ビジネス誌「月刊BOSS」。記事やインタビューなど厳選してお届けします! 運営会社

経営者インタビュー

2015年7月号より

2019年─世界にアピール ガンダム世代が創る新しい世界観
「日本の産業にとってロボットは重要」と話す宮河社長。「日本の産業にとってロボットは重要」と話す宮河社長。

日本のロボットアニメの代表ともいえる『機動戦士ガンダム』。2009年に全高18メートルの実物大の立像が東京・台場の潮風公園に出現し、大きな話題になった。そして、また2019年、今度は実物大のガンダムを動かそうという「ガンダム GROBAL CHALLENGE (以下GGC)」が動きだしている。

GGCプロジェクトの代表理事で、ガンダムシリーズのアニメーション制作を行うサンライズの宮河恭夫社長に話を聞く。



―― 09年に公開された実物大のガンダム立像は、話題になりました。
宮河 実物大のガンダムを作ろうといったときには社内から大反対されるなど苦労しました。ただ、ガンダムを知らない方も、あれを見て「これがガンダムなんだ」と認知をしていただけたかなとは思っています。当時、ガンダムの富野由悠季監督とも、表現はよくないですが、実物大のガンダムを作るなんて馬鹿馬鹿しいことだと話していたんです。でも、実際に18メートルのガンダムが立っていたら面白いだろうなという、その思いだけで作った。周りに何もない公園に立たせたことで、スケール感が伝わったと思うんです。

―― 79年のテレビシリーズ以後ガンダムの人気は衰えず、続いています。その理由はどこにあると。
宮河 ガンダム以前のアニメは勧善懲悪のものでした。しかしガンダムは、地球の人口が増えて人が宇宙に移住しなくてはならないという物語の背景設定で、なぜロボット型の兵器が必要になったのかという理由づけがしっかりしていました。また、ストーリーは、地球連邦とジオン公国との戦争を描いていますが、戦争にいたるには、それぞれに事情があり、単純にどちらか一方がよい、悪いとはいえないということを、正面から描きました。ただ、子どものアニメとしては難しく、当時は放送が打ち切りになりました。しかし、ガンダムというロボットの格好よさから、子どもには「ガンプラ」というプラモデルに人気が出ました。一方、ガンダムの設定やストーリー性が大学生に刺さり、人気に火がついたと思います。当時、私はバンダイに入社したばかりで、まさにガンプラの営業をやっていたのですが、あの人気の広がりの熱量はすごいものがありました。

―― いま、いわゆる、ガンダム世代が企業の中核を担っています。
宮河 企業内ではガンダム世代がプロジェクトの起案者、あるいは起案者の上司というポジションで、発言力が強くなっているようです。それを感じたのが、12年にトヨタ自動車さんとコラボした「シャア専用オーリス」でした。これはキャラクターの商品化ではなく、ガンダムの世界観を車に持ち込んだ。実際に真っ赤にカラーリングした車に、トヨタのエンブレムではなく、ジオン公国のエンブレムを付けました。また、14年にはJXホールディングスさんがガンダムを企業広告で使っています。以前ならこのような企業がガンダムを使うなんて考えられませんでした。この5年で世界が大きく変わったように感じています。

―― 19年には、GGCプロジェクトが計画されています。
宮河 40周年にあたる19年は、東京オリンピックの前年で、日本が世界から注目され、日本自体も大きく盛り上がっている時期だと思うんですね。そこで世界から集めたアイデアを基に、日本が実際のものとして実現させたとアピールできたらと思っているんですね。

―― 具体的な計画は?
宮河 リアルと映像などバーチャルの2つの部門に分けてそれぞれでアイデアを募集し、いまはその審査をしています。今年の秋頃にはアイデアを選定、オープンプラットフォームでそれを公開し、アイデアの追加募集を行います。その後、審査・絞り込みをして基本プランを決定する予定です。多くの日本企業の協力を得て製作できればと思っています。

―― アニメーションがリアルに与える影響とは?
宮河 GGCの技術的顧問で、早稲田大学副総長の橋本周司先生から「いまは夢と現実が近づいて、夢が持てない状態になっている」とうかがいました。では、夢を持ってもらうにはどうしたらよいか。それは夢のレベルをポーンと高くするしかありません。それには、絵空事をぶち上げるしかないと思うんです。そこで僕たちアニメーションの人間は、絵空事を創る。そして、それと技術との掛け算ができないか考えていく。10年前だったら絶対に無理だと思うのですが、いまはちょっと馬鹿げたことでもできるんじゃないか、そんなふうに思っています。

経営ノート | 社長・経営者・起業家の経営課題解決メディア

WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

WizBiz代表・新谷哲の著書「社長の孤独力」(日本経済新聞出版社)

 

0円(無料)でビジネスマッチングができる!|WizBiz

WizBizセミナー/イベント情報

経営者占い