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経営者インタビュー

2014年7月号より

“巡航速度”のいまが交代の好機
球団オーナーを務めるオリックス・バファローズも今年は好調。

―― 創業50年の節目の今年、オリックスの歴史はそのまま宮内さんの歴史でもあるので、まずはその感慨を。
宮内 私は昨日のことも思い出すのが面倒なほうで(笑)、どちらかと言えば“前傾姿勢”が強い人間ですから、過去のことはあまり思い出さないんですけど、スタート時は13人しかいない会社だったのが、大企業の1社に数えられるまでになったんだな、という思いはありますね。

―― ここまで多様な事業を展開する企業になると想像していましたか。
宮内 少なくとも初めの3年間はリース業という狭い範囲に没頭していました。5年後ぐらいから、急に同業の新設会社がたくさん出てきて競争が始まったわけですね。で、競争が始まってみると、案外とリースマーケットは小さいではないかと。それで、5年後ぐらいからこれは隣の領域へも行くべきだという考えが出てきたのです。

―― 最近は、メガソーラーを含めた再生エネルギー分野に積極的です。
宮内 たまたま(原発事故などで)エネルギー問題から脚光を浴び、どうもこの分野はまだ、本当の専門家がいないわけですね。ならば我々も一緒じゃないかいうことで参入していったのですが、私自身、数年前まではそういうビジネスを本格化させるとは、夢にも思っていませんでした。

―― 6年前のリーマン・ショック前と後とでは、事業内容が様変わりしてきた印象です。
宮内 方向性としては、すでにリーマン・ショック前からこちらへ行きたいなという話はしていたんです。実際に“じわっ”ぐらいは動いたんですけど、リーマン・ショックが起きて、これは事業構造の転換を急がなければと。結果的に禍転じて福、みたいな感じです。

リーマン・ショック前に米国へ行った時に「これは絶対に住宅バブルだな」と思いました。私どもの米国法人は債権の売買などもやっていましたが、現地法人のトップと話をして、手がけていた住宅案件は全部売ってしまった。だからオリックスには何の影響もありませんでした。ただ、リーマン・ショックで瞬く間に負の連鎖が伝播し、日本の金融市場も崩れていくというのは想像してなかったですね。

―― 「あの頃は当社も溺れかけた」と言われてましたが。
宮内 自分の会社がそんな大変になるはずがなかったんですけどね。リーマン・ショック直前まで、収益も上がってきて非常にいい状況で、私も年だからこれは楽隠居できるのかなと思ってたんですよ(笑)。そしたらそれどころじゃないと。リーマン・ショックでドーンとやられた後は復旧作業でしたけど、それが済んで、今度は新しいビジネスを構築していくという段階に来たと思いますので、少し落ち着いて長い目で仕事ができるのかなと。

“カメレオン”的な進化

―― 常に変化していくことがオリックスの特徴であるとすれば、将来のオリックス像を語るのはあまり意味がありませんか。
宮内 たとえば、航空会社だったら機材を100機持っていて、3年先には150機にもっていきたいというような話をすると思うんです。そういう意味では、我々は若干、“カメレオン”的な性格がありますからね。当社のように明確には事業を言えない会社、言える会社といろいろあるでしょう。ただ、金融をベースにフレキシブルに動いていくというのが基本です。

―― かつて、メーカーを買収して失敗したのも教訓になっていますか。
宮内 ええ、全然違うということがわかりましたからね。電機関連の会社でしたが、ハイテク技術を持つ会社でもなく、国内はすべてクローズして海外に行ったらよかったのかもしれませんが、そうこうしているうちに買ってもいいという会社が出てきましたので。やっぱり隣の領域でないと。

―― DNAでしょうか、宮内さんの2人の子息(誠氏と修氏)とも、サラリーマンを経ていまは起業家です。
宮内 起業するのはいいんだけど、事業として成り立っているかどうかが問題でしてね。ただ、アドバイスもせずにほったらかしなので、何をやっているのか時々聞かないとわからないぐらいですが(笑)。

―― さて、新グループCEOに就く井上亮社長の体制での課題ですが。
宮内 当社もいまは巡航速度に入って、目の前に大きな課題を抱えているわけではないんですね。こういう時こそ少し長い目で見た戦略立案、長い目で見た人材育成をやっておかないと。

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