国は安易に間をとって180日と言っていますが、安心して泊まれるところを増やさなければ4000万人なんて達成できません。

―― 民泊に対応することで、空き室問題も解消できると。
面白いことに、四国や東北のホテルも予約が取れなくなってきています。観光客が地方にも向かっているんですね。地方創生に役立っている。地方でも歴史や名所がある地域は観光客が行きますから、民泊を進めていくべきだと思います。

首都圏に関しては、おそらく駅前のアパート・マンションは民泊にしたほうが儲かる業者が多くなるでしょう。そうすると、民泊以外には貸さないところも出てくるかもしれません。住人は郊外に住むようになりますから、空き室は解消されていくでしょうね。

インバウンドは日本経済の活性化、地方創生の後押しをしてくれると思います。それだけに民泊を認めて4000万人に対応させなければいけません。そうなれば、人口減と言われていても、首都圏のアパート・マンション投資は当面、安定的な投資になるのではないでしょうか。

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